「赤ちゃんが生まれたらしばらく旅行へ行けないから妊娠中に行っておきたい」と考えているかもしれませんね。でも、「本当に行っても大丈夫なの?」「飛行機はやめたほうがいい?」など疑問や不安を抱くこともあるのではないでしょうか。
そこで今回は、妊娠中の旅行について、行ってもいいのか、行く場合はいつからいつまでが適しているのか、気をつけたいポイントや注意点などをご紹介します。
妊娠中に旅行してもいいの?
妊娠中に旅行をしてはいけないという決まりはありませんが、さまざまなリスクがあることを理解したうえで、行くかどうかを考える必要があります。
行く場合は、かかりつけの産婦人科の医師に相談して許可をもらったうえで、旅先はどこにするか、いつ行くかなどを決めるようにしましょう。
海外旅行については、国内旅行よりもさらにリスクが高くなるため、妊娠全期を通しておすすめはできません。
それでも行きたいという場合は、必ずかかりつけの医師に相談してから綿密に計画を練るようにしてくださいね。
妊娠中に旅行するとどんなリスクがあるの?
妊婦さんが旅行をすることで考えられるリスクには、以下のようなことがあります。
急な体調の変化
妊娠中は疲れやすく急な体調の変化も起こりやすいので、旅行で長時間移動することは体に大きな負担となります。
また、旅先の気候や滞在先の環境などの影響も受けやすいと考えられます。
移動中や滞在先で体調が悪くなったり、万が一、切迫早産や早産などが起きたりした場合は現地で病院を探す必要があり、すぐには受診できないリスクもあることを覚えておきましょう。
食あたりや感染症
妊娠中は免疫力が低下しています。旅行中は食べ慣れないものを食べることもあり、妊婦さんは食あたりを起こすリスクがあるため注意が必要です。
また、移動のために公共の乗り物や旅先の観光地が混んでいる場合は、感染症にかかるリスクも高くなります。感染症にかかるとお腹の中の赤ちゃんにも影響がでるおそれがあります。
妊娠中に旅行へ行くならいつからいつまで?安定期ならOK?
妊娠中に国内旅行をする場合、「この時期なら大丈夫」と一概にいうことはできません。
妊娠初期はつわりの症状があらわれるなど体調が不安定になりやすく、妊娠後期になるとお腹が大きくなって動きにくいうえに切迫早産や早産になるリスクもあります。
このため、妊娠中に旅行へ行く場合は安定期(妊娠16〜27週頃)がいいとされています。
ただし、安定期だからといって安全・安心というわけではありません。妊娠中は何が起こるかわからないものなので、旅先で体調が急変したり破水したり、さまざまなリスクがあるということは覚えておいてくださいね。
また、切迫流産・早産や妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病などの合併症がある妊婦さんは、安定期であっても医師から旅行の許可をもらうことは難しいでしょう。
妊娠中に温泉旅行にいっても大丈夫?
以前は妊婦さんは温泉への入浴を避けるべきとされていましたが、医学的根拠がないため現在では温泉に入っても問題がないとされています(※1)。
ただし妊娠中は、のぼせやすかったり、お腹が大きくなっている妊婦さんは足元が不安定になったりするため、注意は必要です。
また、温泉によっては「妊娠中は入らないでください」と注意書きをしているところもあるので、妊婦さんが入ってもいいかどうか、事前に宿泊先や温泉に確認しておきましょう。
妊婦は飛行機に乗って旅行してもいい?安定期なら大丈夫?
旅行の移動手段が飛行機となる場合、機内が乾燥していたりフライト中に気圧の変化や大きな揺れが起きたりして地上の状態とは著しく異なるため、妊婦さんにとってリスクが大きいといえます。
長時間同じ姿勢でいなければいけないことも、妊婦さんにはつらいものとなるかもしれません。
妊娠中に飛行機に乗ってはいけないということはありませんが、かかりつけの医師に許可を得てから利用するようにしましょう。
なお、分娩予定日の28日以内に国内線の飛行機に乗る場合は「医師の診断書」、7日以内は「医師の診断書」に加えて「医師の同行」が必要になるので注意してください(※2,3)。事前に航空会社に問い合わせをしておくと安心ですね。
妊娠中の旅行では、どんなことに注意すればいい?
さまざまな条件が整い、妊娠中に旅行に行けることになったとしても、油断は禁物です。以下の注意点やポイントに気をつけましょう。
かかりつけの医師に許可をもらう
かかりつけの医師に予定している旅行先や滞在日数、移動手段などを伝えて、旅行をしても問題ないか判断してもらってください。安定期であっても、必ず許可をもらうようにしましょう。
許可がおりたら出発まで体調管理を徹底して、体調が万全であることを確認してから旅行に向かうようにしてくださいね。
体調が万全じゃないときは取りやめる
直前や当日に体調が悪くなった場合は、旅行を取りやめるようにしましょう。
「せっかく計画していたから」「キャンセル料がかかるから」といった理由で無理に決行してしまうと、母体やお腹の中の赤ちゃんにリスクが及ぶこともあります。
母子手帳・健康保険証を携帯する
妊娠中の旅行では、移動中や旅先で何かあったときのために、母子手帳と健康保険証を必ず持っていっておきましょう。
現地の病院にかかるようなことになった場合、診察がスムーズに進みます。
万が一のことを考えて、道中や旅先の病院を下調べしておくことも大切です。
無理をしない
移動中や旅先で疲れや体調の異変を感じたら、すぐに休むようにしましょう。安定期でも無理に動くと赤ちゃんに危険が及ぶ可能性もあります。
妊娠していないときと同じような行動をすることは控え、常に妊娠中であることを忘れずに落ち着いて行動しましょう。
体を冷やさない
体が冷えると、お腹が張りやすくなったり体調を崩しやすくなったりします。寒い場所へ行くときはもちろん、暑い地域でも室内の冷房に気をつけましょう。
重たい荷物を持たない
旅行ではつい荷物が多くなりがちですが、妊婦さんが重い荷物を持つと疲れやお腹の張りにつながることもあります。パートナーや同伴者に持ってもらうか、キャリーバッグや宅配便などを利用しましょう。
感染症対策をしっかりと
妊娠中は風邪などにかかっても自己判断で市販薬を飲むことができません。
あらゆる感染症から身を守るために、マスクを着用する、こまめに手洗いをする、人混みは避けるなど、基本の感染症対策を怠らないようにしましょう。
妊婦さんだけでなく、一緒に旅行をするパートナーや家族、友人も同じように気をつけることが大切です。
旅行先で友人や親戚などと会う予定がある場合は、当日に連絡を取り合って、相手の体調が優れないときは会うのを控えるようにしましょう。
妊娠中の旅行は体調を優先して慎重に
妊娠中の旅行は、たくさんのリスクが伴うものです。医師の許可がおりて旅行に行く場合は、くれぐれも無理をせず体調を第一優先にしましょう。妊娠中にパートナーとの思い出を作りたい方は、下記の記事も参考にしてみてくださいね。