赤ちゃんが生まれると、出生届や健康保険加入など必要な手続きがあります。該当条件に当てはまればもらえる給付金などの手続きもあるので、しっかりチェックしておきたいですよね。
そこで今回は、出産に関わる手続きについて、申請する順番でリストにしました。ぜひ参考にしてみてくださいね。
出産後に必要な手続きとは?
出産後に必要な手続きには、以下のようなものがあります。期限が近いものから順に、対象者や期限とともに並べました。
出産後に必要な手続き一覧
項目 | 対象者 | 期限 |
---|---|---|
1. 失業給付金の受給期間の延長 | 妊娠・出産を機に退職し、離職前2年間に12ヶ月以上雇用保険に加入していたママ | 離職日の翌日から30日過ぎてから早期に ※延長後の受給期間の最後の日までの間であれば申請可能 |
2. 出生届 | 子どもが生まれた人全員 | 出産から14日以内 ※国外出産の場合は3ヶ月以内 |
3. 健康保険の加入 | 子どもが生まれた人全員 | ・国民健康保険の場合は出生日から14日以内 ・健康保険や共済組合の場合は勤務先に確認 |
4. 乳幼児医療費助成 | 子どもが生まれた人全員(子どもが健康保険に加入している) | 健康保険証が発行されたら早めに | 5. 未熟児養育医療給付金 | 生まれてきた子どもが低体重などで身体の発育が未熟、もしくは生活力が特に弱いと診断された人 | 自治体によって異なる |
6. 児童手当 | 子どもが生まれた人全員 ※公的年金制度加入者 |
出生の日の翌日から15日以内 |
7. 出産手当金(産休手当) | 勤務先の健康保険加入者で出産後も働くママ | 産休開始翌日~2年以内 |
8. 育児休業給付金(育休手当) | 会社に勤務し、雇用保険に加入しているママ | 勤務先が定めた期限内 |
9. 産前産後休業保険料免除 | 会社に勤務し、社会保険に加入しているママ | 産前産後休業開始月~終了日の翌日が属する月の前月まで |
10. 医療費控除 | 出産費用を含め、年間医療費が10万円を超えた人 ※所得が200万未満の場合は所得の5% |
出産した年の翌年3月の確定申告 ※5年以内はさかのぼって請求可 |
11. 出産祝い金(企業) | 勤務先に祝い金制度がある人 | 勤務先へ要確認 |
12. 出産祝い金(自治体) | 自治体に祝い金制度がある人 | 自治体へ要確認 |
13. 傷病手当金 | 産休前に病気やケガで4日以上休業したママ | 休業から2年以内 |
14. 医療保険 | 出産前・出産時に対象となる治療を受けたママ | 保険会社へ要確認 |
15. 出産育児一時金・出産育児付加金 | 健康保険加入者で 妊娠4ヶ月以上で出産したママ | 出産日翌日から2年以内 |
16. 高額医療費 | 1ヶ月間に一定額以上の医療費がかかった人 | 診察日の翌月1日~2年間 |
出産後に必要な手続きの期日や必要書類は?
ここでは、産後に必要な手続きについて、対象者や期限、主な必要書類、提出先などを詳しく説明します。
市区町村や加入している健康保険、勤務先などによって違いがあります。特に必要書類は各自治体で異なることが多いため、ホームページなどで最新情報を確認しましょう。
1. 失業給付金の受給期間の延長
妊娠・出産を理由に会社を退職した場合は、働く意志があってもすぐに働くことができないため、特例措置として失業給付金の受給期間を延長することが認められています。
延長期間は、本来の受給期間1年+最長3年間(合計4年)です(※1)。
申請をしておくことで、子育てが落ち着いてから再就職に向けて動き始めるときに、離職してから4年以内であれば失業給付金を受け取ることができます。この期間に再就職を考えている場合は、手続きを行いましょう。
手続きの対象者 | 妊娠・出産を機に退職し、離職前2年間に12ヶ月以上雇用保険に加入していたママ |
期限 | 離職日の翌日から30日過ぎてから早期に(延長後の受給期間の最後の日までの間であれば申請は可能) |
主な必要書類 | ・離職票 ・雇用保険受給資格者証 ・本人確認証 ・母子手帳 |
提出先 | 居住する自治体のハローワーク |
注意 | ・申請期間内でも、申請が遅くなると基本手当の満額を受給できない可能性がある ・条件は雇用形態により異なる ・委任状があれば、郵送・代理も可能 |
2. 出生届
