妊娠初期は貧血になりやすい?どんな症状が出る?対策は必要?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

妊娠初期にはさまざまな体調変化が起き、「貧血」もその一つです。妊娠初期から貧血を起こす人も多いのですが、一体何が原因なのでしょうか。

今回は、妊娠初期の貧血について詳しくご説明します。

妊娠初期に貧血が起こりやすい理由は?

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妊娠中に起こる貧血の多くが「鉄欠乏性貧血」です。

酸素を運ぶヘモグロビンを生成するのに必要な「鉄分」が不足して、全身に十分な酸素を届けられなくなることで貧血の症状が現れます(※1)。

妊娠すると、以下の原因で体内の鉄分が不足しやすくなるため、鉄欠乏性貧血につながります。

鉄の需要が増える

お腹の赤ちゃんはママの血液から栄養をもらって育ちます。赤ちゃんの成長には鉄が欠かせないため、ママ自身の鉄分が不足しがちになり、貧血につながります(※2)。

血液量の増加

赤ちゃんに必要な栄養を送り届けるために、妊娠中のママの血液量が増加します。増えた血液中のヘモグロビンのために多くの鉄が必要になり、鉄が不足しやすくなります(※2)。

つわり

妊娠による変化だけではなく、つわりで十分な栄養を補給できないことも貧血の原因の一つになります。

鉄分がたくさん必要なのにもかかわらず、食事ができないと鉄分を補給できず、貧血になりやすくなります。

妊娠初期の貧血はどんな症状が現れる?

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軽度の鉄欠乏性貧血であれば、目立った自覚症状がないこともあります。

症状が重くなると、疲れやすさや息切れ、頭痛、めまいなどが現れます。また、朝起きられない、やる気が出ない、倦怠感があるなど、体がだるく感じる人もいるようです(※1,2)。

妊婦健診では定期的に採血を行って貧血がないか確認してくれていますが、こうした自覚症状が現れた場合は、無理せず早めにかかりつけの産婦人科医に相談してくださいね(※3)。

妊娠初期の貧血は赤ちゃんに悪影響がある?

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鉄欠乏性貧血は赤ちゃんへの鉄分供給を優先することで起きているものなので、軽度であれば赤ちゃんに悪影響を与えることはありません。

しかし、貧血の症状が重くなると、赤ちゃんにも十分な鉄分や酸素を提供できなくなり、早産になったり、赤ちゃんの発育が遅れたりするおそれがあります(※2)。

特に妊娠初期は、赤ちゃんの器官を形成する重要な時期なので、医師の指示に従って早い段階から貧血改善に努めましょう。

妊娠初期の貧血の治療方法は?

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妊娠中の貧血の治療は食事療法が基本です。鉄分が足りないことが大きな原因なので、しっかり補給できる食材を積極的に食べましょう。

妊娠初期のつわりで食事療法が難しい、あるいは食事だけでは改善は難しい場合には、鉄剤の飲み薬が処方されることもあります(※2)。

赤ちゃんとママの健康のためにも、医師の指示どおりにしっかりと飲み続けるようにしてくださいね。

妊娠初期の貧血を予防するには?

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貧血は食生活を見直すことで、ある程度改善できる可能性があります。一つの食材に偏るのではなく、栄養バランスのとれた食事を心がけてくださいね。

鉄分は肉や魚など動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、野菜など植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」の2種類があり、それぞれバランスよく摂取することが大切です。

ヘム鉄はあさり、サンマなどに、非ヘム鉄は小松菜や菜の花、大豆などに多く含まれているので、食事のメニューにうまく取り入れましょう。

また、たんぱく質やビタミンCを摂取すると鉄の吸収率を高めてくれるので、これらの栄養素を含む食材を一緒に調理するのがおすすめです。

反対に、コーヒーや紅茶には鉄分の吸収を妨げる作用があるので、飲み過ぎは控えてくださいね(※4)。

妊娠初期の貧血改善は食生活から!

貧血の改善に努めても効果が出るまでには時間がかかります。妊娠初期の貧血に悩まされないためにも、できるだけ早い段階から食事などから貧血対策を心がけるといいですね。

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