妊婦の風疹感染に要注意!妊娠中に抗体がないときの予防法は?

監修医師 産婦人科医 間瀬 徳光
間瀬 徳光 2005年に山梨医科大学(現 山梨大学)医学部を卒業。板橋中央総合病院を経て、現在は沖縄県立中部病院 総合周産期母子医療センターに勤務。産婦人科専門医、周産期専門医として、一般的な産婦人科診療から、救... 監修記事一覧へ

「風疹」は子供のときに感染しているか、予防接種を受けていれば、大人になってからかかることはほとんどありません。しかし、なかには抗体ができておらず、大人になってから初めて風疹に感染する人もいます。風疹はそれほど重い症状が現れるわけではないですが、妊娠中に感染すると胎児に障害をもたらす危険がある病気です。今回は、妊娠中の風疹感染リスクや、抗体がないときの対処法、風疹の予防法についてご説明します。

風疹とはどんな病気?

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風疹とは、風疹ウイルスに感染することで発症する感染症です。春から夏にかけて多く見られ、咳やくしゃみなどの飛沫感染で人から人へうつります。

感染すると、2〜3週間の潜伏期間を経て、首や顔に赤く小さな発疹が現れ、やがて全身に広がります。そのほか、発熱やリンパ節の腫れ、関節痛などの症状も現れることがあります。しかし、およそ4分の1は無症状です(※1)。

症状があったとしても比較的軽く、3日程度で症状が落ち着くので「三日ばしか」とも呼ばれます。

一度感染すれば風疹ウイルスに対する抗体ができるので、ほとんどの人はその後、風疹にかかることはありません(※2)。

妊婦の風疹はなぜ危険?赤ちゃんにどんな影響がある?

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妊娠中に風疹に感染した場合、妊婦さんにはそれほど悪影響はありません。発熱や発疹が現れる程度か、まったく症状が現れない人もいます。

しかし、風疹ウイルスは胎盤を通じてお腹の赤ちゃんに感染し、「先天性風疹症候群(CRS)」を引き起こす恐れがあります。

先天性風疹症候群は主に、次のような症状があります(※1)。

  • 先天性心疾患
  • 視覚障害(白内障、緑内障、網膜症など)
  • 聴覚障害(難聴など)

風疹ウイルスが赤ちゃんに悪影響を与えるリスクは、妊娠週数が進むにつれて減っていきます。

妊娠12週未満で感染すると、赤ちゃんの器官が作られる時期にあたるので、障害を残す危険性が高まります。この時期にママが風疹に感染すると、そのうち80〜90%は胎児にも感染し、そのうちの90%以上が先天性風疹症候群を発症します(※1)。

妊娠18週を過ぎると、胎児への感染率は約40%に減少し、先天性風疹症候群を起こす危険性もほぼなくなります(※1)。

大人でも風疹の抗体がない可能性がある?

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現在、風疹の予防接種は義務付けられているので、自分も子供のときに受けたはずだ、と思う人もいるかもしれませんが、一つ注意があります。

一般的には、男女ともに学校で風疹の予防接種を受ける機会があります。

しかし、下記の条件に当てはまる人は学校での集団接種がなく、個別に病院で予防接種を受けることになっていたので、風疹の抗体がない可能性があります(※3)。

  • 1962年4月2日~1979年4月1日の間に生まれた男性
  • 1979年4月2日~1987年10月1日の間に生まれた男性・女性

この時期に生まれた人は特に、病院で風疹の抗体検査を受けることをおすすめします。妊婦さんはもちろんのこと、旦那さんなど一緒に住んでいる家族も、もし風疹の抗体がなければワクチン接種を受けましょう。

風疹は一度感染すれば二度とかからないといわれていますが、抗体が少なくなっていて再感染をする可能性もゼロではありません。

妊娠を希望する人は、念のため風疹の抗体検査を受けて、必要であれば妊娠前に予防接種を受けてください。

妊婦が風疹の予防接種を受けてもいいの?

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妊娠前であれば予防接種を受けて対策できますが、妊娠が判明した後に風疹の抗体がないことがわかったらどうすれば良いのでしょうか?

妊婦さんでも風疹の予防接種を受けたいところですが、風疹のワクチンは「生ワクチン」という種類で、少量の風疹ウイルスを直接注射することになります。それが原因で風疹を発症する可能性もあるため、妊婦さんにはワクチン接種は行いません。

なお、風疹ワクチンを接種したあとに妊娠が判明し、赤ちゃんへの影響が気になっている人もいると思います。

日本産科婦人科学会のガイドラインによると、妊娠後のワクチン接種で赤ちゃんが先天性風疹症候群を発症した、という例は世界的に見ても報告がないので、心配しすぎないようにしましょう(※4)。

どうしても不安な場合は、羊水や絨毛に含まれる胎児由来の細胞を調べることで、胎児に感染しているかどうか診断できるので、医師に相談してみましょう(※1)。

妊婦が風疹に感染したときの治療法は?

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妊娠中に風疹に感染した場合、有効な治療法はないので、発熱やリンパ節の腫れ、発疹などの症状については対症療法を行います(※1)。

しかし、胎児に先天性風疹症候群の疑いがあったとしても、妊娠中にできる治療はありません。赤ちゃんが生まれたあとに、白内障や心臓の奇形の手術をしたり、難聴に対してはリハビリを行ったりします(※1)。

妊娠中に風疹を予防するには?

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妊娠が分かると、初期の妊婦健診で風疹の抗体検査をして、風疹にかかる危険性がどれくらいあるかを判断します。

そのときに抗体が少ないことがわかっても、妊婦さんは風疹ワクチンの予防接種は受けられないので、以下のことを心がけて過ごしましょう。

人ごみを避け、手洗いとうがいを徹底する

風疹は飛沫感染によって広がります。妊娠中は、感染する可能性が高い人ごみを避けるようにしましょう。

仕事などで外出する必要があるときはマスクをつけ、帰宅したら手洗いとうがいを必ず行ってください。

家族に風疹の予防接種を受けてもらう

旦那さんや子供など、同居の家族に風疹の抗体がなかったら、すぐに予防接種を受けてもらってください。家族がウイルスに感染してしまうと、妊婦さんも感染してしまう可能性があります。

妊娠を希望する場合は、一緒に住んでいる家族全員に風疹抗体検査を受けてもらい、必要に応じて予防接種を受けてもらうと安心です。

なお、妊婦さん本人の風疹抗体が低いと診断された場合、出産を終えたらなるべく早くワクチン接種を受け、接種後2ヶ月間は避妊しましょう(※1)。

妊婦が風疹に感染したら、医師の判断を仰ごう

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妊娠中に風疹の症状が出て、感染した可能性があると感じたときは、ほかの妊婦さんへの感染拡大を避けるためにも直接病院には行かず、まずは電話でかかりつけの産婦人科へ連絡しましょう。

検査の結果、風疹に感染した可能性が高いと診断されたら、まずは妊婦さん自身の症状の緩和に努めてください。

胎児への感染については、羊水検査などで調べることもできますが、検査にはわずかながら流産を招くなどのリスクもあります(※5)。医師や家族と相談しながら、どのような検査を受けるかを慎重に検討してください。

風疹に感染していないとしても、抗体が少ないと感染する恐れはあるので、人ごみをなるべく避け、一緒に住む家族に予防接種を受けてもらうことで予防対策を万全にしましょう。

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