妊娠初期はまだお腹が大きくありませんが、生理痛に似た軽い下腹部痛や引っ張られるような痛みなど、違和感を覚えることがあります。お腹が張ったような感じになるので、「流産の兆候なのかな」といった不安がよぎるかもしれません。そこで今回は、妊娠初期のお腹の張りの原因や対策について、先輩ママの体験談と共にご紹介します。
妊娠初期のお腹の張りとは?どんな状態?

妊娠中の「お腹の張り」は子宮の動きと連動しています。子宮は筋肉でできているため、伸びたり縮んだりすることで腹部に痛みが現れます。特に子宮の筋肉がキュッと縮んでこわばるとお腹が硬くなり、「お腹が張る」状態になるのです。
しかし、妊娠初期(妊娠1〜4ヶ月)はお腹の膨らみがまだ目立たない時期。「お腹が張る」とはどのような状態なのか、分からない妊婦さんも多いのではないでしょうか。
妊娠初期のお腹の張りの体験談
お腹が重い感じがする
妊娠初期から、お腹が硬く、重い感じがしました。腰も重く、なんだかお腹に不快感があるのですが、特に強い痛みはありませんでした。当時は、これがお腹の張りだと気づきませんでした。
Sさん 30代
子宮がギュッと掴まれる感じがする
妊娠初期から、痛くはないのですが、子宮がギュッと掴まれる感じがしていました。妊娠中のお腹の張りはよくあることだと思っていたら、健診で切迫流産気味なので安静にするよう言われました。
Kさん 30代
妊娠初期のお腹の張りは、強い痛みがあるわけではなく、お腹が重く、下腹部に違和感がある程度のようです。ただし、後ほど詳しくご説明しますが、子宮のあたりだけが張っている場合、切迫流産の可能性があるため注意が必要です。
妊娠初期にお腹の張りが起きる原因は?

出産が近くなってきて赤ちゃんを生むための準備として子宮収縮が起こるようになるので、妊娠中期や後期にはお腹が張りやすくなります。
ただ、妊娠初期であってもお腹が張ることもあります。妊娠初期にお腹の張りが起きるのは、主に以下のような原因があるとされています。
ストレスや疲れ
子宮は通常、柔らかくゆるんだ状態ですが、ママが活発に動いて疲れたり、過度なストレスを感じたりすると、子宮の筋肉が収縮することがあります。子宮が収縮することで、お腹が硬くなり、張ったように感じることがあります。
動きすぎるとお腹が張る
散歩をしたり買い物に行ったりしたとき、お腹が張るようになりました。家でゆっくりしているときにお腹の張り感じなかったので、動きすぎたときにお腹が張るのだと思いました。
Sさん 30代
夕方からお腹の張りがひどくなる
妊娠初期は仕事をしていたので、通勤で満員電車に乗ったり、歩き回ることが多くありました。そのせいか、特に疲れが出てくる夕方からお腹の張りを強く感じました。
Kさん 30代
妊娠初期は、長時間立ち仕事をしたり、よく歩いたりすると、疲れによってお腹の張りを感じるようです。
子宮が大きくなることによる圧迫
妊娠初期は、まだお腹の膨らみは目立ちませんが、子宮は赤ちゃんの大きさにあわせて少しずつ大きくなっています。大きくなった子宮が周囲の臓器を圧迫することにより、お腹が張ったように感じることがあります。
子宮が大きくなることにより靭帯が引っ張られる
子宮が大きくなる過程で、それを支える靱帯や子宮広間膜などが引っ張られます。このときにお腹が張ったような感覚を伴います。
お腹だけでなく足の付け根も張る
妊娠初期の頃、お腹の張りに加えて、太ももの裏側が張ることがありました。足の付け根がしびれて歩くのが辛いこともありました。
Sさん 30代
靭帯は足にもつながっています。お腹の張りだけでなく、足の付け根にしびれを感じる場合は、子宮が大きくなることで靭帯が引っ張られていることが原因と考えられます。
便秘の影響
妊娠するとホルモンバランスが変化して、消化器官の筋肉が緩みます。また、大きくなり始めた子宮が胃や腸を圧迫することにより、消化器官の機能が低下します(※1)。そのため、妊娠初期から便秘気味になる人が増え、お腹にガスなどが溜まって張ったように感じてしまうことがあります。
妊娠初期のお腹の張りは対策できる?

妊娠初期のお腹の張りを感じる場合は、次のようなことを心がけてみましょう。
- 電車やバスに乗るときはなるべく座る
- 歩くスピードを遅くする
- お腹の張りを感じたら少し休む
- 便秘を予防する
妊娠中は体が大きく変化しているため、疲れを感じやすい状態です。先述のように、ママが疲れを感じたときにお腹が張ることが多いため、妊娠初期は無理をせず、お腹の張りを感じたときは休むことが大切ですよ。
また、便秘によってお腹の張りを感じている場合には、食物繊維や水分、ヨーグルトなどを積極的に摂取してお腹の調子を整えてみてくださいね。
妊娠初期のお腹の張りで注意すべきものは?

妊娠初期のお腹の張りは問題ないケースがほとんどですが、なかには重大なトラブルが隠れていることもあります。もっとも注意したいのが、「切迫流産」です。
- 恥骨のすぐ上の子宮のあたりだけが硬くなっている
- 動いていなくてもお腹の張りを感じる
- 不正出血がある
上記のような症状がある場合は切迫流産の恐れがあるため、早めに産婦人科を受診しましょう。
また、切迫流産以外にも、消化器系の病気などのお腹まわりで起こる病気が張りを引き起こしていることもあります。いつもと違った張りを感じたときは念のためかかりつけの産婦人科に相談しましょう。
妊娠初期のお腹の張りで病院に行くタイミングは?

先述のように、妊娠初期のお腹の張りは生理的な体の変化によっても起こるので、少し安静にして治まるようなら過度に心配する必要はありません。
しかし、5~10分ほど休んでも治まらなかったり、1時間のうちに何度も張りを感じたりする場合は、念のためかかりつけの産婦人科に相談してください。激しい痛みや出血を伴うときも同様です。
お腹の張りで病院を受診する場合は、「いつからお腹の張りを感じているか」「おりものの色や出血の有無」「張りを感じる場所」「張りの頻度と感覚」などを質問されることが多いので、記録をとっておくと診察がスムーズに進みますよ。
妊娠初期にお腹の張りが続き、痛みがあれば病院に相談しよう

妊娠初期は流産の可能性もあることを知っている分、体に様々な変化が訪れると不安になりますよね。お腹の張りが現れたら気になってしまうのは仕方ないこと。しかし、気にしすぎてストレスを感じてしまうのは、かえって体によくありません。
妊娠初期のお腹の張りは生理的なものであることも多いですが、お腹がカチカチに硬くなったり、安静にしていてもお腹が張ったりする場合は注意が必要です。少しでも不安を感じたら、自分一人で抱え込まず、産婦人科を受診するか妊婦健診の際に相談してくださいね。