妊娠したら気をつけることは?妊娠初期に起きる母体の変化とは?

記事監修 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 続きを読む

妊娠すると新しい命に喜びを感じると同時に、何をすべきなのか、逆に何をしてはいけないのかと、これからの生活に不安を感じる妊婦さんも多いのではないでしょうか。そこで今回は、「妊娠したら最低限これだけは気をつけたい!」というポイントをご紹介します。

妊娠したら、女性の体はどうなるの?

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妊娠するとホルモンバランスが大きく変化し、体に様々な症状が現れます。特に妊娠初期は、下記のようなトラブルに悩まされる妊婦さんが多くいます。

つわり

妊娠すると多くの人が「つわり」を経験します。胸やけや胃の不快感があり、ゲップがでたり、常に吐き気がしたりするような状態です。

何を食べても吐いてしまうという「吐きつわり」や、常に食べていないと気持ち悪くなる「食べつわり」など、症状が出るタイミングや程度は人それぞれです。

重症化すると「妊娠悪阻」になり、治療が必要です。妊娠悪阻は、全妊婦さんの約1~5%にみられます(※1)。

貧血

妊娠すると、血を作るのに欠かせない鉄分が、赤ちゃんの発育に優先的に使われます。そのため、ママは貧血になりやすい状態です。

貧血になっても多くは無症状ですが、ひどくなると、疲れやすい、めまい、息切れなどの症状が現れることがあります。鉄分の多い食事を心がけましょう。

肌荒れ

妊娠すると、ニキビや吹き出物、乾燥、かゆみ、シミといった肌トラブルに悩まされる妊婦さんが多くいます。

これは、ホルモンバランスの変化や、栄養と水分の不足、つわりによる不摂生などが原因です。栄養バランスの取れた食事をとり、規則正しい生活を遅れるようにしてくださいね。

頻尿

子宮が大きくなると、膀胱が圧迫されて、尿を溜められる容積が小さくなり、トイレが近くなります。

頻尿は、妊娠初期と妊娠末期によくみられます。特別な治療方法はないので、我慢せずこまめにお手洗いに行くようにしてくださいね。

便秘・おなら

妊娠すると便秘になりやすく、その分ガスが溜まっておならが出やすくなります。

原因は、妊娠初期に分泌される「プロゲステロン」の影響や、つわりによって食欲がなくなり、食事を満足にとれないことなどです。水分補給を心がけ、食物繊維を積極的に摂取して、解消を目指しましょう。

下痢

妊娠によって胃腸の機能が弱まると、消化不良が起きて下痢になることがあります。また、つわりの吐き気から、冷たい食べ物ばかりを口にしてしまうと、体が冷えて下痢をしやすくなります。

できるだけ、胃腸に負担をかけない食事を心がけましょう。

おなかの張り

妊娠すると「おなかが張る」とよく耳にするかもしれません。このお腹の張りは、子宮の収縮や、子宮を支える靭帯や子宮広間膜が引っ張られることなどで起こります。

お腹の張りだけであれば問題ないこともありますが、痛みや出血を伴うときは注意が必要です。切迫流産の可能性も考えられるので、すぐに病院を受診しましょう。

むくみ

妊娠中は、血液量とエストロゲンの分泌量の増加によって、特に手足がむくみやすくなります。指輪や靴がキツイと感じる人もいるようです。

妊娠したら塩分の過剰摂取を避け、体を冷やさないようにしましょう。むくみが気になるときは、塩分を排出する効果がある「カリウム」を多く含む食品を摂ったり、マッサージや足湯をしたりするのもいいですね。

物忘れ

妊娠中は、記憶力や集中力が低下しやすくなり、物忘れがひどくなることがあるようです。正確な理由はわかっていませんが、ホルモンバランスの変化や妊娠による睡眠不足などの生活の変化によるものではないかといわれています。

また、血液が不足することで脳に血が届きにくいことが要因という説もあります。

情緒不安定

妊娠するとホルモンバランスが変化したり、生活環境が変化したりする影響で、イライラしたり、悲しくなったりと、精神的に不安定になりやすくなります。

また妊娠初期は、妊娠を喜ぶ気持ちがある一方で、仕事と家庭の両立など産後の生活について不安になったりと、気持ちが不安定になる時期でもあります。

急に泣きたくなったり、パートナーについあたってしまったり…。自分ではコントロールできずつらいと思いますが、「そういう時期なんだ」と理解し、周りの人にもきちんと説明しておきましょう。つらいときは、人に頼ったり、相談したりすることも大切です。

疲れやすい・眠い

妊娠すると、血液量が増加して心拍数が上がるので、息をしているだけでも疲れやすい状態になります。また、眠気を促す「プロゲステロン」というホルモンの影響で、常に眠気を感じるという人も。

疲れたときや眠いときは、無理せずに体を休めましょう。お腹が大きくなると苦しくて、まとまった睡眠が取りづらくなるので、夜だけでなく、昼にもこまめな睡眠が取れるといいですね。

足がつる・こむらがえり

妊娠中期以降になると、足がつったり、夜中寝ているときに突然こむら返りを起こしたりすることがあります。運動不足による血行不良、ミネラル不足、大きなお腹を支えることによる骨盤の歪みなどが原因です。

対策には、適度な運動や栄養バランスの取れた食事を心がけ、妊娠中から使える骨盤ベルトで骨盤のケアを行うといいでしょう。

足がつってしまったときは、つま先をつかみ、すねの方に引き上げるストレッチを行ってください。お腹が大きくなると自分では対処できなくなるので、家族に足裏を押してもらいましょう。

妊娠したら気をつける嗜好品は?

