新米パパ必見、妊娠初期の基礎用語辞典!永久保存版!【パパペディア】

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

妊娠・出産にはさまざまな専門用語があります。聞いたことがある用語もあれば、あまり聞いたことがない用語や意味が分からない用語もあるかもしれません。

そこで今回は、パパが知っておくべき妊娠初期の用語をあいうえお順でご紹介します。これを読めば、ママが話す言葉の意味がわからずオドオドしてしまう…なんてこともなくなるかも!

なお、妊娠初期のママの体調変化や赤ちゃんの成長の流れを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

戌の日(いぬのひ)

戌の日とは「帯祝い」とも呼ばれ、妊娠5ヶ月目に妊婦さんが腹帯を巻いて安産祈願をする日本の風習です。子だくさんでお産が軽いといわれる犬にあやかり、十二支の戌に当たる日に安産祈願を行うようになりました。

パパがすべきこと① 早めのスケジュール確認

戌の日は12日に1度。つまり月に2〜3回は戌の日が回ってきます。各神社やお寺のホームページ、カレンダーなどで戌の日を確認しましょう。

戌の日は必ずしも土日と重なるわけではありません。また「大安」「仏滅」など六曜を気にするママもいるので、妊娠5ヶ月の中でもどの戌の日を安産祈願の日として選ぶのかは、ママとしっかり相談することが大切です。神社によっては戌の日の安産祈願に事前予約が必要なところもあるので、あらかじめ確認しておくことがおすすめですよ。

絶対に戌の日にお参りしなければいけないわけではないので、予定を立てたとしてもママの体調を最優先にし、柔軟に動けるといいですね。

下記で出産予定日をもとに戌の日の算出ができるので、せび活用してみてください。

パパがすべきこと② 腹帯の準備

腹帯とは、妊婦さんのお腹に巻く帯で、お腹の安定や冷えの予防を目的とするマタニティ用品のこと。

腹帯は巻いて向かうことも、すでに持っているものを持参することも、その場で購入もできますが、詳しい風習は地域や神社、お寺によってさまざまです。

ママ自身が準備したいという場合も多いかもしれませんが、「準備は済んだ?」と事前に一声かけられるといいでしょう。

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高齢出産(こうれいしゅっさん)

日本産科婦人科学会の定義では、35歳を過ぎてからの初めての妊娠のことを「高齢妊娠」といいます。

経産婦については特に定義がありませんが、おおむね35歳以上になると妊娠・出産時のリスクが高まるといわれています(※1)。そのため、35歳以上の出産を広く「高齢出産」ということが多いようです。

2019年の調査によると、全分娩に対して、35歳以上の分娩が29%以上、40歳以上の分娩は5.9%以上であったということがわかっており、出産年齢の高齢化が進んでいます(※5)。

高齢出産のリスクとメリットは?

高齢出産のリスクとメリットは以下のとおりです。

リスク

● 染色体異常児が発生する可能性が高くなる
● 妊娠中、病気にかかりやすい
● 流産や早産の確率が上がる

メリット

● 経済的に余裕ができた状態で子育てがしやすくなる
● 人生経験を重ね精神的にゆとりがある

リスクばかりに注目しがちですが、良い面も多々あります。とはいえ、もしご家庭の状況が高齢出産に該当する場合は、高齢出産だと何が起きやすいのかをパパが事前に知っておくことはとても大切です。

不安や疑問があったら、かかりつけの医師や助産師に相談するようにしましょう。

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出生前診断(しゅっしょうまえしんだん)

出生前診断とは、赤ちゃんが生まれる前に先天性・遺伝性の病気、奇形、染色体異常などがないかどうかを調べる検査の総称です。

出生前診断は希望すれば誰でも受けられるというわけではなく、日本産科婦人科学会は「適性な遺伝カウンセリングを提供したうえで実施されるべき」との見解を示しています(※2)。夫婦のどちらかが染色体異常を持っていたり、胎児が重い病気にかかる可能性がある場合などに、行われることもあります。

具体的な方法は、主に以下の5種類です。

●胎児スクリーニング検査(胎児ドック)
●母体血清マーカーテスト
●母体血胎児染色体検査(NIPT)
●絨毛検査
●羊水検査

出生前診断の種類・受けられる時期・費用は?

