【妊婦の体重】体重管理はどうする?体重増加の目安は?

監修専門家 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 監修記事一覧へ

妊娠中はお腹に赤ちゃんがいるのですから、ママの体重が増加するのは当然です。しかし、体重が増加しすぎるのは、ママにとっても赤ちゃんにとっても良いことではありません。そこで今回は、妊婦さんの理想的な体重増加の目安や、おすすめの体重管理の方法などについてご説明します。

妊婦さんの体重って、どんな内訳になっているの?

体 妊娠 お腹

出産を迎えるとき、赤ちゃんの体重は約2.5~4.0kgですが、妊婦さんの体重はそれ以上増加します。

それは、胎盤(約0.5kg)、羊水(約0.5kg)、血液(約2.5kg)、子宮・乳房(1.5kg)の増加に加えて、妊娠によるホルモンバランスの変化で脂肪が増え、水分が蓄積するためです。

個人差はありますが、妊娠中に体重が増加する目安は約7~10kgです。

妊娠中の理想的な体重増加の目安は?

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それでは、妊娠中はいったいどれくらいの体重増加が理想的なのでしょうか?

日本では、日本産科婦人科学会や日本肥満学会、厚生労働省などが少しずつ異なる推奨値を設定していますが、妊婦さんのもともとの体格やBMI値をもとに体重増加の目安を算出しているという点は、共通しています。

日本産科婦人科学会が推奨している、妊娠中の体重増加の範囲は下表のとおりです(※1)。

妊娠前のBMI値 体重増加の推奨値
BMI<18 10~12kg
BMI 18~24(標準) 7~10kg
BMI >24 5~7kg

妊娠前に標準的な体格だった人であれば、10kgくらいまでの体重増加が理想的といえます。

一方、BMI値が24より多かった人は、妊娠高血圧症候群などのリスクを抑えるためプラス7kgまでに増加を抑えることが推奨されています。

自分の体重増加の目安を出すには、まず妊娠前の体重からBMI値を算出してみましょう。

BMI値の算出式

BMI=体重<kg>÷(身長<m>×身長<m>)

【例】身長165cm、妊娠前の体重55kgの場合
BMI=55÷(1.65×1.65)=20.20 → 体重増加の推奨値は7~10kg

妊婦さんの体重管理、ペース配分はどうすればいい?

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出産までの理想の体重増加の目安が分かったら、そこを目指すにはどのようなペース配分にしていくかを考えておくことも重要です。

妊娠15週末(4ヶ月末)までは、つわりでほとんど食べられない人もいるくらいなので、必ずしも体重が増えるとは限りません。

妊娠16週(5ヶ月)以降の体重増加の目安は、妊娠前のBMI値によっても異なりますが、標準体型の場合は1週間あたり300〜500gと考えましょう(※2)。

ただし、妊娠中の時期によってもペースは異なり、安定期に入る妊娠中期には4〜5kg程度、そして妊娠合併症が心配される後期にはあまり増やさずに2〜3kg程度にとどめるのが理想とされています。

妊娠初期に体重を増やしすぎると、一番増えやすい妊娠中期にさらに体重が増加してしまうので、コントロールすることが大切です。

妊娠すると胎盤から「ヒト胎盤性ラクトゲン(hPL)」というホルモンが分泌されるようになり、妊娠前と同じ食生活をしていても血糖値が上がりやすくなります(※2)。

これは、お腹の赤ちゃんに優先的にグルコース(糖)を送るための働きです。

特に、つわりの終わった妊娠中期には食欲が増しやすいので、気を抜いて食べすぎないように気をつけましょう。

妊娠中の体重増加を管理する方法は?

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「すでに理想の体重より増加してしまっている…」「このままのペースで増加するとまずい!」という妊婦さんもたくさんいると思います。

しかし、もう遅いとあきらめることなく、ここから健康的に体重管理をしていきましょう。

1. 食事内容を変える

和食
まずは、今の食事内容を改めてみてください。

妊娠前と同じ食事をしていませんか?塩分・糖分・脂質を抑え、バランスの良い食事に整えるだけで、だいぶ変わってきます。

  • 和食中心の食事に変える
  • ささみなど高タンパク・低カロリー食材を積極的に摂る
  • 野菜、きのこ類、海藻類、大豆製品で腹持ちさせる

昨今のダイエット志向から、主食の量を減らしてしまうという妊婦さんもいますが、厚生労働省の「妊産婦のための食事バランスガイド」を参考に、様々な食品や栄養素をまんべんなく摂るように心がけましょう。

妊婦さんが、1日に摂るべき食事のバランスの一例は以下の通りです。いろいろな料理を組み合わせて、必要量を摂るように心がけましょう(※5,6)。

  • 主食:おにぎり5〜7個分(おにぎり1つはご飯小盛り1杯分)
  • 副菜:野菜サラダ5〜6皿分(野菜炒めなら2.5〜3皿分)
  • 主菜:焼き魚1.5〜2.5枚分(ハンバーグなら1〜1と2/3皿分)
  • 牛乳・乳製品:牛乳コップ1杯分(ヨーグルトなら2パック分)
  • 果物:りんご1個分(みかんなら2個分)

