妊婦の水疱瘡(水痘)は胎児に悪影響?妊娠中も抗体があれば大丈夫?

妊娠中に水疱瘡(みずぼうそう)にかかるのはよくないという話を聞いたことはありませんか?妊婦さんが水疱瘡になると、ママの体だけではなく、お腹の赤ちゃんにも危険が及ぶ可能性があるからです。そこで今回は、妊娠中の水疱瘡の危険性と予防法についてご説明します。

感染力の強い水疱瘡(水痘)とは?原因と症状は?

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水疱瘡は、「水痘・帯状疱疹ウイルス」に感染して全身に発疹や水ぶくれができる感染症です。別名、水痘(すいとう)とも呼ばれます。

水痘・帯状疱疹ウイルスは感染力が強く、空気感染や飛沫感染、接触感染などあらゆる方法で広がります。感染後は2週間程度の潜伏期間を経て発症するため、知らず知らずのうちに他の人と接触して感染が拡大しやすいのが特徴です。

発熱とともに赤い発疹が全身に広がり、その後かゆみをともなう水疱に変わります。水疱は膿を含んで大きくなった後、3~4日すると乾いたかさぶたへと変化して1週間程度で治ります。

水疱瘡(水痘)は大人にもうつるの?

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水痘・帯状疱疹ウイルスは一度発症していれば、抗体ができるので二度と感染することはありません。幼少期に水疱瘡にかかっている人がほとんどなので、大人になってから初めてかかることはまれです。

しかし、抗体がない人は大人になってから感染する可能性はあり、子供よりも重症化する傾向があるので注意が必要です。

ちなみに、一度水疱瘡にかかったことがある人でも、大人になってから水ぶくれのような発疹が現れることがあります。これは「帯状疱疹」といって、体の中に潜伏していた水痘・帯状疱疹ウイルスが、なんらかの理由で免疫力が低下したときに悪さをすることで現れたものです。大人になってから初めて水疱瘡になったのとは違いますよ。

妊婦の水疱瘡が危険といわれる理由は?

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妊娠中に初めて水疱瘡にかかると危険といわれるのは、症状が重症化しやすいことだけではなく、お腹の赤ちゃんに胎盤感染や産道感染を引き起こす可能性があるからです。これによって赤ちゃんに様々な障害を引き起こしたり、最悪の場合は命に危険が及んだりすることもあります。

ただ、妊娠中でも初感染ではなく、2度目以降で帯状疱疹が現れただけであれば、赤ちゃんに産道感染などをすることはないといわれているので安心してください(※1)。

水疱瘡(水痘)の胎児への影響は?妊娠初期・妊娠後期で違う?

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では、妊娠中に水疱瘡にかかると、お腹の赤ちゃんにはどのような影響があるのでしょうか?水疱瘡に感染した妊娠週数によって、胎児に与えうる影響も変わってきます。

妊娠13〜20週未満に発症

この時期はまれに胎盤感染を起こし、感染したウチの1〜2%で低出生体重や精神発達遅滞、白内障などを招く「先天性水痘症候群」を発症することがあります(※1)。

分娩前後に発症

分娩前後で発症した場合、30~40%の確率で新生児にも産道感染し、新生児水痘を発症します。特に分娩前4〜5日、分娩後2〜3日に発症した毛0すが危険で重症化する可能性が高くなります。産道感染したときの死亡率は約30%ともいわれているので、周産期に水痘を発症したママから生まれた赤ちゃんには出生後すぐに治療が必要になります(※1)。

生まれた赤ちゃんに母体からの抗体がどれだけ引き継がれたかに左右されるため、出産予定日近くでママが水疱瘡を発症すると、母体から赤ちゃんに抗体が移行するのを待つために、子宮収縮抑制剤などを投与して出産を遅らせることがあります。

妊娠中の水疱瘡の治療法は?

塗り薬

妊娠中の水疱瘡の治療は、症状が軽度であれば発疹のかゆみがひどいときに塗る軟膏だけを処方されます。発疹が眼球にまで広がっていれば、角膜を守るために眼科を受診することをおすすめします。

もし重症化して、肺炎などを併発した恐れがある場合には、母体の保護を優先して抗ウイルス剤の「アシクロビル」など強い薬を投与される場合があります。アシクロビルで赤ちゃんが奇形になるなどの報告はないといわれています(※1)。

また、分娩の6日以上前か、分娩の4日以上後に発症したのであれば、生まれた赤ちゃんには感染していないか、感染していても重症化しないので治療の必要はありません。しかし、分娩前4〜5日、分娩後2〜3日に発症したときは胎児への感染・重症化が懸念されるため、「免疫グロブリン」や「アシクロビル」を投与することもあります。

妊娠中の水疱瘡の予防法は?抗体検査すべき?

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水疱瘡の抗体をもっていれば、妊娠中に不安を感じる必要はありません。妊娠を望んだ時点で、過去に水疱瘡にかかったかの確認が取れない場合には抗体検査を受けることをおすすめします。抗体がなければ予防接種を受けられますよ。

ただし、水疱瘡の予防接種は生ワクチンなので妊娠すると受けられません。妊娠前にあらかじめ予防接種をしておきましょう。妊娠後に抗体がないと判明した場合には、感染の疑いのある人との接触を避けるなど、感染しないように気をつけてくださいね。

また、家族にも抗体検査を受けてもらって、必要があれば予防接種を受けてもらいましょう。ひとつ屋根の下で暮らす家族同士では感染率が高くなるので、周囲の人にも協力してもらうことが大切ですよ。

正しい知識をもって妊娠中の水疱瘡を怖がりすぎないで

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日本では子どもの頃に水疱瘡の予防接種を受ける人が大半なので、妊娠中に初めて水疱瘡に感染するケースはほとんどありません。多くの妊婦さんは抗体をもっているので、過度に不安がらないでくださいね。

もし抗体がなかったとしても人混みではマスクをして、手洗いうがいを徹底していれば感染する可能性は減らせます。きちんと知識を持って対処すれば、余計な不安を感じる必要もありませんよ。

また、抗体がなくて妊娠中に感染したとしても、日本では大半の妊婦さんが元気な赤ちゃんを出産しているので、過度に不安がったり自分を責めたりせず、医師の指示に従って対処してください。

※1参考文献: 株式会社メディックメディア『病気がみえるvol.10 産科 第3版』 P.208

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