逆子が治らない!理由や原因は?治すには寝る向きが重要?

監修専門家 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 監修記事一覧へ

出産時に逆子だと帝王切開の可能性が高くなるため、「できるだけ逆子にはなってほしくない…」と思っている妊婦さんは多いですよね。しかし、妊娠中期までは半分近くの赤ちゃんが逆子だといわれ、決して少なくはありません。出産時には、そこからさらに10分の1程度にまで逆子の割合が減るとはいえ、なかなか治らないとイライラやストレスがたまりますよね。そこで今回は、逆子を治す方法を中心に、なかなか治らないときのイライラの解消法も含めてご紹介します。

そもそも逆子ってどんな状態?

エコー写真 記念

逆子とは、子宮内で赤ちゃんの頭が下ではなく、上を向いている状態を指します。医学的には「骨盤位」と呼ばれ、赤ちゃんの大きな頭が先に産道に向かわないので、自然分娩がしづらくなってしまいます。

妊娠初期・中期の子宮内は赤ちゃんが動き回るゆとりがあるので、頭の位置は上を向いたり下を向いたりと頻繁に入れ替わっていて、妊娠中期には妊婦さんの30〜50%が逆子といわれています(※1)。

逆子が治らない理由は?原因はあるの?

日本人 女性 疑問 オリジナル(アイキャッチ)

妊婦健診に行くたびに、今日こそ逆子が治っていて欲しい、と思う妊婦さんも多いようですが、逆子が治らない理由や原因には次のようなものが挙げられます。

母体側の原因

  • 骨盤が小さい(狭骨盤)
  • 胎盤の異常(前置胎盤、低置胎盤)
  • 子宮の異常(子宮奇形・子宮筋腫)

胎児側の原因

  • 低出生体重児(早産)
  • 双子や三つ子などの多胎妊娠
  • 羊水過多
  • 胎児奇形(水頭症など)

しかし、これらは逆子になる原因の一部で、逆子の多くは原因不明です。そのため、誰でも逆子になる可能性があります。

また、妊娠後期になると赤ちゃんの頭は大きく、重くなるので自然と下を向き、次第に固定されるのですが、なんらかの原因で出産時まで逆子が続こともあります。割合は3〜5%ですが、なかなか治らないためイライラしたり、ストレスを感じたりしてしまう人は多くいます(※1)。

なかなか治らない逆子を治す方法は?

安産体操 ヨガ 運動 3389267_m

妊娠28週目くらいをすぎても逆子が治らないときには、産婦人科医に相談しましょう。妊娠35週頃までであれば、自然に逆子が治るのがまだ期待できます(※1)。医師から、逆子を治す方法を勧められたら試してみましょう。

逆子を治す方法として知られているものはいくつかあります。例えば、逆子体操、寝る向きを変える、お灸や鍼、ツボ押しやマッサージなどです。それぞれの具体的な方法を、以下でご紹介します。実際に試すときの参考にしてください。

ただし、これらの効果には個人差があるため、逆子を治す方法を実践しても、治る人と治らない人がいることは覚えておいてくださいね。

逆子が治らないときの体操とは?

逆子を治す方法として、逆子体操が有名です。逆子体操は、骨盤を緩め、おなかの中で赤ちゃんが動きやすい状態をつくり、逆子を自然に治します。逆子体操には2種類あり、どちらも妊娠30週以降の就寝前(お昼寝も含む)に行うと効果的です。

ただし、おなかへの負担や、痛み、張りを感じたら無理をせず、すぐに中断しましょう。また、体操をはじめるときは、事前にかかりつけの産婦人科医の許可を取るようにしてください。

胸膝位(きょうしつい)

胸膝位 体位

  1. うつぶせになります。
  2. 胸は極力床から離さないようにしながら、膝が90度になるくらい、お尻だけを高い位置にあげます。
  3. そのままの姿勢を10分ほど保ちます(※お腹が張るようならすぐに中止してください。)。
  4. その後頭を持ち上げず、逆子の赤ちゃんの背中ではない側が下になるように、横向きになります。たとえば右に向きたいときは、左の肩と腕を右へスライドさせて横向きになりましょう。

胸膝位は、行ってからすぐ立ち上がると効果があまり期待できないので、昼寝や夜寝る直前に行うのがおすすめです。

仰臥位(ぎょうがい)/ブリッジ法

仰臥位

  1. 仰向けに寝ます。
  2. 枕や布団をお尻の下に敷き、30~35センチほど高さにお尻の位置をもっていきます。
  3. そのまま10分ほど姿勢を保ちます。1日2回ほど行うと効果的です。

なお、胸膝位も仰臥位も、やっていて気分が悪くなったらすぐに中断してくださいね。

逆子を治すには寝る向きを変えるといいの?

