妊娠中の飲酒は禁物!妊婦がお酒やアルコールを控えるべき理由は?

記事監修 婦人科医 山本 範子
山本 範子 日本産科婦人科学会専門医。平成5年、日本大学医学部卒。日本大学附属病院および関連病院で産婦人科医として経験を積み、その間に日本大学総合健診センターで婦人科検診にも力を注いできました。現在は港区の日野原... 続きを読む

厚生労働省によると、妊娠中の女性の飲酒率は2010年時点で8.4%(※1)でしたが、妊娠中の母親の飲酒はお腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼすため、お酒は禁物。しかし妊娠中はイライラしやすくストレスもたまるので、お酒が好きな人にとってはやめるのがつらいのかもしれません。実際のところ、飲酒によって胎児にどのような影響があるのでしょうか?今回は妊娠中の飲酒、アルコールが赤ちゃんに与える影響についてご説明します。

妊娠中の飲酒がNGな理由は?

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お腹の赤ちゃんは胎盤を通して栄養をもらっています。妊娠中の母親が飲酒すると、アルコールも血管と胎盤を通過し、受精卵の分化や胎児の発達を妨げてしまう恐れがあります。

大人であれば、肝臓である程度アルコールを分解することができますが、胎児の場合は肝臓の機能が未発達で、アルコールが分解されるまでに長い時間と負担がかかってしまいます。

分解されるまで赤ちゃんの体内にはアルコールが残り、それにより様々な影響が出ると考えられています。

妊婦のアルコール摂取は赤ちゃんにどう影響する?

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妊婦さんがお酒を飲んでしまうと、生まれてくる赤ちゃんに「胎児性アルコール症候群」を引き起こす恐れがあるので、妊娠中のアルコール摂取は厳禁です。

胎児性アルコール症候群の主な影響は、身体面と精神面の2つに分けられます。

身体面への影響

胎児性アルコール症候群による身体的な影響として、下記のものが挙げられます。

● 発育の遅れ:出生時の低体重、栄養とは関係のない体重減少、低身長など
● 特異的な容姿:頭囲が小さい、顔面の形成不全、奇形など
● 身体障害:難聴、まっすぐ歩くことが難しいなど

厚生労働省によると、1日60g(ビール1.5リットル相当)以上のアルコールを、妊娠初期に飲酒していた女性から生まれた子供は、体重や頭位が明らかに小さいという報告もあります(※1)。

精神面への影響

上で挙げた発育の遅れや特徴的な容姿については、子供の成長とともに次第に目立たなくなっていきます。しかし、大きくなるにつれて、「ADHD(注意欠陥多動性障害)」やうつ病など、中枢神経障害が現れてくることもあります。

胎児性アルコール症候群への影響は、乳幼児期だけでなく学童期以降にも及び、学習・衝動コントロール・対人関係などの障害となっていく可能性があります。

なお、胎児性アルコール症候群に治療法はないため、「妊娠中に飲酒しないこと」が大切です。妊娠前はお酒をよく飲んでいたという人にとってはつらいかもしれませんが、生まれてくる赤ちゃんの心身の健康を守るために我慢してくださいね。

妊娠の週数によって飲酒が胎児に与える影響は違う?

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基本的に、妊娠の全期間を通して飲酒による胎児への影響が出る可能性がありますが、「妊娠超初期」「妊娠初期」「妊娠中期~後期」の3つに分けると以下のとおりです。

妊娠超初期(妊娠0~4週)の飲酒

妊娠超初期とは、「前回の生理開始日からの32日間(妊娠0~4週)」のこと。まだ妊娠に気が付かない人も多い時期です。

この時期のアルコール摂取は、胎児への影響は少ないとされますが、大量飲酒をすれば胎児性アルコール症候群や流産の危険性があります(※2)。

妊娠を望んでいる人は念のため、妊活中からお酒を控えると安心ですね。

妊娠初期(妊娠4~15週)の飲酒

妊娠初期は「器官形成期」で、赤ちゃんの臓器や骨格が作られる大事な時期です。

この時期の飲酒は、特に胎児性アルコール症候群への影響が大きく、特異的な容貌や奇形などを引き起こすリスクが高いとされます。

妊娠中期~後期(妊娠16週以降)

妊娠中期以降にアルコールを摂取すると、お腹の赤ちゃんの発育不全や中枢神経系の異常が生じる危険性が高まります。

つわりが終わり、安定期に入るとママの体調が少し楽になりますが、油断はせず引き続き飲酒はしないようにしましょう。

妊娠中の飲酒量はどれくらいまで?

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「コップ1杯程度のお酒をたまに飲むくらいであれば、影響はなかったよ」などと、先輩ママにいわれた経験がある人もいるかもしれません。

ただし、少量の飲酒による胎児性アルコール症候群の報告例もあるように、「どれくらいまでの飲酒量であれば安全」という明確な基準はありません。また、同じ量のアルコール摂取量であっても、少量を長期間かけて飲むケースより、短期間に大量の飲酒をする方が、リスクが高いとされています(※1)。

「少しだけなら飲んでもいいかな…」と考えてしまうこともあるかもしれませんが、赤ちゃんが生まれてから「あのとき飲まなければよかった」と後悔することのないように、妊娠が分かったら一切のアルコールを控えるようにしましょう。

妊婦はアルコール入りの料理にも注意?

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料理に使われているアルコールは?

美味しい料理にはアルコールが使われていることも多くあります。みりんにもアルコールが入っていますが、加熱すると飛んでしまうので、お腹の赤ちゃんへの影響はありません。心配な場合はアルコール度数1%未満の「みりん風調味料」を使うのがおすすめです。

バーボン入りのチョコレ―トや、洋酒漬けのフルーツを使ったケーキなど、アルコールが入っているお菓子も控えるようにしましょう。

ノンアルコールビールは飲んでも大丈夫?

お酒が好きでやめられず、「ノンアルコールビールに変えよう」と思う妊婦さんもいるかもしれません。しかし、一口にノンアルコールビールと言っても、アルコールゼロのものと、少量のアルコール(1%未満)が入っているものがあるので、注意が必要です。

少量のアルコールが入っているものは、胎児性アルコール症候群を引き起こすリスクがゼロではないため、摂取は控えましょう。

妊娠中は飲酒・アルコール摂取を控えよう

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妊娠すると、お酒をはじめ色々な我慢が必要になりますが、毎日お腹の中で一生懸命成長している赤ちゃんに出会える日を楽しみに、頑張って乗り越えましょう。

アルコールのほかに、カフェインの入った飲み物も赤ちゃんに悪影響を与える可能性があるので、妊娠中は注意が必要です。その代わりに、ルイボスティーなどのハーブティーを楽しむのもおすすめですよ。

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