生まれてきた赤ちゃんを戸籍に登録する手続きです。出生後14日以内に手続きをする必要があります(※2)。
出生届の用紙は、出産に立ち会った医師や助産師が作成する出生証明書とセットで産院から渡されるのが一般的です。
一部地域では、オンラインの届け出にも対応しています。本籍地の市町村がオンライン提出に対応している必要があるので、確認してみてくださいね。
手続きの対象者 | 子どもが生まれた人全員 |
期限 | 出生日から14日以内 (国外出産の場合は3ヶ月以内) |
主な必要書類 | ・出生届(出生証明書とセット) ・母子健康手帳 ・マイナンバーカード(健康保険証) ・本人確認証 |
提出先 | 以下、3ヶ所のいずれか ・住民票のある地域の市区役所・町村役場 ・本籍地の市区役所・町村役場 ・里帰り出産など、出生した地域の市区役所・町村役場 |
注意 | 出生届には病院から記入してもらう箇所があり、記入漏れがあると受理されない場合もある |
3. 健康保険の加入
生まれてきた赤ちゃんを健康保険に加入させます。両親とも働いている場合は、所得が高いほうの扶養に入れることが一般的です。
加入している健康保険により規定が異なるので、事前に問い合わせておくと良いでしょう。
手続きの対象者 | 子どもが生まれた人全員 |
期限 | 国民健康保険の場合は出生日から14日以内 健康保険や共済組合の場合は勤務先に確認 |
主な必要書類 | ・出生届出済証明が記入された母子手帳 ・マイナンバーカード(健康保険証) ・出生届のコピー |
提出先 | ・勤務先の窓口(健康保険や共済組合の場合) ・住民票のある市区役所・町村役場(国民健康保険) |
注意 | 勤務先によっては必要書類が異なる場合がある |
4. 乳幼児医療費助成
赤ちゃんが病気やケガで病院を受診したときに、年齢にあわせて一部の医療費を助成してもらえる制度です。
自治体によっては乳幼児医療証の提示で医療費が無料になる、あるいは後日補助金で還付される場合があるので、自治体の制度を確認しておきましょう。
手続きの対象者 | 子どもが生まれた人全員(子どもが健康保険に加入している) |
期限 | 健康保険証が発行されたらすぐ |
主な必要書類 | ・赤ちゃんの健康保険証 ・マイナンバーカード ・振込口座がわかるもの |
提出先 | 住民票のある市区町村役所 |
注意 | ・各自治体で制度が異なるため、居住地の自治体を確認しておく ・健康診断や予防接種、入院時の食事代等は対象外 |
5. 未熟児養育医療給付金
生まれてきた赤ちゃんが未熟児の場合、もしくは、けいれん、運動異常、呼吸器・循環器の異常があるなど生活力が特に弱い場合に、その入院・治療費を自治体が助成する制度です(※3)。
世帯所得に応じて、一部自己負担になることがあります。
手続きの対象者 | 出産した赤ちゃんが、以下のいずれかに該当する人 ・出産した赤ちゃんの体重が2,000グラム以下 ・生活力が弱く下記のいずれかの症状を示す乳児 けいれん、運動異常/体温が摂氏34度以下/強いチアノーゼなど呼吸器、循環器の異常/嘔吐を繰り返すなど消化器の異常/強い黄疸 |
期限 | 自治体によって異なる |
主な必要書類 | ・未熟児養育医療給付申請書 ・未熟児養育医療意見書 ・世帯調書 ・母子健康手帳 ・所得税証明書(源泉徴収票など) ・乳幼児医療費受給者証 ・マイナンバーカード(健康保険証) |
提出先 | 居住地の保健所窓口 |
注意 | ・指定医療機関に入院している間、1歳の誕生日の前々日まで保障される ・期限は自治体によって異なるため、要確認 |
6. 児童手当金
公的年金制度に加入していることを条件に、育児を支援する目的国から年6回偶数月に支給されるお金です。所得上限はありません。
給付期間は生まれてから高校を卒業するまでの間で、金額は子どもの年齢や人数などによって変化します(※4)。
【第1子・第2子】
● 0~3歳未満まで:乳幼児一人につき月額15,000円
● 3歳から高校卒業まで:月額10,000円
子どもが3人以上いて、所定の条件を満たすと「多子加算」として、3人目以降の支給額が3万円になります。
【第3子以降】
● 0歳〜高校卒業まで:月額30,000円
多子加算としてカウントされるのは、22歳の年度末までの年齢で、親が経済的な負担をしている子どもになります。
下のチャートで他子加算に該当するか確認してみてくださいね。
