妊娠後期|今、パパがすべきことは?ママの体調変化を学ぼう【パパペディア】

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

いよいよお腹も大きくなり、出産も近づいてくる妊娠後期。この時期、ママの体と赤ちゃんにはどんな変化が起こるのでしょうか。

残り少ない妊娠生活で、パパが気をつけるべきこともあわせて紹介します。

妊娠後期はいつからいつまで?

妊娠後期とは、妊娠8ヶ月(妊娠28週)から妊娠10ヶ月(妊娠39週)までの期間をいいます。ママの体は出産に向けて最終準備の段階に入ります。

妊娠40週0日が出産予定日で、妊娠37週0日〜妊娠41週6日までに出産することを「正期産」と言います。この時期、赤ちゃんの身体機能や臓器は十分に発育し、いつでも外の世界に出られる状態になっています。

妊娠後期の赤ちゃんの様子

すっかり大きく成長した妊娠後期の赤ちゃんの様子を、時系列に沿って説明します。

パパペディア 妊娠後期 赤ちゃんとママの変化2

妊娠8ヶ月(28〜31週):肺の機能が完成

赤ちゃんの体作りも最終段階に入り、脳や肺、消化器以外の臓器は細部まで完成形に近づきます。

妊娠28週目

● 胎児の体重は1,000gを超える子も(※1)
● まだ小さいながら、すっかり赤ちゃんらしい姿に
● 男の子・女の子どちらも生殖器がほぼ完成する

妊娠29週目

● 身長は約35~40cm、体重は約1,000~1,500gに(※2)
● 手足の先に爪ができたり、体毛が生えてきたりと、細かい部分が徐々に作られる

妊娠30週目

● お腹の中の赤ちゃんは、体を折り曲げ一番落ち着く姿勢で過ごす
● 羊水を飲み込んでは吐き出す、呼吸のような動きを繰り返す

妊娠31週目

● 身長40cm、体重1,500gほどに成長(※2)
● 外見上はほぼ4頭身になり、生まれたての新生児と変わらなくなる
● 骨格や筋肉がしっかりしていろいろな表情ができるように

妊娠9ヶ月(32〜35週):肺の機能が成熟

妊娠9ヶ月中には肺の機能が成熟し、生まれてから外の世界で呼吸ができるようになります。

妊娠32週目

● 胎児は4頭身へと成長し、身長は約40~45cmほどに
● 体重は1,500gを超え、なかには2,000gほどある子も(※1,2)。
● 肺以外の内臓や器官はほとんどできあがった状態
● 排泄機能も機能して、体内に吸収した羊水をおしっことして排出する

妊娠33週目

● 体重の増加が顕著で、皮下脂肪が増えてきて丸みのある体つきに
● しわしわだった皮膚にも張りがでて、ふっくらとしてくる
● ほぼ新生児と同じ姿になり、子宮の壁によりかかるような状態で過ごす
● お腹の中で体勢を変えるときには、手足でお腹を押されているのが外から見てもわかるようになる

妊娠34週目

● 体重が2,000g前後まで成長し、なかには2,500gほどになっている子も(※1)
● 肺の機能が成熟し、生まれてから外の世界で呼吸ができるようになる
● 表面に生えていた産毛が少なくなり、ますます人間らしい見た目に近づく
● 聴覚はすっかり完成しているので、外がうるさかったり、ママがやさしく声をかけたりすると、何らかの反応を返してくれるかも

妊娠35週目

● 胎児の発育は最終段階に入り、身長は約45cm、体重は約2,000gに
● 胎児の体内では内臓器官が完成に近づいている

妊娠10ヶ月(36〜39週):いつ生まれてもいい正期産の時期に突入

胎児の内臓や器官は全て完成し、いつでも外に出られるように準備をしています。ただし、36週に生まれた場合は正期産ではなく早産となります。

妊娠36週目

● 胎児の体重は2,500g前後で、大きい子だと3,000gを超えることも(※1)
● 子宮内には余分なスペースが少なくなり、体を動かすのも難しくなる
● 胎児の小さな手の平や足の裏が、ママのお腹の表面ににゅっと見えることも
● シワシワだった皮膚にも赤ちゃんらしい張りが出てきて、外見上もほとんど生まれたときの姿と変わらない

妊娠37週目

● 胎児の体重は、2,500gを超える子が増えてくる(※2)
● 脳や肺など重要な器官はすべてできあがり、いつ生まれてきてもいい状態に
● ひざをお腹に引き寄せるような姿勢で、生まれるときを静かに待っている
● 消化器官には細胞からできた「胎便」がたまっていて、生まれた後すぐに排出される

