妊娠中に食べてはいけないものまとめ

記事監修 看護師・助産師 岡 美雪
看護師・助産師を免許を取得後、未熟児病棟、脳神経外科病棟、産科病棟で医療業務に従事。その後、医療現場での経験を活かして、青年海外協力隊の看護職としてアフリカに2年間駐在し、現地の医療技術向上に貢献。日... 続きを読む

妊娠中は食べるものに気をつけなくてはいけないと分かっていても、具体的に何がどうだめなのか意外に知らないことも多いものです。妊娠中に食べてはいけないものを知って、マタニティライフをうまく乗り切れるといいですね。そこで、今回は妊娠中に食べてはいけないものをまとめてリストアップしました。

妊娠中に食べてはいけないものとは?

女性 食欲 冷蔵庫 食べる

妊娠中に食べてはいけないものは、母体や胎児に悪影響を及ぼす可能性があるものです。以下に紹介したものを食べるのは、絶対にいけない!というものでもありませんが、数パーセントでも悪影響が出る可能性があるのなら、避けておいた方が無難です。妊娠期間は、約10ヶ月と短い期間です。自分と赤ちゃんのために、以下のものは我慢するようにしましょう。

1. リステリア食中毒の恐れがある食材

飲食 チーズ 食べ物 パン

● ナチュラルチーズや未殺菌乳などの加熱せずに製造された乳製品
● 生ハムなどの食肉加工品
● スモークサーモンなどの魚介類加工品

リステリア食中毒とは、土壌や河川水、家畜などの動物、魚介類、昆虫などから見つかっているリステリア菌による感染症です。リステリア菌は4度以下の低温や12%食塩濃度下でも耐えて増殖することができる非常に強い菌で、妊婦をはじめとした基礎体力や免疫力の低い人が感染するとされています。

日本の食中毒統計では、まだリステリアによる食中毒の報告例はありませんが、食品安全委員会の評価書では平成23年時点で年間200人の推定患者がおり、欧米では集団食中毒も発生していることからWHO(世界保健期間)も注意喚起を行っています。

感染初期は、インフルエンザのような38~39度の発熱、頭痛、嘔吐などの症状を示し、重症化した場合の致死率が20~30%と非常に高いことが特徴です。

また、妊婦が感染すると子宮内の胎児にも感染し、流産や早産の原因となってしまう可能性があります。リステリア菌による食中毒は、期限内に食べきる、冷蔵庫を過信しない、生野菜や果物はよく洗う、加熱するといった方法で予防できます。もし感染したときは、抗生物質によって治療ができます(※1)。妊娠中にリステリアに感染した場合は早期の段階で抗生物質を使用すれば、胎児への感染を防ぐことができます。

2. トキソプラズマに感染する恐れのある食材

飲食 生ハム 食事

● レアステーキや生ハム、ユッケ、レバ刺しなどの加熱不十分な肉

トキソプラズマは家畜の肉や感染したばかりの猫の糞、土の中にいるありきたりな単細胞の寄生虫で、健康な人が感染しても全く問題はありません。

ただし妊婦さんが初めて感染すると、胎盤を通して胎児に感染する可能性があります。胎児に感染が及ぶと流産・死産になるリスクが高まり、脳や目に障害が生じる水頭症が引き起こされる可能性があります。

母体にあらわれる症状は風邪のような軽度のもので気づきにくいのですが、およそ50%の確率で赤ちゃんにも感染するといわれています。人から人に感染する心配はなく、妊娠前に感染していれば体の中にすでに抗体ができているので基本的に問題はありません。また、血液検査で早期発見できれば、お腹の赤ちゃんに感染する前に治療ができます。

妊娠中は上記の食品を避けるとともに、野菜や果物はよく洗って食べる、ガーデニングなど土や砂に触れるときは手袋をすることでトキソプラズマ感染の予防になります(※2)。妊婦健診でトキソプラズマ検査も受けると安心です。

3. 水銀を含む食材

飲食 刺身 まぐろ 

● 本マグロ、インドマグロ、メバチマグ、クロカジキ、メカジキ、マカジキといったマグロ類の料理や加工食品
● 金目鯛やムツなどの深海魚

自然界に存在するメチル水銀は普段摂取する分には栄養価のあるもので、体の中に取り込まれても徐々に体外に排出されます。

しかし、胎児には体外に水銀を排出する機能がなく、神経障害や発達障害をもたらす危険があります。大型の魚介類は自然界に存在する水銀を食物連鎖の過程で体内に蓄積しており、魚を主食とする日本人の水銀摂取の80%以上が魚介類由来となっています。そのため、特に妊娠初期は魚を主食にする頻度を週に1~2回程度にすると安心です。