出生前診断で行われる検査について、それぞれの内容や方法、費用は以下の通りです。

胎児スクリーニング検査

非確定的検査
受けられる時期:初期/妊娠11~13週、中期/妊娠18~20週
費用:2~5万円程度

通常の妊婦健診でも超音波検査を行いますが、それとはまた別に行う超音波検査です。一般的に、妊娠初期と妊娠中期に1回ずつ受けることができます。

主に妊娠初期は胎児の染色体異常、妊娠中期は胎児の体や臓器の形の異常がないかをチェックします。

日本では胎児スクリーニング検査(胎児ドック)を実施している病院はあまり多くありませんが、その一部を下記の関連記事でご紹介しています。

母体血清マーカーテスト

非確定的検査
受けられる時期:初期/妊娠11~13週、中期/妊娠15~20週
費用:1~2万円程度
※初期母体血清マーカーテストを受けられる施設はわずか

母体の血液から赤ちゃんのの体で生成されるホルモンの濃度を調べ、胎児の染色体に異常がないかを検査します。

検査で調べる血液中の成分の種類が3つのものを「トリプルテスト」、4つのものを「クワトロテスト」といいます。

結果が陽性だった場合、確定診断のために羊水検査を受けることもあります。

NIPT(新型出生前診断)

非確定的検査
受けられる時期:妊娠10週以降
費用:20万円前後

「新型出生前診断」とも呼ばれるNIPT(母体血胎児染色体検査)は、母体の血液を採って、胎児に染色体異常がないかどうか調べる検査です。

確定診断ではないため、陽性が出た場合、羊水検査を受けることもあります。

NIPTを受けるためには、以下のいずれかの条件を満たしている必要があります(※3)。

● 胎児超音波スクリーニング検査または母体血清マーカーテストで、胎児の染色体の数に異常がある可能性が指摘されている
● 過去に染色体の数に異常がある赤ちゃんを妊娠したことがある
● 高齢妊娠である
● 両親のどちらかに均衡型ロバートソン転座という染色体異常があり、胎児が13トリソミーまたは21トリソミーである可能性が指摘されている

絨毛検査(10~20万円程度)

確定的検査
受けられる時期:妊娠11週以降
費用:10~20万円程度

絨毛検査は、ママのお腹に針を刺すか、子宮頸部にカテーテルを挿入して胎盤から絨毛を採取し、胎児に染色体異常や遺伝子異常がないかどうかを調べる検査です。

比較的早い時期に行うことができ、染色体や遺伝子の異常がほぼ100%の確率でわかるというメリットはありますが、母体と胎児にわずかに負担がかかる検査なので、実施条件がいくつかあります(※4)。

羊水検査(10~20万円程度)

確定的検査
受けられる時期:妊娠15~16週以降
費用:10~20万円程度

母体のお腹に針を刺し、採取した羊水の成分から胎児の染色体異常や遺伝子異常がないかチェックする検査です。

絨毛検査と同じく、精度はほぼ100%ですが、母体と胎児にわずかながらリスクがあるため、受けるかどうかは慎重に検討する必要があります(※4)。

出生前診断のメリット・デメリットは?

高齢出産で染色体異常のリスクが高い妊婦さんや、過去に染色体異常などがある赤ちゃんを授かった妊婦さんの場合、検査を受けることで不安要素が減る可能性があります。

生まれてくる赤ちゃんに先天性の病気や染色体異常の可能性が高いとあらかじめわかれば、パパやママが心の準備をしておける、障害について事前に学ぶことができる、生後必要となるケアや資金面の調整を考えられるといったメリットもあります。

その一方で、赤ちゃんに異常があることを知ることで悩みが深くなることも考えられます。

また、出生前診断ではかなり高い確率で染色体異常がわかるといわれていますが、胎児に見られる異常の要因を染色体異常が占める割合は約25%にすぎません(※4)。

「出生前診断をしても、すべての胎児異常がわかるわけではない」ということも踏まえ、検査を受けるかどうかを十分に検討する必要があります。

出生前診断について各検査の内容、費用など詳しくは下記の記事をご覧ください。

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切迫流産(せっぱくりゅうざん)

切迫流産とは、妊娠22週未満で流産の一歩手前になっている状態を指します。流産をしてしまうと妊娠を継続できませんが、切迫流産であれば妊娠を継続できる可能性があります。

切迫流産の原因は?

切迫流産は、以下の原因で起こります。

● 胎児の染色体異常
● 子宮筋腫
● 絨毛膜羊膜炎
● 子宮内の炎症
● 多胎妊娠
など

切迫流産と分かったら?

