妊娠初期は頻尿になりやすい?妊娠中に残尿感が強いときの対策は?

監修専門家 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 監修記事一覧へ

さまざまな体調変化がある妊娠初期。頻尿もその一つで、多くの妊婦さんが経験します。なかには妊娠超初期の時期に頻尿になり、それがきっかけで妊娠に気づいた人もいます。そこで今回は、妊娠初期に頻尿になりやすい原因や、妊娠中に残尿感が強いときの対策などをご紹介します。

そもそも頻尿とは?妊娠中にトイレが近いと頻尿なの?

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そもそも頻尿とは、1日当たりの排尿回数が多いことを言いますが、「1日●回トイレに行ったら頻尿」という細かい定義があるわけではありません。日本泌尿器科学会は目安として、朝起きてから寝るまでの排尿回数が8回以上だと頻尿の可能性があるとしています(※1)。

しかし、8回以下の排尿回数でも自身で排尿回数が多いと感じれば、それも頻尿とみなすことができるとされており、本人の感じ方によるものが大きいです。したがって、妊娠を機にトイレに行く機会が増えたと感じれば、それは頻尿になったと考えることができます。

妊娠初期に頻尿になりやすい原因は?

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妊娠すると、子宮は少しずつ大きくなっていきます。位置的に子宮のすぐ前にある膀胱は、大きくなった子宮に圧迫されて変形し、尿を溜められる容積が少なくなってしまいます。これが頻尿を引き起こす主な原因です。

また、妊娠を継続するために必要な女性ホルモンである「プロゲステロン(黄体ホルモン)」も頻尿を引き起こす原因の一つといわれています。

プロゲステロンは平滑筋を緩める働きもあり、利尿作用を体にもたらしますが、受精卵が子宮内膜に着床するとプロゲステロンの分泌量が増えるため、頻尿になることがあるのです。

プロゲステロンは排卵日あたりから増えるので、月経前症候群(PMS)の症状の一つとして頻尿になる女性もいます。

妊娠初期の頻尿はいつから?

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妊娠して頻尿になる時期については個人差があり、早い場合だと、妊娠初期症状として生理予定日近くで頻尿になることがあります。

妊娠初期の頻尿は一般的に妊娠4ヶ月頃まで続き、子宮が大きくなってお腹の上の方に上がってくる妊娠中期には治まる人もいます。その時期は逆に胃痛や胸焼けが起きやすくなります。

しかし、妊娠後期になると、胎児は生まれてくるときの通り道となる「骨盤腔」の中に下がってくるため、尿道や腸を圧迫するようになります。そうすると胃痛や胸焼けが治まってすっきりする一方で、頻尿が再び起きることがあります。

妊娠初期症状の頻尿の特徴は?

チェックリスト

妊娠初期症状としての頻尿は、夜間頻尿が多いようです。回数は個人差がありますが、人によっては夜中に3〜4回トイレに行くようになることもあり、この傾向は妊娠週数が進むにつれて強くなるとされています。

また、 プロゲステロンの作用によって膀胱の出口の尿道括約筋が緩むため、以下のような動作によってお腹に力が入ったときに、尿道括約筋がこらえきれずに尿が漏れてしまうこともあります。


  • くしゃみ
  • 運動
  • 重いものを持つ
  • 大笑い

妊娠初期の頻尿は膀胱炎を引き起こすことがある?残尿感に注意!

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妊娠初期は、ホルモンバランスの乱れによる免疫機能の低下や、おりものの増加から、膀胱炎の原因となる細菌が繁殖しやすい状態です。また、頻尿を気にしてトイレに行くのを我慢することも、膀胱炎を招く恐れがあります。

以下の症状が現れたら、膀胱炎を起こしている可能性があるので、早めに医師に相談しましょう。

  • トイレに行った後に残尿感がある
  • トイレに行ったすぐ後に、またトイレに行きたくなる
  • 排尿時にヒリヒリやツーンとした痛みがある
  • 尿に白い濁りがある

妊娠初期の頻尿対策!残尿感があるときは?

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妊娠初期に頻尿を悪化させないように、以下の点に気をつけてみてください。妊娠初期はつわりがあり、なかなか思うように動けないこともあるので、一度に全部しようとせず、できるものから少しずつやってみるのがポイントです。

我慢せずトイレに行く

妊娠初期に頻尿になると、尿意を感じてトイレに行っても、実際に出る尿の量は少なくなります。だからといって我慢せず、こまめにトイレに行くことが大切です。

我慢のしすぎは膀胱炎を招く原因にもなるので、きちんと排尿する習慣をつけてくださいね。

カフェインの摂取を控える

カフェインには利尿作用があり、飲みすぎるとトイレの回数がさらに増えてしまいます。妊娠中にカフェインを過剰摂取すると胎児に影響を与えることもあるので、妊娠しているときはコーヒーや緑茶などカフェインの入った飲料は控えるようにしましょう。

妊娠中の水分補給にはお水や麦茶、ルイボスティーなどがおすすめです。最近では、カフェインレスやデカフェのコーヒーも市販されているので、コーヒー好きの人はそれで代用してみてもいいかもしれません。

寝る前に水分を摂取しすぎない

就寝前の飲食は、夜中のトイレの回数を増やす可能性があります。水分を多く含む果物や野菜の摂取にも気をつけましょう。

冷えに注意する

冷えが強いときにも頻尿の症状がひどくなりがちです。夏場に冷房を使う際には設定温度に気をつけてください。冷房が効きすぎて公共施設やオフィスが寒いときは、ひざ掛けや腹巻を使うなどして冷え対策を行いましょう。

また、体を締めつける服装は血流を悪くさせ、冷えを引き起こしやすいので、ゆったりとした服装を心がけてください。

妊娠中は何かと面倒で、シャワーだけで済ませてしまいがちなお風呂ですが、ぬるめのお湯に浸かって下半身を温めると、血行も良くなっておすすめですよ。

妊娠中に頻尿のとき、外出時はどうする?

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妊娠初期に頻尿になっても自宅でゆっくりしていられるのであれば、トイレのことで大変な思いをすることはあまりありません。しかし、外出先では頻繁にトイレに行くのを気兼ねしたり、トイレがすぐそばになくて焦ったりすることもありますよね。

精神的な緊張は頻尿の症状を助長させる恐れがあるので、仕事で忙しい人は市販の尿漏れパッドを利用してみるのも一つの手です。「尿意を感じても、すぐにトイレに駆け込まなくて大丈夫」という余裕が生まれて、安心して外出できるようになりますよ。

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妊娠初期の頻尿にはリラックスが大切!

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頻尿のつらさは、他人になかなか分かってもらうのが難しいものです。トイレの回数が増えて恥ずかしく感じることもあるかもしれませんが、基本的には妊娠に伴う生理的な症状なので、恥ずかしがったり、心配しすぎたりする必要はありません。

考えすぎるとストレスになり、他の症状が出てしまうこともあるので、できる範囲で頻尿対策をしながら、リラックスして毎日を過ごせるといいですね。

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