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妊娠中は、下記2つの嗜好品を見直す必要があります。授乳中にも禁忌なものなので、早い段階でやめておきましょう。

タバコ

喫煙をしている人は、すぐに禁煙しましょう。タバコには様々な有害物質が含まれているため、妊婦さんや赤ちゃんの健康に影響を及ぼすことがあります。

受動喫煙でも、赤ちゃんの発育を阻害する可能性があります。家族に喫煙者がいる場合、禁煙してもらうか、目の前では吸わないように配慮してもらってください。

受動喫煙しないよう、タバコを吸っている人や喫煙所には近づかないようにするのも大切です。

タバコによる母体や胎児への影響には、下記のようなものがあります。

早産・流産

妊娠中に喫煙をすると、喫煙をしていなかった妊婦さんに比べて、早産のリスクが約27%増加することがわかっています(※2)。

また、妊娠中に胎盤が剥がれてしまう「常位胎盤早期剥離」や、胎盤の位置が低くて子宮の出口を塞いでしまう「前置胎盤」になる頻度も喫煙によって高くなり、その結果、流産になるリスクも高まります(※3)。

先天異常・低体重

妊婦さんが喫煙していると、赤ちゃんに必要な酸素や栄養がきちんと届かず、赤ちゃんがお腹のなかで十分に成長できないことがあります。

その結果、口唇裂や口蓋裂、先天性の心奇形、手足の欠損、内反足など、生まれつき奇形を持った赤ちゃんや、低体重の赤ちゃんが生まれてくる可能性が高くなります(※2,3)。

飲酒

妊婦さんがお酒を飲むと、母体の血液中とほぼ同じ濃度のアルコールが胎盤を通して赤ちゃんに送られることになります。妊娠がわかったら、飲酒は控えましょう。

妊娠中にお酒を飲み続けると、「胎児性アルコール症候群」の赤ちゃんが生まれる可能性があります(※2)。

胎児性アルコール症候群を発症すると、低体重・低身長といった発達の遅れや、ADHDやうつ病、学習障害などの精神疾患が起こる可能性が高まります。また、全体的に平たくて顔のパーツが小さい、特徴的な顔つきに生まれることがあります。

妊娠したら気をつけたい食事は?

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妊娠すると、「食の好みが変わる」「2人分の食欲が出る」といいますが、好きなものをなんでもたくさん食べていいわけではありません。下記のポイントに注意しましょう。

カフェイン

妊娠中にカフェインを摂取すると、自然流産のリスクや、赤ちゃんの発育を妨げるリスクが高くなる可能性が懸念されています(※2)。

1日のカフェイン摂取量が100mgを超えると、自然流産する確率が上がるという研究報告もあるので、コーヒーを飲むなら1日1杯までにしておきましょう(※4)。

カフェインは、コーヒーだけでなく、チョコレートや紅茶、コーラ、栄養ドリンクなどにも含まれています。妊娠中はこれらの食品に注意し、コーヒーや紅茶を飲みたい場合は、カフェインレスのものを選ぶと安心です。

生もの

妊娠すると抵抗力が弱まるので、感染症や食中毒にかかりやすくなります。できるだけ生ものを食べることは避けた方がよいでしょう。

特に生肉には注意が必要です。「トキソプラズマ」という寄生虫が含まれていることがあります。

妊娠中にトキソプラズマにかかると、水頭症や視力障害、精神・運動機能障害など、赤ちゃんに様々な影響が出るリスクがあります。

トキソプラズマは自覚がないまま抗体を持っていることもあるので、心配であれば抗体検査を受けてみるといいかもしれません。

暴飲暴食

妊娠初期はつわりがつらくて満足に食事ができないことがありますが、妊娠中期になるとその反動もあり、たくさん食べたくなってしまう人も。

しかし体重が増えすぎてしまうと、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病といった合併症のリスクが高まり、ママも赤ちゃんも危険な状態になることがあります。

体重の増加量は、妊娠前に標準体型だった人で7~12kgが目安です(※1)。こまめに体重を計りながら、しっかりと管理していきましょう。

妊娠したら気をつけたい生活習慣は?

