妊娠初期の流産について。焦らず正しい情報を知っておこう

監修専門家 看護師・助産師 岡 美雪
岡 美雪 看護師・助産師を免許を取得後、未熟児病棟、脳神経外科病棟、産科病棟で医療業務に従事。その後、医療現場での経験を活かして、青年海外協力隊の看護職としてアフリカに2年間駐在し、現地の医療技術向上に貢献。日... 監修記事一覧へ

「もしかして妊娠?」のドキドキから、検査薬や医師による心音確認を経て、妊娠が確定する「妊娠初期」。つわりなどの体調変化も始まりますね。そして、妊娠初期は15週までの期間を指しますが、この期間は「流産への注意がもっとも必要」な流産の確率が高い時期です。そこで、今回は妊娠初期の流産の原因や兆候、症状と流産予防についてご紹介します。

初期流産とは?

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「流産」とは、妊娠22週以前に妊娠が終わってしまうことを指します。何らかの原因で妊娠の継続が困難になり、胎児が育たなくなってしまった状態です。

また、妊娠週数別では妊娠5~7週(22~44%)、8~12週(34~48%)、 13~16週(6~9%)となり、15週目までの妊娠初期で全流産の約90%を占めます(※1)。

妊娠初期の流産が起こる原因は?

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流産はすべての妊娠のうち8〜15%で起こるといわれています。また、原因は胎児の染色体異常や遺伝子病によるものがほとんどで、母体が要因である流産は比較的少ないとされています。

もし万が一流産が起きてしまっても、あまり自分を責めすぎないようにしてくださいね。

妊娠初期の流産の症状は?出血はあるの?

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妊娠初期の流産は兆候や症状を見つけることが難しいといわれていますが、例えば次のような体調の変化に注意しましょう。

  • つわりが急になくなる
  • 不正出血(茶褐色や鮮血)
  • 胸の張りがなくなる
  • 腰痛
  • 腹痛

上記の症状があるからといって、必ずしも初期流産になっているというわけではありません。

不正出血ひとつとっても、ダラダラと少量の出血が続くという人もいれば、急に大量の出血があって驚いて病院に駆け込んだという人もいます。

また、生理痛に似た腹痛やお腹の張り、腰痛が起こることもあります。

流産というとお腹の痛みが代表的な症状のように思われがちですが、初期流産では、痛みの自覚なしに不正出血とともに流産が起こってしまうことも。逆に不正出血があっても流産ではないこともあるので、痛みがなくても不正出血があったら病院を受診して、医師の診断を仰ぐ必要があります。

妊娠初期の流産は予防できる?

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妊娠初期の流産は、胎児の染色体異常が主な原因で、妊婦さんの努力では防ぐことが難しいといわれています。しかし予防できることは取り組んでおきたいですよね。

そこで、わずかな母体側のリスクを最小限にするためにできる予防法をご紹介します。

1. 葉酸とビタミンEを摂取する

葉酸は赤ちゃんの細胞の形成を助けてくれる栄養素で、妊娠前から摂取することが推奨されています。葉酸は通常の食事だけでは必要量を賄うことが難しいため、サプリメントの利用もおすすめです。

ただし、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、女性がサプリメントから摂って良い1日の葉酸の耐容上限量は18~29歳で900μg、30~69歳で1,000μgとしているので、上限を超えないように気をつけながら摂取してくださいね(※2)。

また、ビタミンEは1日6mgくらいは摂取したいところ。妊婦さんは少し多めで6.5mgとされています。厚生労働省も摂取を推奨している葉酸サプリには、ビタミンEを含むものも多いので、ぜひ試してみてくださいね。

2. タバコを控える

妊娠中に喫煙をすると流産や早産の発症する確率が高くなり、胎児の発育遅延をきたすのみならず、生まれてきた子供の知能が低くなることや、注意欠陥・多動性障害(ADHD)を発症する確率が高まることが報告されています(※3)。

妊婦さん自身の禁煙はもちろん、家庭内や職場での受動喫煙にも注意したいですね。

3. 体を冷やさない

体を冷やすと、子宮の筋肉が収縮し、子宮内膜の血流が悪くなります。子宮内膜から胎盤が成長し、胎盤から 酸素や栄養を胎児に送るので、子宮内膜の血流が悪い状態になると胎児に酸素や栄養が十分に届けられない状態になってしまいます。

妊娠前から冷え性だった方はもちろんですが、体やお腹を冷やさないように注意していきたいですね。

【おすすめの冷え対策】

  • 腹巻きや使い捨てカイロを活用する
  • 職場のエアコン対策に上着を持参する
  • 温かいスープや根菜類など身体を温める食事をとる
  • シャンプー後の髪はしっかり乾かす
  • レッグウォーマーで足元を保護する

妊娠初期の流産がおこると手術が必要?

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妊娠初期の流産は症状に気づかないことも多く、妊婦健診で突然流産を告げられてショックを受ける妊婦さんも少なくありません。

また、心音は止まっていても胎児や胎盤などが子宮に留まっていることもあります。その際には、「子宮内容除去」という手術が必要になることも。

ショックは大きいかもしれませんが、そのままにしておくと大量出血を伴う可能性もあるため、医師の判断の上で手術が採用されることもあります。

妊娠初期の流産の兆候や症状があっても焦らず対応を

妊娠初期の流産は染色体異常など胎児側に原因があることがほとんどです。

もし初期流産の兆候があったとしても、自分を責めすぎず、慌てずに対応していきましょう。何か異常を感じたらすぐに産婦人科の先生に相談することをおすすめします。

また、身体は着々とママになる準備を始めますから、妊娠前と全く同じとはいきません。無理をせず、がんばりすぎないことを念頭に、パートナーや職場の理解を得て、ゆったりとした生活を心がけてくださいね。

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