切迫流産は、自覚症状として出血や下腹部の痛みが現れることがあります。

症状が軽度であれば自宅安静で様子を見ることになりますが、母体の子宮口が開きかかっている、子宮収縮が治まらない、お腹の赤ちゃんの心拍に異常があるといった場合には、入院する必要があります。

自宅で過ごす場合も、入院した場合も、母体に負担をかけないよう絶対安静が基本です。

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胎芽・胎嚢・胎児(たいが・たいのう・たいじ)

胎芽・胎嚢・胎児はすべて、妊娠中のママの体における赤ちゃんと、その成長に関わる器官を指します。

胎芽:胎児の前段階で、赤ちゃんの元になる細胞のこと

胎嚢:胎芽を包む袋のこと。胎嚢は楕円形をしていて、大きさには個人差がある

胎児:胎芽が成長した状態。妊娠8週以降は、胎芽ではなく胎児と呼ぶ。人体に最低限必要な構造が成り立っている

妊娠検査薬で陽性反応が出て産婦人科を受診した際、まず超音波(エコー)検査で子宮内に胎嚢があるかどうかを確認します。

● 胎嚢がある
● 胎嚢の中に胎芽が見える
● 心拍確認(赤ちゃんの心臓の動き)ができる

この3つ全てが確認できれば、「妊娠している」と診断されることになります。

多くの人は妊娠5週頃から胎嚢が確認できますが、胎嚢の大きさは人によって異なるため、初診でははっきり見えない場合もあります。その場合、数日~1週間ほど経ってから再度診察を受けるよう言われるので、心配しすぎずに待ちましょう。

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超音波写真(ちょうおんぱしゃしん)の用語

妊婦健診では、超音波健診で撮影した超音波写真(エコー写真)をもらいます。

そこには見慣れない略語の隣に数値が記載されています。何を示している略語なのかを以下にまとめました(※6)。

超音波写真の用語
● GS:胎嚢(胎芽を包んでいる袋の大きさ)
● CRL:頭殿長(胎児の頭部からおしりまでの長さ)
● BPD:大横径(胎児の左右の頭頂骨<1番長い部分>の直径の長さ)
● FL:大腿骨長(大腿骨の長さ)
● GA:妊娠週数
● EFW:推定児体重(胎児の推定体重)
● AC:体幹周囲長(お腹の周りの長さ)

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つわり

妊娠すると多くの人が「つわり」を経験します。胸やけや胃の不快感があり、ゲップがでたり、常に吐き気がしたりするような状態です。

妊娠に伴うホルモンバランスの変化などが関係していると考えられ、一般的に妊娠5〜6週頃から始まり、ピークは妊娠8~11週頃で、妊娠12〜16週頃まで続きます(※1)。つまり多くの場合、1~2ヶ月くらいはつわりの症状と付き合っていくことになります。

つわりの種類は?

代表的なつわりの症状は、以下の5つに分けられます。どれか1つだけに苦しむ人もいれば、何種類かを経験する人もいて、症状の程度にはかなり個人差があります。

吐きつわり

吐きつわりとは、食事をしているかどうかに関わらず、一日中吐き気に悩まされてしまう種類のつわり。いわゆる一般的な「つわり」のことだと考えてください。

症状が重いと食べ物がまったく喉を通らず、水分補給すら難しくなるケースもあります。吐きつわりで嘔吐を繰り返すと脱水症状や飢餓状態になってしまう危険性があります。

食べつわり

空腹になると吐き気が現れるのが「食べつわり」です。食事と食事の時間が空いてしまうと胃がムカムカして胸焼けがしたり、吐き気をもよおしたりします。

ずっと口に食べ物を入れていないと落ち着かない人もいるので、食べつわりは体重増加に気をつける必要があります。

匂いつわり

妊娠初期は匂いに敏感になるため、特定の匂いに刺激されて吐き気をもよおすことがあります。これが匂いつわりです。

特定の匂いといっても、生ゴミの悪臭やタバコの煙のように誰もが臭いと感じるものだけではありません。白米を炊いた匂いや特定の香水の匂いなど、普段の何気ない匂いにも敏感に反応するようになる妊婦さんもいます。

匂いつわりでどの匂いが苦手になるかは、個人差があります。

眠りつわり

眠りつわりの妊婦さんは、妊娠前に比べて眠気がひどくなります。眠気の強さには個人差があり、寝不足で眠い・だるいのと同程度の妊婦さんもいれば、日中にあまりの眠さで急に意識を失ってしまうほどの妊婦さんもいます。

どれだけ眠っても寝不足に感じるので、日常生活に支障をきたすこともあります。

よだれつわり

よだれの分泌量が過剰になるのが、よだれつわり。食事などで唾液の出る量が以前に比べて増える程度の妊婦さんもいれば、食べ物を食べるとき以外にも唾液が出続けて定期的に吐き出さないといけなくなる妊婦さんもいます。