側臥位

逆子がなかなか治らない場合は、側臥位法と呼ばれる、寝る向きを変えるやり方を試してみるのもいいかもしれません。これは、赤ちゃんが自然と回転するのを促して逆子を治す方法です。妊娠28週目から行うことができます。

赤ちゃんの向きによって、ママが横になる向きが異なるので、まずは産婦人科医に相談し、エコー検査で赤ちゃんの背中の向きを確認するようにしましょう。逆子体操の最後に行うと効果的です。

  • 赤ちゃんの背骨がママのおなかの右側にあるとき:左半身を下にして横になる
  • 赤ちゃんの背骨がママのおなかの左側にあるとき:右半身を下にして横になる

逆子が治らないときはお灸が効果的?

鍼灸 お灸

逆子がなかなか治らない場合、逆子治しに効果があるとされる2つのツボにお灸を施す人もいます。

一つは、くるぶしの内側から指4本分離れたふくらはぎのあたりにある「三陰交」というツボ、もう一つは足の小指のすぐ外側にある「至陰」というツボです。

妊娠28週目以降に行うと逆子を治すのに効果的だとされているので、事前に産婦人科に相談のうえ、鍼灸院などで施術を受けてみるのも一つの方法です。自分で行うこともできますが、初めは鍼灸院で施術してもらい、方法や注意点を指導してもらいましょう。

ツボ押しで逆子が治るの?

体 足 ダイエット

逆子が治らない場合、ツボ押しで逆子を治す人もいます。お灸と同様、三陰交と至陰のツボを指で押していく方法です。ツボは同じですが、お灸とツボ押しのどちらが良いかは妊婦さんの体格や体の調子によっても異なります。

ツボ押しの位置もその日の体調などによって変わることがあります。目安としては、押したときに「痛いけど気持ちいい」と感じる部分がその日のツボの位置だとされています。詳しくは、ツボ押しを行っているマッサージ施設や、鍼灸院にて一度診察してもらうか、電話等で確認してみましょう。

逆子が治らないと、帝王切開になる?

手術

妊娠期間中は、赤ちゃんが常時おなかの中で自由に動き回っている状態なので、いつの間にか逆子が治っているということも少なくありません。しかし、妊娠10ヶ月目(妊娠36週)以降も逆子が治らない場合には、帝王切開を勧められる場合が多くなります(※1)。

逆子を治すために逆子体操やお灸などの努力をしてきた妊婦さんにとってはショックかもしれませんが、帝王切開は母子の安全を最優先に考えた出産方法の一つなので、産婦人科医の指導の下、安全な分娩を最優先にしましょう。

ただ、産婦人科の方針にもよりますが、逆子が治らなくても、状態次第では経腟分娩も可能です。十分危険性を考慮したうえで、医師とよく相談をしてくださいね。

逆子が治らないイライラやストレスはどうやって解消する?

女性 ティーカップ お茶

逆子がなかなか治ってくれないと不安になってイライラしたり、ストレスがたまったりしますよね。でも、そのたびにお腹が張ったり、身体がこわばったりすると、子宮も固くなりやすく、余計に赤ちゃんが動きにくくなることもあります。

ぜひ、逆子を治すことにもつながる以下のようなイライラ解消法を実践してみてくださいね。

身体が温まる飲み物でリラックスする

身体の冷えも逆子を治しにくくするので、リラックスも兼ねて暖かい飲み物を飲んでゆっくりすごしましょう。たとえばルイボスティーやジンジャーティーなどを試してみてくださいね。

ウォーキングなどの適度な運動をする

逆子体操などももちろん試したい運動ですが、普段からの適度な運動も効果が期待できます。無理な運動はお腹の張りにつながってしまいますが、ウォーキングなどの適度な運動で、赤ちゃんの動きも刺激してあげましょう。

穏やかな気持ちで赤ちゃんに話しかける

お腹に向かって「ここが足だよ」とお腹の上の方をさすりながら語りかけると、いつの間にか足での胎動がお腹の上の方で感じるようになった、という妊婦さんもいるようです。リラックスするつもりで話しかけるのも一つの手ですね。

ただ、最後には、「どうしても逆子になることはあるんだ」という気持ちもどこかで持っておきましょうね。やるだけのことはやって、あとは、不安をしっかり解消するためにも帝王切開などの出産方法について、産婦人科の先生に詳しく聞いておきましょう。

逆子が治らない…と焦らないで

逆子の治し方は様々なので、自分に合った治療法が見つかるといいですね。ただし、母体と赤ちゃんの安全のためにも、どの方法を試す場合でも産婦人科医の指導の下、行うようにしてください。

また、例え帝王切開となった場合も、ママと赤ちゃんにとって一番安全なお産の形だということを理解し、リラックスした状態でお産に臨んでください。赤ちゃんはお母さんの気持ちに敏感に反応するので、まずはお母さんが落ち着いていることが大切ですよ。

こそだてハックに「いいね!」して情報を受け取ろう