妊婦は猫を飼ってもいい?犬は?妊娠中のトキソプラズマに注意!

監修専門家 看護師・助産師 岡 美雪
岡 美雪 看護師・助産師を免許を取得後、未熟児病棟、脳神経外科病棟、産科病棟で医療業務に従事。その後、医療現場での経験を活かして、青年海外協力隊の看護職としてアフリカに2年間駐在し、現地の医療技術向上に貢献。日... 監修記事一覧へ

ペットは癒しを与えてくれる大切な存在です。しかし妊娠中に猫を飼っていると、「トキソプラズマ」に感染するリスクがあるということをご存じですか?トキソプラズマについて、お腹の赤ちゃんを守るためにも正しい知識を持っておきたいですね。今回は、トキソプラズマ感染による胎児への影響や、妊婦さんが猫と接するときに注意すべきこと、猫以外のペットからの感染リスクなどについてご説明します。

なぜ妊婦は猫に注意する必要があるの?

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ネコ科の動物の腸内には、捕食した動物や土などを通じて感染した「トキソプラズマ」という寄生虫が住みついていることがあり、フンを通して人間に感染する可能性があります。

人間がトキソプラズマに感染すると、トキソプラズマ症という病気を発症することがあります。HIV感染などの免疫不全がない人であれば、トキソプラズマに感染してもほとんどの場合は軽い風邪のような症状で治まり、なかには何も症状が出ない人もいます(※1)。

妊娠中にトキソプラズマにはじめて感染しても、妊婦さん自身は上記のような症状で済みます。しかし、胎盤を通じて胎児に感染し、胎児が「先天性トキソプラズマ症」になる恐れがあるので注意が必要です(※2)。

なお、過去にトキソプラズマに感染したことがある人であれば、体内に免疫(抗体)ができているため、胎児に感染することはありません。

妊婦が猫からトキソプラズマ感染すると、胎児にどんな影響があるの?

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お腹の赤ちゃんが「先天性トキソプラズマ症」にかかると、脳性麻痺や視力障害、精神・運動機能障害などが起きる可能性があります。また、死産や流産につながる恐れもあります(※1)。

ただし、妊婦さんがトキソプラズマに感染したからといって、必ずしも胎児が先天性トキソプラズマ症になるというわけではありません。胎児に感染する確率や影響の大きさは、妊娠時期によって異なります。

妊娠初期は、胎児に感染する確率は低いものの、万が一感染した場合、重症化する傾向にあります。妊娠後期の場合、胎児への感染率は高くなりますが、感染したときの症状は比較的軽くなります(※2)。

妊娠中、猫のお世話で注意することは?

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妊婦さんと赤ちゃんがトキソプラズマに感染するリスクを考えると、妊娠中はなるべく猫に近づかない方が無難です。

しかし、すでに猫と一緒に住んでいる場合、そういうわけにはいきませんよね。猫を飼っている妊婦さんは、なるべく感染リスクを避けるため、以下の点に気をつけてお世話しましょう。

なるべく猫を屋外に出さない

猫が家の外に出て、ネズミや野鳥をつかまえて食べたり、土をなめたりすることで、トキソプラズマに感染する恐れがあります。

妊娠中はできるだけ、室内で猫を飼うようにしましょう。

エサをドライフードや缶詰にする

十分に加熱されていない生肉をエサとして与えるのは避け、ドライフードや缶詰など市販のキャットフードをあげるようにしてください。

フンの処理は家族に頼む

猫の腸内に住みついているトキソプラズマは、フンと一緒に猫の体外に出されます。妊婦さんが素手で猫のフンを処理して、そのあと手洗いが十分でなかったりすると、食事などを通して体内にトキソプラズマを取り込んでしまうことがあります。

妊娠中はできるだけ、猫のトイレ掃除はほかの家族にお願いしましょう。もし自分でフンを処理する必要があるときは、使い捨て手袋をつけ、処理の後は手をよく洗ってください。

トイレをこまめに掃除する

猫のフンに含まれるトキソプラズマは、感染力を持つのに1~5日かかるので、こまめにトイレ掃除をすることも感染予防につながります(※3)。

家族にお願いして、1日に数回トイレ掃除の時間を設けましょう。

妊婦は犬からもトキソプラズマに感染する?

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猫を通じてトキソプラズマに感染する可能性があると聞くと、ペットを飼っている人は「犬やハムスター、鳥などほかの動物にも気をつけたほうがいいのでは?」と不安になるかもしれません。

ほかの動物の体内にもトキソプラズマが寄生していることがありますが、フンと一緒にトキソプラズマを体外に排泄するのはネコ科の動物だけです。妊婦さんが犬などに触れてトキソプラズマに感染することは、ほとんど考えられません。

猫を飼っている妊婦は抗体検査を受けよう

採血 血液検査 

妊娠前にすでにトキソプラズマに感染したことがあれば、抗体ができているので、胎盤を通じて胎児がトキソプラズマに感染する恐れはありません。しかし、トキソプラズマに感染したことがない、もしくはわからないという人は注意が必要です。

猫を飼っている妊婦さんは、念のためトキソプラズマの抗体を調べる検査を受けましょう。費用は病院によっても異なりますが、2,000~3,000円ほどです。

もともと、妊婦健診の血液検査の項目としてトキソプラズマの抗体検査が含まれている産院もありますが、そうでない場合でも、気になる妊婦さんはかかりつけの産婦人科医に相談してみてください。

過去に感染して抗体を持っている場合、もしくは妊娠後に初感染した場合は、この検査で陽性反応がでます。そのため、陽性の場合はさらに詳しい検査を行い、いつ感染したかを調べます。

過去に感染していれば問題ありませんが、妊娠後に感染したことがわかった場合は、治療を行います。

陰性だった場合は、現在感染していないし、抗体も持っていないため、先に説明したお世話の注意をしっかりと守り、感染予防に努めましょう。

妊婦が猫からトキソプラズマに感染したら?

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トキソプラズマの抗体検査の結果、陽性で、妊娠後の感染が疑われる場合、日本では「アセチルスピラマイシン」などの抗生物質で治療を行います(※3)。

この治療薬を出産のときまで飲み続けることで、トキソプラズマが胎児に感染するリスクや、感染した場合に重症化する確率を下げることができるといわれています。

妊娠中、猫のお世話には気をつけよう

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妊娠中に猫からのトキソプラズマ感染を防ぐには、妊婦さん自身がフンの処理をしないなど、いくつかのポイントに気をつけてお世話しましょう。大切な猫とお腹の赤ちゃん、両方のことを想いながら、穏やかな妊娠生活を送れるといいですね。

なお、猫だけでなく、生肉や土などからもトキソプラズマに感染するリスクがあります(※4)。妊娠中は生肉を食べない、ガーデニングなどで土いじりをしたあとは手をよく洗う、といったことにも注意しましょう。

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