4. サルモネラ菌に感染する恐れのある食材

生卵 女性 卵 ざる

● 生卵
● 生スプラウト
● 加熱不十分な肉類や低温殺菌が行われていない乳製品

サルモネラ菌は直接胎児に影響を及ぼすものではありませんが、感染してしまうと食中毒を引き起こす可能性があります。

食中毒の症状の1つである激しい下痢は子宮収縮を促し、流産や切迫早産につながる可能性があります。日本の生卵は世界一安全性が高いといわれているので神経質になる必要はありませんが、心配な場合は新鮮で殻にひびの入っていないものを選び、加熱してから食べるようにしましょう。また、こまめに手を洗い、キッチン周りをキレイに保っておくことも大切です。

5. 子宮収縮を促す作用のある食材

飲食 スパイス ハーブ

● ウコン(ターメリック)、シナモン、タイム、セージ、バジル、ナツメグ、パセリなどのスパイス
● アロエ

香辛料やスパイスは体をあたためて血流を良くし、食欲を増進させる効果があることから一般的にはよいものとされています。

明確な根拠は立証されていませんが、過剰に摂取すると流産や早産を引き起こす可能性のある香辛料やハーブもあるので、調味料として常識的な範囲で摂取するようにしましょう。

たとえばシナモンはお菓子に含まれていることもあり、知らずに摂取している可能性があるので、成分表を確認する習慣をつけるのがおすすめです。

また、便秘解消に効果があるアロエも皮に含まれるアロインには子宮収縮作用があるので、過剰に摂取しないように注意してくださいね。

6. ヨウ素を含む食材

飲食 わかめ 海藻

● ひじき・昆布・わかめ・のりなどの海草類
● インスタントの昆布だし
● 外食やインスタントのみそ汁、うどん
● 合わせ調味料
● 昆布エキスや海藻エキスが入っている飲み物

海藻類には「ヨウ素(ヨード)」という成分が含まれています。ヨウ素には甲状腺ホルモンの主原料として成長を促進する働きがありますが、過剰に摂取し続けると、甲状腺機能を低下させてしまう恐れもあります。

特に昆布はヨウ素の含有量が高く、食べ物のだしとしても使用されることが多いため、知らないうちに摂りすぎていることがあるので注意しましょう。

ただし、反対に全く摂取しないとヨード欠乏症になってしまい、流産や胎児の脳機能障害を引き起こす危険があります。また、クレチン症(先天性甲状腺機能低下症)を引き起こす可能性もあります。クレチン症とは、甲状腺の機能が弱く、甲状腺ホルモンが不足する疾患で、赤ちゃんに哺乳力の低下、手足の冷えや便秘などを引き起こし、成長するにしたがって知能低下や発達障害が起こることもあります。

海藻類はカロリーが少なく、体重が増えすぎたと感じたときの強い味方ではありますが、厚生労働省は妊娠中のヨードの推奨摂取量を2,200µg(2.2mg)としているので、適度な摂取を心がけたいですね(※3)。

7. ビタミンAを多く含む動物性の食べ物

飲食 レバー パテ 食材

● レバー
● うなぎ
● あゆ
● ホタルイカ

ビタミンAは胎児の上皮、器官、臓器の成長に関わる重要な栄養素とされており、妊婦が摂取不足になると胎児の成長障害や奇形を引き起こすことがあるとされています。

ただし、ヨーグルトなど動物性由来の食材に含まれる「レチノール」というビタミンAを過剰に摂取することでも「口唇列・口蓋裂」「水頭症」などの奇形になってしまうリスクが高まってしまいます。日本人女性はビタミンAの欠乏が深刻な状態ではなく、過剰摂取になる可能性があるので注意しましょう。

特に妊娠初期に影響を受けやすいので、1日の摂取量上限である2,700μgを守って適度な摂取を心がけてください(※4)。特にレバーは鉄分を多く含むことから貧血対策として積極的に摂取したくなるので、食べ過ぎには注意しましょう。

植物由来のビタミンAは過剰摂取の心配はありません。気になる場合は、具体的な摂取量を関連記事でご紹介しているので、参考にしてくださいね。

妊娠中に食べてはいけないものを知っておこう

食事

妊娠すると妊婦さんの行動一つ一つが赤ちゃんにも様々な影響を与えることから、何がよくて何がいけないのか混乱してしまいますよね。

ただ、赤ちゃんはママの栄養なしには成長できません。偏りすぎずバランスよく食べることが大切ですが、「あのとき●●しておけば…」ということのないように妊娠中に食べてはいけないものを知り、適量を守って楽しい妊婦生活を送ることができるといいですね。

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