よだれが少ないうちは飴やガムでごまかせますが、量が多くなってくると自分の唾液を飲み込むのも一苦労するほどです。

他にもさまざまな症状が

上記以外にもいろいろな症状があります。具体的には以下のとおりです。

● 全身がだるくなる
● 頭痛がする
● 食の好みが変わる
● 食欲がなくなる
● 唾液の分泌量が増える

各つわりの対処法については以下を参考にしてみてください。

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妊娠悪阻(にんしんおそ)

つわりの症状があまりに悪化し、治療が必要なほど重症化した状態を「妊娠悪阻」といいます。

約50〜80%の妊婦さんがつわりを経験するのに対して、妊娠悪阻が見られる頻度は約1〜5%です(※1)。

妊娠悪阻の症状は?

妊娠悪阻は、何度も嘔吐を繰り返し、ほとんど食事ができないという状態が1日中続くのが特徴です。

妊娠悪阻の症状は以下のように段階的に悪化するので、できるだけ早く対処することが大切です(※1)。

1期

何度も嘔吐を繰り返す、あるいは食べ物をほとんど食べられないといった摂食障害が見られます。脱水症状による口の渇き、だるさ、めまいなどが起こりやすくなり、体重が減少し始めます。

2期

飢餓状態になり、エネルギー源であるブドウ糖が不足するため、体内の脂肪をエネルギーとして分解します。その結果、血中・尿中のケトン体が増加するだけでなく、低たんぱく血症が起きます。ビタミンB1も不足します。

また脱水状態に陥ることで血液が濃縮され、血の巡りが悪くなります。深部静脈血栓症のリスクが高まるので、注意が必要です。

3期

血液循環が悪くなることによる肝・腎障害や、体内のケトン体が増えすぎることによる代謝性アシドーシス、低たんぱく血症による胸水・腹水の貯留などが見られます。

4期

意識障害や眼球の揺れ、小脳障害を引き起こす「ウェルニッケ脳症」になると、最悪の場合、命に危険が及ぶ恐れがあります。

妊娠悪阻で病院を受診するタイミングは?

妊娠悪阻かどうか判断するのは難しいですが、「1日に何度も嘔吐している」「水すら飲めない」「体重が急激に減少している」「トイレの回数が極端に減った」といった症状が見られたときには、できるだけ早く産婦人科を受診しましょう。

妊婦さん本人も気づかないうちに脱水・飢餓状態に陥ってしまうこともあるので、パパが早めに気づいてあげられることが大切です。

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妊娠週数(にんしんしゅうすう)

妊娠週数は妊娠周期とも呼ばれ、妊娠から出産までの期間を「7日間で1週」と区切って計算したものです。妊娠の経過をわかりやすくするための週数で、カレンダー上の週数の数え方とはまったく異なります。

一般的に妊娠期間は満280日で、分娩予定日までの妊娠週数は40週です(※1)。

妊娠週数の数え方は?

妊娠週数は、妊娠の成立=着床してから数え始めると考えがちですが、実際は最後に生理が来た初日(=最終月経開始日)から数えます。

最終月経開始日を妊娠0日目として考え、妊娠0〜6日目が妊娠0週、妊娠7〜13日が妊娠1週となります。妊娠日数と週数は0から起算する点に注意してください。

妊娠週数で出産予定日はわかる?

一般的に産婦人科で妊娠が確定すると、最終月経開始日から計算した妊娠週数をもとに、40週0日目にあたる日が出産予定日と告げられます。

ただし最終月経開始日がはっきりしなかったり生理周期が28日間でなかったりする場合は妊娠週数にズレが生じるため、この時点での出産予定日はあくまでも予測です。

妊娠週数の妊娠初期・中期・後期って?