妊娠38週目

● 胎児の体重は、3,000g前後
● 胎児の大きさには個人差があり、2,500gの小柄な子もいれば、すでに3,500gほどまで大きくなっている子も(※2)
● 肺では外の世界で肺胞を膨らませられるように「サーファクタント」と呼ばれる物質の生産量が増える

妊娠39週目

● 胎児の身長は、約50cm、体重約3,000gまで成長(※1)
● 体を覆っていた胎脂がとれ、肉や骨が硬くなり、生まれる準備ができる

妊娠11ヶ月(40週〜):出産予定日を過ぎても心配しすぎないで

医学的に妊娠後期は妊娠39週6日までで、妊娠40週0日が出産予定日とされていますが、赤ちゃんは出産予定日ぴったりに必ず生まれるわけではなく、そのまま妊娠11ヶ月目に突入する人も多くいます。

妊娠37週0日〜妊娠41週6日まではお産のリスクが少ない正期産なので、出産予定日を過ぎても心配しすぎないことが大切です。

妊娠40週目

● 胎児の体重は3,000g以上、身長は50cm以上に成長(※2)
● 外の世界に出たときに備えてエネルギー源となる脂肪を蓄え続ける
● 髪の毛や爪も伸びて、口を動かすための筋肉が発達する

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妊娠後期のママに起こる変化

妊娠後期のはじめから終わりまでで、1,000gほどだった赤ちゃんの体重は3,000gを超えるほどに。赤ちゃんの体重だけで2,000gも増えるのですから、ママの体にさまざまな変化が起こるのは当然のことです。

この時期のママには以下のような変化があります。

後期つわり

妊娠後期になると吐き気や胃のむかつき、げっぷ、胃痛などの不快症状が出てきます。症状が妊娠初期のつわりと似ていることから「後期つわり」と呼ばれます。

後期つわりは、大きくなってきた子宮に胃が圧迫され、胃液が食道に逆流し、胃粘膜を荒らすことが原因で起こります。

後期つわりが落ち着くのは、出産に向けて胎児の位置がさがる妊娠10ヶ月目頃。それまでは根本的な解消法がないので、妊娠初期のつわり同様に、普段の食事の工夫などで乗り切りましょう。

お腹がせり出す

妊娠後期には妊娠初期と比べ、子宮の容量は約500~1,000倍、重さは約15倍にもなります(※2)。

妊娠後期は毎日見ていてもわかりやすいほど、どんどんお腹全体が大きくせり出していきます。足元が見えにくくなり、身をかがめたり、靴下を履いたりする日常的な動作が難しくなります。

お腹が張る

妊娠10ヶ月目にもなると、お腹の張りが多く現れるように。体が出産に向けて準備を始め、子宮収縮が頻繁に起きるためです。

特に出産が迫ってくると不規則に子宮が収縮する「前駆陣痛」が起こるので、それに伴ってお腹が張りやすくなります。

お腹の張りが規則的に起こり、張りを感じる間隔が徐々に短くなってきた場合は、お産につながる「本陣痛」の可能性もあります。特に正期産の時期に入ると、いつ本陣痛が来てもおかしくありません。

「本陣痛かな?」と思ったら、かかりつけの産婦人科に連絡するようにしてください。

動悸や息切れが増える

お腹がかなり大きくなり、横隔膜がより圧迫されるので、動悸や息切れをしやすくなります。

我慢して動くとよろめいたり、転んだりしてしまいかねません。ママが息苦しいと感じたときは、無理をせずに座るか、横になって安静に過ごしてもらいましょう。

横になる場合は心臓への負担を和らげるため、体の左側を下にして枕やクッションなどを使って足を少し高くしましょう。

体重が増える

妊娠後期は羊水量が最大になる時期で、ママの体重もまだまだ増加します。

この時期はホルモンの影響で太りやすくなっているうえに、体が甘い物を欲しているため、糖分の取りすぎには注意が必要です。

また妊娠10ヶ月目頃からは、赤ちゃんの頭が下がってくることでママの臓器や器官への圧迫が解消されます。胃が楽になることで食欲が戻るので、食べすぎて体重が急激に増えないようにしましょう。

眠りが浅くなる

妊娠後期に入るとお腹が大きくなることで寝苦しくなり、寝付きが悪くなったり、眠りが浅くなったりするすることがあります。

また、赤ちゃんの激しい胎動で目が覚めてしまうことも。さらには、現実味を帯びてきた出産への不安を抱えて眠れない場合もあります。

体を休めることはママの大切な仕事なので、眠れなくても寝転んでゆったりと過ごせるようパパが促してみてくださいね。

胎動が変化する

妊娠9ヶ月目頃になると、胎児の大きさに対して子宮のスペースが狭くなります。出産に向けて赤ちゃんが下がり始め、早ければ頭が骨盤におさまって動きが鈍くなるケースも。この結果、胎動を感じる回数が少なくなる人が増えてきます。