手続きの対象者 | 子どもが生まれた人全員(公的年金制度加入者) |
期限 | 出生の日の翌日から15日以内 |
主な必要書類 | ・申請者のマイナンバーカード(健康保険証) ・申請者名義の普通預金通帳 ・所得証明書(その年に転居した場合は課税証明書) |
提出先 | 住民票がある市区役所・町村役場 |
注意 | 申請が遅れるとさかのぼっての支給はされない |
7. 出産手当金(産休手当)
産休中は給料が発生しないため、健康保険から手当金として給料の3分の2が支給される制度です。給付期間は、出産前42日(多胎妊娠は98日)、出産後56日となります(※5)。
手続きの対象者 | 勤務先の健康保険加入者で出産後も働く意志があるママ |
期限 | 産休開始翌日~2年以内 |
主な必要書類 | ・出産手当金申請書 ・マイナンバーカード(健康保険証) ・振込先口座 ・出生を証明する書類 |
提出先 | 勤務先の窓口(健康保険や共済組合の場合) |
注意 | ・双子など多胎妊娠の場合は産前 ・受け取るまで1~2ヶ月かかる場合が多い ・夫の健康保険に扶養で入っている場合は対象外 ・国民健康保険は対象外 |
8. 育児休業給付金(育休手当)
子どもが生まれると、赤ちゃんが1歳になるまで育児休業を取得できますが、その期間は給料が発生しません。
代わりに、雇用保険から「給付金」というかたちで、育児休業開始日から180日までは月給の67%、181日から終了までは月給の50%が支給されます(※6)。
手続きの対象者 | 会社に勤務し、雇用保険に加入しているママ ※育児休業前に2年以上働いている(2年間で11日以上働いた月が12回以上ある)ことが条件 |
期限 | 勤務先が定めた期限内 |
主な必要書類 | ・振込先口座 ・出生を証明する書類(母子健康手帳のコピーなど) ・育児休業基本給付金の申請書 |
提出先 | 勤務先の窓口 |
注意 | ・67%と50%の期間でそれぞれ上限額あり(勤務先窓口で確認が必要) ・パパ・ママ育休プラスで両親とも育児休業を取得する場合は、1歳2ヶ月まで受給可能 ・保育所に入所できないなどの理由がある場合は、最長2歳まで受給可能 ・パートやアルバイトは更に条件があるため、勤務先に要確認 |
9. 産前産後休業期間の保険料免除
産休中に発生する健康保険、厚生年金などの社会保険料が免除される制度です。出産前42日(多胎妊娠は98日)から出産後56日が対象期間です(※7)。
この期間は、社会保険料が免除されると同時に、企業側も本人も、社会保険料を支払ったという扱いになります。
手続きの対象者 | 会社に勤務し、社会保険に加入しているママ |
期限 | 産前産後休業開始月~終了日の翌日が属する月の前月まで |
主な必要書類 | ・振込先口座・産前産後休業取得者申出書※事業所、加入保険により異なるため要確認 |
提出先 | 勤務先の窓口 |
注意 | ・出産予定日と実際の出産日が異なる場合は、変更届の提出が必要な場合がある ・日割りではなく月単位で算出される ・産休中に出勤(仕事をして賃金が発生)した場合は対象外になる |
10. 医療費控除
出産する年の1月1日~12月31日の1年間で支払った医療費が基準を超えた場合に、その医療費の一部を税金から控除できる制度です(※8)。
妊娠と診断されてからの定期健診をはじめ、出産時の処置、分娩介助、入院費用、通院の交通費などが医療費控除の対象となります(※9)。
手続きの対象者 | 出産にかかわる費用を含め、家族全員分の年間医療費が10万円を超えた人 ※所得が200万未満の場合は所得の5%を超えた人 |
期限 | 出産した年の翌年3月の確定申告 ※5年以内はさかのぼって請求可 |
主な必要書類 | ・確定申告書 ・医療費の明細書 ・出産にかかわる費用の領収書 |
提出先 | 税務署 |
注意 | ・医師や税務署によって判断が異なることもある ・出産育児一時金を含め、給付金や保険金を医療費の総額から差し引く必要がある |
11. 出産祝い金(企業)
出産を祝って勤務先の企業から給付金をもらえる制度です。制度の内容や金額は会社によって異なります。
手続きの対象者 | 勤務先に「出産祝い金」の制度がある人 |
期限 | 勤務先へ要確認 |
主な必要書類 | 出生に関する書類 |
提出先 | 勤めている会社 |
注意 | 企業によって制度の有無、必要書類、申請の有無が異なるので事前に確認が必要 |
