安産体操とは、出産に向けてお産がスムーズに進むように妊婦さんが行う体操です。出産の一番の目的は、安全に元気な赤ちゃんを産むことですよね。それには、この安産体操で産道を柔らかくするのが有効だといわれています。そこで今回は、安産体操について、いつからいつまでどのように行えば良いのかなど、詳しくご紹介します。
安産体操とは?産道が柔らかくなるの?

安産体操とは、骨盤や股関節など、産道周辺の筋肉を鍛えたり、やわらかくしたりする体操です。無理のない範囲で実践すると、産道が広がりやすくなり、お産がスムーズに進むといわれています。
お腹が大きくなるにつれて体が重くなり、運動をする機会が減りますが、極端な運動不足は出産に悪影響を及ぼす可能性があると言われています(※1)。安産体操は自宅で簡単にできるので、普段あまり運動をしない、体力がない、体が硬いといった人におすすめです。
また、股関節をよく動かす、骨盤周りを柔らかくするといった動きは、腰痛や恥骨痛など、妊娠初期のマイナートラブルの予防にもつながります。
さらに、深くゆっくり呼吸しながら行うことで副交感神経が優位になり、リラックス効果やストレスの軽減も期待できますよ。呼吸は、特に吐くことに意識を向けましょう。
安産体操はいつから始める?いつまで続けられる?

妊娠中の適度な運動は適切な体重増加や健康維持、安産のために大切ですが、妊娠初期の体調が不安定な時期の無理な運動は、体に負担をかけてしまうので避けましょう。安産体操は、安定期と呼ばれる妊娠中期(妊娠5ヶ月~/妊娠16週〜)に入ってから始めるのが良いでしょう。
ただし、すべての妊婦さんが妊娠中期以降に始められるわけではありません。つわりが続いている、出血があるなどの不調がある場合は、やめておきましょう。始める前に妊婦健診で、かかりつけの医師に確認してから行うといいですね。
安産体操はいつまでに終わらせなければいけないという決まりはありません。正期産の期間となる妊娠37週以降も安産体操を続けることで、お産の促進効果もあるといわれています。
しかし、妊娠中期同様、無理は禁物です。妊娠後期はお腹が張りやすい時期なので、お腹が張る・痛みがある、などの異常を感じたらすぐ中止してくださいね。
安産体操のやり方は?
それでは、自宅でもできる簡単な安産体操をいくつかご紹介します。家事をしながら、テレビを観ながら、軽く行うだけでかまいません。ただし安産体操は、お腹の張りがないときに行うことが大原則です。体調の良いときに、行うようにしましょう。
首・肩まわりをほぐす

まずは、首・肩回りからほぐしていきます。最初に首を前後左右にゆっくり傾け、ぐるりと360度回します。時計回りと反時計回りの方向で順番にゆっくりと回しましょう。

次に、両肘を肩の高さまで水平にあげ、指先を肩に置きます。この状態で肘をゆっくりと回していきましょう。時計回りと反時計回りの方向で順番に行うと良いですよ。
この体操で肩のこりをほぐし、血行を促進していきます。お腹に影響のない部位の体操なので、安心して手軽に行うことができますよ。
骨盤まわりをほぐす

次は、出産にとって大事な部位、骨盤周りをほぐします。
まず仰向けに寝転がり、ひざを立てます。そのひざをくっつけたまま左右にゆっくり倒せるところまで倒します。このとき、肩が床から離れないように、できるだけ両腕は床につけておきます。
左右に倒したとき、気持ちの良い方を優先的に行いましょう。筋トレではないので、ゆっくりと気持ち良さを感じながらできると良いですね。痛みやお腹の張りを感じた場合はすぐにストップしましょう。
股関節を柔らかくする

出産には股関節周辺の柔らかさも大切です。股関節は、日頃開く機会があまりないので、硬くなってしまいがちな部位です。出産までにゆっくりとほぐしていってあげましょう。
まず、あぐらを組むように足の裏を合わせて座り、両手をひざの上に置きます。そして両ひざを床に向けて手でじわじわと押していきます。床から膝の距離が離れているほど、股関節が硬い証拠です。しかし無理に伸ばそうとすると痛みが出ることもあるので、毎日少しずつ優しく行ってください。
お腹が大きくて体勢がつらい場合は、お尻の下にクッションなどを入れるとやりやすくなりますよ。
腹筋・背筋を使って背骨を動かす

妊娠中は、お腹の重みで腰痛になりやすいものですよね。この腹筋運動は、筋肉増強やダイエット目的のような激しいものではなく、腰痛を和らげてくれる簡単な体操です。背中が伸びて気持ちいい体操ですよ。体に負荷がかからない程度に続けましょう。
まず四つん這いになって、ゆっくり息を吐きながらおへそをのぞき込むように背中を丸め、頭を下げます。次に、息を吸いながら、ゆっくりと背中をそらして頭を上げ、天井を見上げます。これを数回繰り返します。
骨盤底筋を鍛える

出産準備に向けて、骨盤底筋は緩くなっていくものです。しかし、骨盤底筋が緩いままだと妊娠後期や産後に尿漏れを起こす原因にもなります。骨盤底筋を鍛えることは、お産の負荷も軽くするといわれていますよ。
まず仰向けに寝転がり、腕を伸ばして手のひらは床つけ、ひざを立てます。息を吐きながらゆっくりと腰を持ち上げましょう。
このときに意識したいポイントは、肋骨や肩甲骨は下方向に力を入れ、お尻を締めながら腰を上にあげていくこと。かかとで床をしっかりと押すともも裏に力が入り、より効果的ですよ。
次に、息を吸い込み、ゆっくり吐きながらお尻を床におろします。これを数回繰り返します。
骨盤底筋は鍛えにくい部分といわれていますが、座っているときや立っているときに「お尻をきゅっと締める→緩める」を繰り返すだけでも効果がありますよ。お尻を締めるときは息を長く吐いてみてください。気が付いたときに実践してみましょう。
安産体操は継続的に行いましょう
妊娠中に安産体操を行ってきた人は、お産がスムーズに進み、分娩が短時間で済むなどの効果があるといわれています。大切なのは少しずつでも続けることです。
たまには公園やベランダにヨガマットを敷いて、日の光を浴びながらなど、シチュエーションを変えると楽しく続けられそうですよね。ストレス解消にも最適です。
安産体操を「しなければいけないもの」と捉えるのではなく、体と心に無理のない範囲でゆっくりリラックスしながら行い、楽しい習慣にできるといいですね。ワクワクできることや、これから生まれてくる赤ちゃんのことを考えながら行うと、気持ちもスッキリしますよ。