約10ヶ月間の妊娠期間は、「妊娠初期」「妊娠中期」「妊娠後期」に分けられ、妊娠週数をもとに区切られています。

● 妊娠初期:妊娠0週0日~15週6日
● 妊娠中期:妊娠16週0日~27週6日
● 妊娠後期:妊娠28週0日〜

妊娠週数を数える便利なツールや出産予定日の詳しい計算方法などは以下をご覧ください。

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妊娠届出書(にんしんとどけでしょ)

妊娠届出書とは、女性が妊娠したときに住民票のある市区町村の役所や保健センターへ提出する書類のこと。

自治体から母子手帳と妊婦健診にかかる費用が助成される補助券(妊婦健康診査受診票)を交付してもらう際に必要になります。

妊産婦向けの行政サービスを受けるために必要になるので、できるだけ早い提出がおすすめです。

妊娠届出書の提出の流れ

1. 妊娠届出書をもらう

心拍が確認できて「母子手帳をもらってきてください」と言われると同時に、病院や産院などの医療機関で妊娠届出書をもらえる場合と、自治体の窓口でもらう場合があります。

2. 妊娠届出書を書く

妊娠届出書は、基本的には書類に記載された指示通りに書けば問題ありません。自治体ごとに記入項目が異なるため、詳しくは各自治体に確認しましょう。

3. 妊娠届出書を提出する

妊娠届出書を記入したら、自治体の窓口に提出しに行きましょう。

提出時には、マイナンバー確認書類と本人確認書類が必要になることが多いようです。各自治体のホームページで確認のうえ、しっかり準備するようにしましょう。

ママの代わりにパパも提出できる!

ママがつわりで体調がすぐれないなど、提出先の自治体窓口までママ本人が出向けない場合には、パパ(代理人)が提出してもOKです。郵送での提出が可能な自治体もありますよ。

代理人が提出する場合は、委任状や代理人の本人確認書類、ママ本人のマイナンバーが必要なことも。事前に自治体のホームページを確認しましょう。

その他、妊娠届出書についての詳細は以下を参考にしてください。

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妊婦健診(にんぷけんしん)

妊婦さんや赤ちゃんの健康状態を定期的に見るための健診。主な目的は以下の通りです。

● 妊娠に伴う心身の変化に適応できているか、母体の健康状態を確認する
● 胎児が元気に成長しているか、異常がないか確認する
● 子宮収縮や子宮口の状態から分娩時期を予想する
● 妊娠中に発症しやすい合併症を予防する
● どのような方法で分娩するのか決める
● リスクの高い妊娠を早期に発見する
● 妊婦さんが抱えている不安や悩みの相談にのる
● 妊娠中の過ごし方についてアドバイスする

妊婦健診の内容は?

妊婦健診ではいつも同じ検査をするというわけではなく、時期や健康状態によって検査内容は変わってきます。一般的な妊婦健診の内容は次の通りです。

毎回行う検査

● 問診
● 超音波検査またはドップラー検査
● 尿検査
● 体重測定
● 血圧測定
● 外診

妊娠4ヶ月以降に毎回行う検査

● 腹囲測定
● 浮腫検査

妊娠中期以降に毎回行う検査

● 子宮底長腹定

必要に応じて行う検査

● 内診
● 血液検査
● 超音波検査
● 子宮頸がん検診
● クラミジア検査
● GBSチェック
● NST(ノンストレステスト)

妊婦健診のスケジュールは?

厚生労働省は妊婦健診の標準的な回数を14回として、次のようなスケジュール例を示しています(※1)。

● 妊娠初期~23週:合計4回(4週間に1回)
● 妊娠24~35週:合計6回(2週間に1回)
● 妊娠36週~出産:合計4回(1週間に1回)

これはあくまで一つの目安であり、病院によっては妊娠23週目まで2週間に1回の頻度だったり、初産かどうかや妊娠した年齢などによって妊婦健診の頻度が変わったりすることがあります。

妊婦健診の費用は?

妊婦健診は健康保険が適用されません。一般的な費用は以下の通りです。

● 基本検査:約3000~7000円程度
● 血液検査などの特別な検査を行った場合:約1万~1万5000円

全部で14回あった場合は約10~15万円かかる計算になりますが、補助金で助成されるので自己負担額はこれより低くなります。

母子手帳と一緒に交付される「妊婦健康診査受診票」、いわゆる「補助券(助成券)」によって、妊婦健診の費用が助成されます。自治体によって助成内容や費用は異なるので、交付の際に助成内容を教えてもらうようにしましょう。

補助券を使えない検査もあり、約3~7万円程度は費用を自己負担する人が多いようです。

妊婦健診についてより詳細に知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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不正出血(ふせいしゅっけつ)

月経以外の原因で出血することを「不正出血」と呼び、子宮内の腫瘍や炎症、感染症などが関係していることもあります。

妊娠中は生理が止まっているので、もし出血があれば「不正出血」と考えられます。

妊婦さんは妊娠していないときに比べて体内の血液循環量が増えるため、ちょっとした刺激で出血することもあります(※12)。しかし何らかのトラブルが原因で不正出血が起きている可能性もあるので、注意が必要です。

