妊娠中のクラミジアは危険?胎児への影響は?妊婦健診でわかるの?

記事監修 産婦人科医 中村 絵里
中村 絵里 産婦人科専門医。2001年、東海大学医学部卒業。神奈川県内の病院で産婦人科医としての経験を積み、現在は厚木市の塩塚産婦人科勤務。3児の母。「なんでも気軽に相談できる地元の医師」を目指して日々診療を行っ... 続きを読む

妊婦健診で初めてクラミジアの検査を受けたという人も多いのではないでしょうか。「なぜ妊娠中にクラミジアの検査を受けなければならないの?」と疑問に思うかもしれません。実は、妊婦さんがクラミジアに感染していると、胎児に悪影響を及ぼすことがあるのです。今回は、妊娠中にクラミジアにかかると、具体的にどんな危険性があるのかをご説明します。

クラミジアとは?

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「クラミジア・トラコマティス」という微生物が腟内に侵入すると、子宮頸管や卵管、骨盤内、尿道などに広がり、「性器クラミジア感染症」を発症します。

性行為を通じて人から人へ感染する病気で、男女ともに最も感染者が多い性病(性感染症)です。口を使った性行為で、咽頭に感染することもあります。

クラミジアに感染しても自覚症状が現れにくいため、知らないうちにうつされたり、うつしてしまったりするケースが多くあります。

最近は、10代後半〜20代の若い世代で感染者が増えており、年間の患者報告数は男女合わせて2万人を超えています(※1)。

卵管閉塞や骨盤内の癒着を引き起こし、不妊の原因になることもあります。

クラミジアは妊婦健診でわかるの?

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女性がクラミジアに感染すると、おりものの量が増えたり、透明・薄い白色に変化したりすることがあります。人によっては、不正出血や性交痛、下腹部痛などが現れることもあります。

しかし、性器クラミジア感染症は自覚症状が現れないケースがほとんど。おりものなどの変化はわずかなので、それだけで「クラミジアにかかった」と気づくのは難しく、クラミジアに感染していることに気づかないまま妊娠をしている女性は、10~20%ほどいます。この割合は、年齢が低い人ほど多い傾向にあります(※2)。

妊娠中にクラミジアに感染すると、お腹の赤ちゃんに悪影響が及ぶ可能性があるため、妊娠30週までに1回、妊婦健診で検査を受けることが推奨されています(※3)。なるべく早く治療を始め、安全なお産をするために、必ず検査をしてもらいましょう。

妊娠中のクラミジアは流産・早産を招く?

注意

妊娠中にクラミジアに感染している場合、大きなリスクの一つとして、流産・早産が挙げられます。

クラミジアが胎児の卵膜にも感染すると「絨毛膜羊膜炎」が起こり、流産・早産の原因になることがあるのです(※2)。

ただし、性器クラミジア感染症が原因で流産・早産につながる頻度はそれほど多くありません。

妊娠中のクラミジアが胎児に与える影響は?

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妊娠後期にクラミジアに感染している場合、胎児感染の危険性が高まります。これは出産時に赤ちゃんが産道を通り抜ける際、クラミジアに感染してしまう恐れがあるからです。クラミジアに感染している妊婦さんが出産した場合、そのうちの約10%で産道感染が起こるといわれます(※4)。

赤ちゃんがクラミジアに感染すると、約25〜50%の割合で「新生児結膜炎」を発症し、生後数日で症状が現れます。また、約10〜20%の割合で「新生児肺炎」にかかり、生後1~3ヶ月で咳などの症状を引き起こします(※4)。

命の危険にさらされることは稀ですが、新生児には大きな負担がかかってしまうので、適切な時期に検査を受けることが大切です。

妊娠中のクラミジアの治療方法は?

薬 選ぶ 選択

妊娠中にクラミジアに感染していることが判明したら、マクロライド系の抗菌薬で治療します。なかでも、ジスロマック(アジスロマイシン)などの薬は、母体や胎児への安全性が高いため、妊婦にも処方されます(※2)。

クラミジアのような性感染症は、目に見える症状が治ったとしても、自己判断で服用をやめずに、医師の指示通りに飲みきるようにしましょう。少しでも体内に病原体が残っていると、再び増殖することもあるからです。

また、自分がクラミジアに感染していたらパートナーも感染している可能性も大きいと考えましょう。性交渉を通じてお互いに移しあってしまわないよう、パートナーと同時に治療を受けてください。

妊婦はクラミジア検査を受けよう

妊婦 カップル

妊婦健診のクラミジア検査は、遅くとも妊娠30週までには受けておくことが推奨されています。しかし、分娩時の産道感染だけでなく、流産・早産のリスクも少なからずあるので、30週まで待たずできるだけ早めに検査を受けておくことをおすすめします。

妊婦健診で性器クラミジア感染症にかかっていることが判明すると、ショックを受ける人もいるかもしれませんが、性交渉の経験をしたことがある女性なら、誰でも感染する可能性がある病気です。生まれてくる赤ちゃんのことを考えて、パートナーにしっかり話し、相手にも検査や治療を受けてもらいましょう。

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