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下記のような生活習慣は、妊娠生活をよりよいものにするためにも大切なものです。

運動

妊娠中の適度な運動は、マイナートラブルの改善やお産をスムーズに進めるためにとても大切です。

激しい運動は控えたほうがいいですが、時期にあわせて、下記のような運動に取り組んでみてください。

妊娠初期

妊娠初期は体調のコントロールが難しい時期なので、無理は禁物です。ひと駅分のウォーキングやストレッチなど、軽い運動を行いましょう。

気分転換程度に捉えてくださいね。

妊娠中期・後期

妊娠中期に入ると、マタニティヨガやマタニティスイミングができるようになります。これらの運動は、妊婦健診で医師や助産師に相談し、許可をもらってから行うようにしましょう。

ウォーキングや階段の昇り降り、ストレッチ、スクワットといった、手軽にできる運動もおすすめです。

ただし、お腹が大きくなるにつれてバランスが取りづらくなるので、転倒には十分注意してください。

ストレスを溜めない

妊娠中のストレスが赤ちゃんに及ぼす影響については、まだはっきりとわかっていません。しかし、妊娠中にかかわらず、ストレスが溜まると身体的にも精神的にも不調が現れてしまいます。

妊娠中は体も心も特にデリケートな時期です。ストレスを全く無くすことは難しいですが、溜め込まないようにしましょう。

好きな音楽を聞きながらゆっくりとお風呂に入る、友人や家族とおしゃべりする、適度な運動で汗をかくなど、自分なりのリフレッシュ方法をみつけてくださいね。

妊娠したら薬にも注意が必要?

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妊娠中の薬全てがよくないわけではありませんが、赤ちゃんへの影響を考慮して、慎重になる必要があります(※2)。

なかには、子宮の収縮を促すものや、赤ちゃんの成長を妨げるものもあるので、自己判断での服用は避けてください。

薬を飲みたいほどの不調があるときは、妊婦健診を待たずに医師に相談して、緩和するためのアドバイスをもらいましょう。症状がひどいときは、妊娠中でも服用できる薬を処方してもらえることもあります。

妊娠したらするべきこととは?

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妊娠したら、今後の生活のためにするべきことが意外にたくさんあります。慌てることがないように、事前に知っておきましょう。

産院を探す

妊娠に気づいたら、できるだけ早く産院を探しましょう。早めの週数でないと予約ができない産院も多くあります。出産経験のある人に話を聞いたり、ネットで調べたり、直接足を運んでお医者さんに相談したりするといいですね。

産院を選ぶときに、分娩方法や費用、部屋の設備、出産後の対応もチェックしておきましょう。里帰り出産をする場合は、妊婦健診のために通院する近所の病院と、里帰り先でお産をする病院の2つを決める必要があるので、注意してください。

妊娠届を出す・母子手帳をもらう

妊娠7週目頃になり、産婦人科で妊娠確定がされ、母子手帳をもらうように言われたら、自治体の窓口に行って申請しましょう。市役所や区役所、行政サービスセンターなどでもらえます。

妊娠届出書を指定の窓口に提出する場合もあるので、自治体のホームページなどで、事前に必要な書類がないかを確認しておきましょう。

妊娠報告

妊娠したら、両親や会社の同僚、いつもお世話になっている人に妊娠報告をしましょう。

ただし焦る必要はありません。下記の関連記事を参考にしながら、両親には早めに伝える、同僚には安定期に入ってから報告するなど、順を追って報告していきましょう。

戌の日に安産祈願に行く

日本には古くから、「戌の日」に安産祈願に行く習わしがあります。

ただし最近では、戌の日にとらわれず、妊婦さんの体調や予定の都合がいい日に行くことも多いようです。妊娠5ヶ月を過ぎて安定期に入ったら、体調を見て、神社やお寺にお参りにいきたいですね。

立ち会い出産を検討する

出産の際に、パートナーや夫、家族などに立ち会ってもらうのかを検討して、産院に希望を伝えましょう。

立ち会い出産に関しては、するかしないか、誰に立ち会ってもらうかなどに、良い悪いといったことはありません。自分や家族にとって、一番ハッピーなバースプランを考えてくださいね。

地域の助成金・手当の手続きについて調べる

妊娠・出産に際しては、自治体によって、様々な助成金やお得な制度があります。住んでいる地域にどのようなものがあるか、事前に調べておきましょう。制度を調べたら、手続きも忘れずに。

仕事の引継ぎ

現在仕事をしている人は、仕事の引き継ぎについても早めに考えておきましょう。

妊娠中は、何が起こるかわかりません。突然切迫早産になり、早めに休みに入らざるを得なくなる場合もあります。いつ引き継ぎが生じてもいいように、早め早めに準備しておくのがおすすめです。

妊娠したら気をつけることを考えすぎないのも大切

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妊娠すると、赤ちゃんへの愛情が大きいあまり、「あれもこれも気をつけないと!」と色々なことを制限してしまいがちです。しかし、あまりに窮屈な生活を送ると、ストレスが溜まってしまいます。

ママのストレスは、赤ちゃんにとっていいものとはいえません。できるだけいつも通りを心がけながら、最低限気をつけることだけは抑えておくようにしましょう。

周りのサポートや理解も得ながら、楽しくリラックスした状態でマタニティライフを過ごしてくださいね。

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