12. 出産祝い金(自治体)
出産を祝って自治体から給付金がもらえる制度。自治体によって制度の内容や金額は異なります。
手続きの対象者 | 自治体に祝い金制度がある人 |
期限 | 自治体へ要確認 ※1年以内が多い |
主な必要書類 | ・申請書 ・預金通帳の写し ・納税証明書 ・戸籍謄本 |
提出先 | 自治体の窓口 |
注意 | 自治体によって制度の有無、必要書類、申請の有無が異なるので事前に確認が必要 |
13. 傷病手当金
病気やケガの療養などで働くことができず4日以上休んだ場合に、給料の3分の2が健康保険から手当金として給付される制度です(※10)。
妊娠の場合は、切迫早産、重度のつわり、妊娠高血圧症候群など、入院以外に医師から自宅安静を判断された際にも対象となる場合があります。
手続きの対象者 | 会社に勤務していて、産休前に病気やケガ、または妊娠に伴う不調を医師から診断されて会社を連続して4日以上休んだたママ。 |
期限 | 休業から2年以内 |
主な必要書類 | ・傷病手当金支給申請書 (医師の記入欄あり※有料) ・出勤簿の写し ・賃金台帳の写し |
提出先 | 勤務先の健康保険の窓口 |
注意 | ・国民健康保険に加入している場合は対象外 ・出産手当金より傷病手当金の額が大きい場合はその差額が支給される ・給与の支払いがないこと(一部支給されている場合は給与分を減額) |
14. 医療保険
民間の医療保険に加入していれば、出産前に病気で入院、出産時に帝王切開などの手術をした場合に、入院給付金や手術給付金を受け取ることができます。
手続きの対象者 | 出産前・出産時に対象となる治療を受けたママ |
期限 | 加入している保険会社へ要確認 |
主な必要書類 | 保険会社へ連絡することで必要書類を郵送してもらえる |
提出先 | 保険会社 |
注意 | ・対象となる病気やケガは異なるため、給付されるか否かを確認する ・妊娠中に保険に加入した場合「特定部位の不担保」という条件がつくことがあり、帝王切開や切迫早産、妊娠中毒症などが対象外になることもある |
15. 出産育児一時金・出産育児付加金
加入している健康保険から一児につき50万円(産科医療補償制度の対象外の出産、または制度に加入していない医療機関での出産の場合は48万8000円)が給付される制度です(※11,12)。
会社や自治体によってはプラスで上乗せされる場合もあります。
手続きの対象者 | 健康保険被扶養者または被保険者かつ妊娠4ヶ月以上で出産したママ |
期限 | 出産日翌日から2年以内 |
主な必要書類 | ・マイナンバーカード(健康保険証) ・出生を証明する書類 ・出産育児一時金の申請書 ・申請内容と同じ領収証か明細書の写し ・医療機関などとの合意書 ・振込先口座 |
提出先 | ・勤務先の窓口(健康保険や共済組合の場合) ・住民票のある市区役所・町村役場(国民健康保険の場合) |
注意 | ・退職した場合、妊娠4ヶ月以上の出産であること、退職日までに継続して1年以上被保険者期間があること、退職後6ヶ月以内の分娩であることを全て満たしていれば支給される |
16. 高額医療費
健康保険が適用される治療で、1ヶ月間に自己負担限度額を超える医療費がかかった場合、超えた分を健康保険が返還してくれる制度です(※13)。
自己負担限度額は所得によって異なります。妊娠の場合は帝王切開の他、妊娠中の合併症やトラブルも、種類によっては保険が適用される場合もあります。
手続きの対象者 | 帝王切開など適用対象の治療を受け、1ヶ月間に自己負担額以上の医療費がかかった人 |
期限 | 診察日の翌月1日~2年間 |
主な必要書類 | ・マイナンバーカード(健康保険証) ・医療費の領収証 ・高額医療費支給の申請書 |
提出先 | ・勤務先の窓口(健康保険や共済組合の場合) ・住民票のある市区役所・町村役場(国民健康保険の場合) |
注意 | 限度額よりも金額が低い場合も、企業や自治体によっては別の付加給付制度で給付される場合がある |
出産後の手続きは期限を守って賢く活用!
出産後に必要な手続きは、それぞれ期限や提出先が異なるため、事前にしっかり確認することが大切です。不明点や最新情報は、自治体や職場、加入している保険組合などに確認しましょう。
年々制度が変わり、経済的な負担を減らしてくれる給付金や手当が増えているので、上手に活用していけるといいですね。