2. 食事の量と回数を変える

時間 時計
すぐにお腹が空いてしまうという妊婦さんは、少量ずつ、回数を増やして食事を摂るのも一つの手です。

3回食を5回食に変え、一回に食べる量を減らすことで、急激な血糖値の上昇を抑えることもできます。

3. 間食するときは内容に気をつける

寒天 ゼリー 和菓子
どうしても甘いものが食べたくなるときもありますよね。

そんなときは、食物繊維を多く含む寒天ゼリーなど、低カロリーだけれど食べ応えがあるものを選ぶようにしましょう。シリアル入りのクッキーやおからなどを使ったお菓子を手作りするのもいいですね。

お菓子の代わりに季節のフルーツを食べると、ビタミンCも摂取できるのでおすすめですよ。

4. 軽い運動をする

妊婦 夫婦 公園 散歩
安定期に入っているのであれば、医師から許可をもらったうえでマタニティヨガやスイミングなどの運動を取り入れてみましょう。

近所をお散歩するだけの軽めのウォーキングだけでも、体重管理に効果的です。気分転換にもなるので一石二鳥ですよ。

5. こまめに体重計に乗る

妊婦 体重計
これまであまり体重管理をしていなかった…という人も、妊娠中は週に1回は体重計に乗り、体重の変化を細かくチェックしましょう。

アプリや手帳に日々記録するレコーディングダイエットは、体重管理の意識を高めてくれますよ。

妊娠中に体重増加しすぎると、胎児と母体にどんな影響がある?

記号 注意 カラーコーン

妊娠したら全員が同じように体重増加するわけではなく、吐きつわりがひどく体重が減少する人もいれば、食べつわりや食欲増加で急激に増加してしまう人もいます。

妊婦さんの体質や生活環境によって体重の増加・減少の程度は異なるとはいえ、まったく体重管理しなくても良いというわけではありません。

妊娠中に太りすぎてしまうと、主に以下2つのリスクを伴うため、体重増加に関して医師から制限指示が出ることもあります(※1)。

妊娠高血圧症候群(※2,3)

「妊娠高血圧症候群」は、高血圧や蛋白尿、むくみなどの症状が見られる状態です。妊娠中期以降に症状が出やすく、3〜7%の妊婦さんが発症するという報告があります。

妊娠高血圧症候群になると、胎児に栄養を与える胎盤や子宮に血液が流れにくくなり、胎児が十分に発育できない可能性があります。

重症化すると、子癇(しかん:意識障害を伴うけいれん発作)や常位胎盤早期剥離などの合併症を引き起こし、母体と胎児の両方の命に危険が及ぶリスクがあります。

そのため、赤ちゃんの発育の度合いによっては帝王切開で早めに分娩を行うこともあります。

妊娠糖尿病(※2.4)

妊娠糖尿病は、糖尿病までは至らないものの、妊娠中のホルモンの変化によって、血糖をコントロールするインスリンの働きが弱まってしまい、血糖値が高くなりすぎる病気です。

約12%の妊婦さんが発症し、肥満のほかにも糖尿病にかかっている家族がいる人や、35歳以上の高齢出産の人は、妊娠糖尿病にかかるリスクが高まります。

妊娠糖尿病によって、流産・早産リスクが上がるほか、胎児機能不全や胎児死亡の危険性もあります。また、生まれた赤ちゃんが将来的に肥満や糖尿病、高血圧になりやすくなります。

妊娠糖尿病の疑いがある場合には、妊娠初期から随時検査を行い、医師の指導のもとに食事制限やインスリン注射による治療を行うことがあります。

妊娠しても体重が増加しない…大丈夫なの?

妊婦 タブレット

もともと痩せ型の人やつわりがひどかった人は、体重が増加しないと悩んでいるかもしれません。

体重の増加具合が緩やかであっても、妊婦健診で「赤ちゃんは順調に育っていますよ」と医師から言われている限りは、あまり心配する必要はありません。

ただし、体重が急激に減ってしまうと、赤ちゃんに十分な栄養が届かず、低体重で産まれてしまうこともあります。

適度な体重増加は赤ちゃんの成長のためにも必要なので、医師と相談しながら少しずつ体重を増やしていくことを目指しましょう。

妊婦さんは体重管理をして、元気な赤ちゃんを産もう!

風景 自然 

妊娠中の体重は、増加しすぎてしまっても減少しすぎてしまってもよくありませんが、気にしすぎてストレスを溜めないようにしてくださいね。

体重管理を難しく考えすぎず、健康的な食生活と運動を取り入れるところから始めましょう。

そのうえで、こまめに体重を測って自分の体の状況をこまめにチェックしてみてください。日々のこのような小さな積み重ねが、元気な赤ちゃんを安全に産む秘訣ですよ。

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