時期ごとの不正出血の主な原因は以下の通りです。

妊娠初期(妊娠16週未満)の不正出血の原因

● 切迫流産・流産
● 胞状奇胎
● 異所性妊娠(子宮外妊娠)
● 絨毛膜下血腫
など

妊娠中期(妊娠16〜27週)の不正出血の原因

● 切迫早産・早産
● 前置胎盤
● 子宮頸管無力症
● 常位胎盤早期剥離
など

妊娠後期(妊娠28週〜)の不正出血の原因

● 切迫早産・早産
● 前置胎盤
● 常位胎盤早期剥離
● おしるし
など

妊娠中に出血があったら自己判断はせずに、かかりつけの産婦人科医へ相談しましょう。

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分娩予約(ぶんべんよやく)

分娩予約とは、病院や助産院に出産の予約をすることです。

妊娠がわかったら、「赤ちゃんを産む場所」を決めます。一口に「赤ちゃんを産む場所」といっても、以下のとおりタイプはさまざまです。

● 総合病院や大学病院の産婦人科
● 個人病院やクリニックの産婦人科
● 助産院

出産場所を選ぶポイント

上記のなかから選ぶときにチェックしたいポイントを紹介します。

家からの近さ

妊娠初期はつわりの症状があったり、妊娠後期はお腹が大きくなったりと、健診のために産婦人科まで行くのが大変な時期もあります。できるだけ自宅から近い場所や公共の交通機関で通いやすい場所を選ぶと安心です。

陣痛や破水が起きたときのことを想定して、タクシーや車で行っても遠すぎない場所を選ぶようにしたいですね。

施設の充実度

施設によって揃っている機器や入院する部屋のつくりが異なります。

● 4D画像が撮影できる超音波診断装置があるか
● 専門的な検査ができる機器が揃っているか
● 個室か、大部屋か/部屋にどんな設備があるか
● 出産入院中に家族が宿泊できる部屋があるか

などは、分娩予約をする前に知っておいた方がいいポイントです。なかにはレストランやエステのコーナーがある病院もあります。

バーススタイル

自然分娩、無痛分娩、立ち会い出産、陣痛・分娩・回復を同じ部屋で過ごせるLDRなど、希望する分娩スタイルがある場合は、それに対応している産婦人科を探す必要があります。

総合病院では立ち会い出産を認めていない場合や、赤ちゃんとの面会に制限を設けている場合もあります。

費用

正常な妊娠・出産は病気とみなされないため、妊婦健診や分娩には健康保険が適用されません。自治体から費用の助成はされますが、それでも妊婦健診時の基本検査で約3,000~5,000円、血液検査などの特別な検査を行った場合は約10,000~15,000円がかかります。

総合病院か個人病院かによっても費用が異なりますが、気になる人は、健診から分娩までトータルでどのくらいの費用がかかるのか、初診を受ける前に確認しておきましょう。

産院の医療処置やスタッフの対応

産婦人科によって、お産の時の会陰切開、浣腸、剃毛、点滴、導尿、分娩監視装置の装着などの医療処置を行うかどうかの方針が異なります。どうしても行ってほしくない医療処置がある場合は、産婦人科に方針を確認してみましょう。

また、妊娠中から産後まで長くおつきあいすることになるので、疑問や不安、要望に誠実に対応してくれそうな医師や助産師がいるかどうかも、確認したいポイントです。

里帰り出産の受け入れ有無

里帰り出産を希望する場合は、帰省先で里帰り出産に対応している産院をできる限り早く探す必要があります。

実家からの近さや通いやすさ、希望の出産方法を選択できるかなど、上記と同じポイントで探しましょう。

分娩予約はママの希望を聞いて話し合おう!

産科医の減少に伴い、家の近くに分娩を行っている産婦人科がなかったり、希望する病院の分娩予約がいっぱいで受け付けてもらえなかったりするケースもあります。

ほとんどの産婦人科では、出産予定日が確定した時点で分娩予約ができるので、早めに予約の手続きを進めることが重要ですよ。

まずは「無痛分娩で産みたい」「立ち会い出産がしたい」など、ママがどのような出産をしたいか考え、夫婦で話し合って下調べしましょう。

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母子感染(ぼしかんせん)

ウイルスや細菌などの微生物が原因となって発症する病気を「感染症」といいます。このウイルスや細菌が、妊婦さんからお腹の赤ちゃんへ移行して感染するのが「母子感染」です。

妊娠する前に感染症を持っていなかったとしても、妊娠中に感染してしまうこともあるので、油断できません。

母子感染の経路には、赤ちゃんがお腹の中にいるときにうつる「胎内感染」、分娩が始まって赤ちゃんが産道を通って出てくるときにかかる「産道感染」、授乳中に母乳を飲むことでうつる「母乳感染」の3つのパターンがあります。

感染症の種類によって感染経路は異なりますが、流産や早産など胎児への影響があるものが多いため、早期の治療と予防が不可欠です。

母子感染に注意したい感染症は?