この時期に胎動の回数が減ったり、弱く感じたりするのは正常なことなので、心配の必要はありません。

ただし、妊娠9ヶ月目は胎動が徐々に減る程度で、胎動を全く感じない日はありません。胎動を感じるときは腹の表面に赤ちゃんのひじやひざが突き出たり、お腹が波打ったりと、ダイナミックな動きを感じますよ。

1日に1度も胎動がないときは、赤ちゃんにトラブルが起こった可能性を考えて、すぐに病院へ連絡しましょう。

おりものが増える

妊娠9ヶ月目頃になると、出産をスムーズにする準備としておりものが増えます。

そもそもおりものは、腟内を潤して雑菌の繁殖を防ぐ作用があるものです。出産前に分泌量が増えることで滑りをよくし、出産をしやすくしてくれます。

その他のマイナートラブル

ほかにも、以下のような症状があらわれることがあります。

● 恥骨や足の付け根の痛み
● 腰痛
● 尿もれ
● 頻尿
● 手足のむくみ
など

パパは出産直前まで「ママの体には絶えずトラブルが起こる可能性がある」と思っていたほうがいいかもしれません。

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妊娠後期にパパがすべきこと

妊娠後期はお腹がより大きく重くなるので、これまで普通にしていたことが難しくなります。

つまり、妊娠後期のママにはパパのサポートが不可欠です。特に以下のようなことを心がけてください。

日常のあらゆることをサポートする

ママのお腹がどんどん大きくなり、足元が見えなくなったり、動悸や息切れしやすくなったりするため、転倒やお腹に負担のかかる動きには注意が必要です。パパは、買い物や掃除などの日常生活を積極的にサポートしましょう。

自分のことは自分でする

当たり前のことですが「自分のお世話をママにさせない」は絶対に守りましょう。

特に妊娠後期は、予想外のトラブルが起きることもあります。ママが体調を崩して急遽入院したりしても慌てないよう、日頃から最低限の家事ができるよう、心がけておくことが大切です。

両親学級に参加する

妊娠中期に両親学級に行けなかった場合は、妊娠後期に参加しましょう。

両親学級は、妊娠中の過ごし方や分娩の進み方、赤ちゃんのお世話の仕方などを体験しながら学べる場です。医師、助産師、保健師や栄養士などの専門家の話を聞けるほか、ママのお腹の重さを体験できる妊婦体験が可能な場合もあります。

ママの体の変化について理解を深める貴重なチャンスなので、ぜひ夫婦で参加しましょう。

ただし両親学級を取りやめていたり、オンラインで行われたりする場合もあります。何らかの事情で参加できない場合は、できるだけいろいろな情報を自分から取りに行けるといいですね。

出産準備、入院準備をする

ママが入院に必要なものは、早めに、そしてパパも一緒に準備しましょう。いざというときパパが状況を把握していないと、困ることがあります。

もちろん、赤ちゃんとママが家に戻ってきた際の準備も万全に。「ママは産後しばらく外出することができない」ということを、しっかり覚えておいてください。

出産の流れを理解する

いつもと違うお腹の痛み、陣痛、破水など、出産の兆候があるとママは不安になって慌ててしまいがち。そんなとき、パパも一緒になって慌てるのはNG。

いざというときにパパが落ち着いて行動できるよう、あらかじめ出産までの流れを把握しておいてください。

早退や休暇の準備をする

いつお産が始まるかわからないので、ママといつでも連絡できる状態にしておきましょう。そしていざ出産となったときに早退や休暇をとれるように、会社に状況を伝えておくなどして準備しておきましょう。

産後の手続きの準備をする

出産後は、出生届、児童手当の申請など、各種手続きや届け出が必要です。漏れのないよう、必要な手続きを早めにリストアップしておきましょう。

夫婦で赤ちゃんに会えるのを楽しみにしよう

妊娠後期は「いよいよ赤ちゃんと会える」という喜びと、出産に対する不安が入り混じるだけでなく、準備するものが多かったり、体の変化で日常生活が送りにくかったりと、ママにとってはいろいろなことがある時期。

パパは妊娠後期のママがどんな状態なのかを事前にしっかりと把握し、心身ともにあらゆるサポートを行う必要があります。「自分がしっかりしなければいけない!」と決意を新たに、妊娠後期の生活を送ってください。

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