妊娠中に気をつけたい感染症のなかには、妊婦健診のときに検査を受けられる病気もあります(※13)。早期発見・治療により母子感染や将来的な発症を予防できるので、きちんと妊婦健診を受診しましょう。

また妊婦健診で調べる感染症以外にも、妊娠中に気をつけたいものがいくつかあります。母子感染のリスクがある主な病気をご紹介します(※1)。

妊婦健診で調べる感染症

● 風疹


● B型肝炎

● C型肝炎

● ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症
● 成人T細胞白血病
● 梅毒
● B群溶血性レンサ球菌(GBS)感染症

● 性器クラミジア感染症

母子感染に気をつけたいそのほかの感染症

● 伝染性紅斑(りんご病)


● リステリア症

● サイトメガロウイルス(CMV)感染症
● 水痘(水ぼうそう)

● 麻疹(はしか)

● 性器ヘルペス
● トキソプラズマ症

以上の母子感染を防ぐためには、妊婦健診で受けられる検査は必ず受け、それ以外の感染症についても理解を深め、できるかぎりの予防策を取ることが重要です。

自分自身の健康管理につながるだけでなく、生まれてくる赤ちゃんの命と健康を守るために大切なことなので、日常生活の注意点を守りましょう。

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母子手帳(ぼしてちょう)

母子手帳は、正式には「母子健康手帳」といい、母子保健法に基づいて各市町村長が妊娠の届け出を行った妊婦さんに対して交付する手帳です(※14)。

妊婦さんの健康状態や妊娠中の経過、出産の状態、赤ちゃんの発育の経過や健康診断の結果、受けた予防接種の情報などを記録していきます。

自治体によっては自分で発達や発育を日記のように書ける母子手帳を交付していて、妊娠中から産後まで、身近なものとして活用していくことができます。

母子手帳はどこでもらう?

母子手帳のもらい方は自治体によってさまざま。

一般的には、自宅のある自治体に「妊娠届出書」を提出すれば、その日のうちに母子手帳の交付を受けることができます。妊娠届出書は自治体の窓口にあるか、産婦人科でもらえます。ホームページからダウンロードできる自治体もあります。

自治体によっては母子手帳を発行してくれる曜日や時間が決まっていることがあるので、事前に自治体のホームページなどで確認しておくと安心です。

また妊娠初期のママはつわりなどで体調が安定しないこともあります。そんなときは代理の人が母子手帳の申請をすることもできます。

母子手帳はどう使う?

母子手帳には、妊娠の経過や母体の状況など、妊娠の経過を記録します。そうすることで、急な母体のトラブルにも母子手帳を見るだけで医師が対処できるようになります。

このほか、出産後の子供の予防接種や診察時にも利用します。

また、母子手帳と一緒に妊婦健康診査受診票が交付されます。これは妊婦健診の基本的な検査にかかる費用が助成される補助券です。妊娠は病気ではないので定期健診には健康保険が適用されませんが、補助券を使えばかなり負担が抑えられます。

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葉酸(ようさん)

葉酸は水溶性ビタミンの仲間でビタミンB群の一つです(※7)。妊娠中に葉酸を摂取することで期待できる効果・効能は主に3つあります。

赤血球を作る

葉酸にはビタミンB12とともに赤血球を作り出す働きがあります。葉酸が不足すると正常な赤血球を作ることができず、貧血になってしまいます(※7)。

特に妊娠中は貧血になりがちなので、葉酸を摂取することは貧血予防につながります。

細胞の新生を助ける

葉酸は細胞新生に必要な核酸(DNA、RNA)を作る働きをしています(※7)。核酸は遺伝子の情報を持っているため、胎児が成長する妊娠中に葉酸は大切な役割を担います。

神経管閉鎖障害のリスクを減らす

「神経管閉鎖障害」とは、脳や脊椎の神経管の一部が塞がらなくなる先天異常です(※8)。

近年のさまざまな研究から、妊娠前から妊娠初期(特に妊娠3ヶ月まで)に葉酸が不足しないよう適切な量を摂取することで、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを減らす効果が期待できることがわかっています(※8,9)。

葉酸はいつからいつまで摂るべき?

胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低減するためには、妊娠前からと妊娠初期(特に妊娠3ヶ月まで)に適切な量の葉酸を摂取することが大切です(※8,9)。

また葉酸は妊娠中だけでなく出産後の授乳期にも摂取したい栄養素です。母乳は血液をもとに作られるため、赤血球を作り出す葉酸は重要な役割をします。実際に厚生労働省は、18~49歳の授乳中の人にも、通常より多めに葉酸を摂取することを推奨しています(※10)。

さらに葉酸は核酸合成やアミノ酸代謝の補酵素として重要な働きをするため、産後の抜け毛予防にもなると考えられています(※11)。

妊娠中の葉酸摂取推奨量や葉酸を多く含む食材は、以下を参考にしてください。

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流産(りゅうざん)

「流産」とは、妊娠22週以前に妊娠が終わってしまうことを指します。何らかの原因で妊娠の継続が困難になり、胎児が育たなくなってしまった状態です。

エコー検査で「胎嚢」という赤ちゃんを包む袋が確認できたあと、妊娠22週未満の時期に「胎児(胎芽)が見られない」もしくは「心拍が認められない」場合に診断されます。

全流産のうち、15週目までの妊娠初期での流産が約90%を占めています(※15)。

時期による流産の分類と原因は?

ひとことで流産といっても、時期や状態で分類があり、その原因も異なります。

早期流産

妊娠12週未満で起こる早期流産は、多くの場合、胎児の染色体異常が原因。つまり受精の段階で流産かどうかが決まってしまうことがほとんどです。

後期流産

後期流産は、感染症による絨毛膜羊膜炎や子宮頸管無力症、子宮奇形など、母体側の原因が主になります。ほかにも過度なストレスや運動が流産を引き起こすことがあります。

一般的に妊娠中期は「安定期」と呼ばれますが、この時期以降にも流産が起こる可能性はあります。

流産の種類

流産は、その進行度合いによって大きく5種類に分けられます。

稽留(けいりゅう)流産

「胎児(胎芽)がすでに死亡していて、子宮の中に留まっている状態」を稽留流産といいます。

自覚症状がほとんどないため自分で流産と気づくのは難しく、妊婦健診のエコー検査ではじめて確認されることが多くあります。

胎児が自然に外に出てくるのを待つこともありますが、放置すると進行流産に移行し、強い痛みや出血を伴うこともあります。そのため稽留流産が見つかって1週間後くらいに、手術するかどうかを医師が判断します。

進行流産

進行流産とは「子宮口が開き、流産が進んでいる状態」を指します。切迫流産よりも大量に不正出血が起き、人によっては陣痛のように強い下腹部痛が見られます。

進行流産を止めることはできず、次に挙げる不全流産と完全流産のどちらになるかによって、対処法が異なります。

不全流産

不全流産とは、進行流産のあと「胎児や胎盤などが完全に排出されず、子宮内に一部が残ってしまう状態」をいいます。

場合によっては出血と下腹部痛が続き、子宮内をきれいにするための手術が必要になります。

完全流産

完全流産とは、流産が進行した結果「胎児(胎芽)や胎盤などが、子宮の外に全て流れ出た状態」です。

完全流産になると出血や下腹部痛がなくなり、手術などの治療は不要です。しかし子宮が元の大きさに戻ろうとする「子宮復古」の過程で痛みを感じることもあり、痛み止めや止血剤が処方されることもあります。

化学流産(生化学的妊娠)

化学流産(生化学的妊娠)とは「妊娠検査薬が陽性反応を示したものの、エコー検査で妊娠が確認できる前に流産してしまった状態」をいいます。

産婦人科のエコー検査で胎嚢が確認される前に気づくものなので、人によっては妊娠に気づかないまま化学流産が起き、次の月経(生理)を迎えることもあります。

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妊娠初期の基礎用語を覚えてママとの会話もスムーズに!

妊娠初期、赤ちゃんの目まぐるしい成長とともに、目には見えなくてもママの体でさまざまな変化が起こっています。

赤ちゃんの存在を感じるのはなかなか難しいかもしれませんが、超音波写真を見ながらママの話に耳を傾けることで、ママの体調変化や赤ちゃんの成長をしっかり把握できますし、ママの安心にもつながります。

今回紹介した用語を理解できていれば、ママとの会話に困ることはほぼないはずです。ママの体調変化や赤ちゃんの成長を理解して、できる限りのサポートができるといいですね。

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