妊娠31週は、妊娠8ヶ月の最後の週にあたります。この週が終われば、出産予定日まではあと2ヶ月。出産の時期が迫ってきて、少し緊張してきたという人もいるかもしれませんね。子宮収縮が頻繁になってお腹の張りが出てくると、「もしかして陣痛なの?」と不安になることもあると思います。今回は、妊娠31週の妊婦さんとお腹の赤ちゃんの状態をご説明します。
妊娠31週のお腹の大きさや体重は?

妊娠31週のお腹の大きさは、子宮底長が27cmほどです(※1)。子宮は、おへそとみぞおちの中間あたりまで上がってきました。横隔膜が圧迫され、動悸や息切れを感じやすくなります。
大きなお腹を支えようと、背中を反らせる姿勢になるので、腰に大きな負担がかかり、腰痛になることも。お腹はここからまだ大きくなり、歩くのも大変ですが、できるだけ姿勢を正しく保つように意識してください。骨盤ベルトを使用するのもおすすめですよ。
赤ちゃんの成長と羊水量の増加により、体重も妊娠前と比べてかなり増えたのではないでしょうか。
日本産婦人科学会は、妊娠中の体重増加量について、下記のような目安を提示しています(※2)。

妊娠後期の急激な体重増加は、分娩にも影響を与えることがあります。上記を参考に、オーバー気味の人は食事内容や食事量を見直し、適度な運動を心掛けましょう。
一方で、妊娠中の体重増加が不足することも、妊娠・出産のトラブルにつながりやすくなります。
体重増加量については個人差を考慮した医師の指導が必要です。無理なダイエットは避け、気になる場合は健診時に医師に相談してみてくださいね。
妊娠31週は出血しやすくなる?

妊娠中は胎児に栄養や酸素を運ぶために、血液量が妊娠前より約40%増加します。血液は妊娠初期から増え始め、妊娠32~34週頃に最も多くなります(※3)。
体に行き渡る血液量が多くなっているうえに、妊娠でホルモンバランスが変化しているので、普段と変わらない生活をしていても、鼻や歯茎からの出血が起こりやすいかもしれません。
出血すると「何かの病気なのでは?」と不安になると思いますが、胎児に悪影響を与えることはないので、過度に心配する必要はありません。妊娠に伴う生理的な現象として受け止めましょう。
ただし、出血すると貧血を起こしやすくなるので、立ちくらみをして転ばないように注意が必要です。頻繁に出血がある、出血量が多い、立ちくらみや動悸、息切れ、吐き気があるというときは、一度かかりつけの産婦人科医に相談してください。
妊娠31週のお腹の張りは前駆陣痛なの?

妊娠31週以降は、お腹が張る頻度も増えてきます。これは出産に向けた準備で、子宮が収縮するためです。ただし、陣痛につながるものではなく、この時期にお腹が張ったからといってすぐに赤ちゃんが生まれるわけではありません。
本格的な陣痛の前に起こる「前駆陣痛」は、妊娠36~40週頃、臨月に入ってから起こるのが一般的です。妊娠31週の時点では、あまり気にする必要はありません。
ただし、切迫早産でお腹が張っている可能性もあるので、お腹が1日に何回も石のようにカチカチに硬くなったり、安静にしても治まらなかったり、痛みを伴ったりするときは、すぐに産婦人科に相談してください。
妊娠31週の胎児の体重は?エコーの見え方は?

妊娠31週の胎児は、身長40cm、体重1,500gほどです(※1)。外見上はほぼ4頭身になり、生まれたての新生児と変わらなくなりました。
骨格や筋肉がしっかりして、様々な表情を見せてくれます。エコーのときに、ニコッと笑った顔が見られるかもしれませんよ。頭蓋骨は産道を通り抜けられるように少し柔らかいですが、それ以外の骨は、外の世界で活動ができるようにしっかり硬くなりました。
今週で、外の世界で生きるのに必要な臓器がほぼ完成するので、たとえ早産になったとしても、障害が起こる可能性が低くなります。ただし呼吸機能はまだ未熟なので、正期産までもう少しママのお腹のなかで成長が必要です。
妊娠31週からは胎動カウントをしよう

妊娠31週以降、遅くても妊娠36週頃までには、赤ちゃんの生活サイクルが整い、約20~75分おきに眠ったり起きたりを繰り返すようになります(※3)。起きているときには活発に体を動かしたり呼吸の練習をしたりしますが、眠っているときにはピタリと動きがなくなります。
そのため、胎動の回数も少なくなり、全く感じない時間帯がでてきます。しかし、胎動があるときは1時間のうちに何度も感じられるものなので、「10カウント法」で胎動カウントをしてみるのもいいかもしれません。赤ちゃんが元気なのかを把握することができますよ。
「10カウント法」とは、安静にした状態で、胎動を10回感じるまでにかかった時間をはかる方法です。
胎動10回にかかる時間の目安は、通常30分ほど(※3)。それ以上時間がかかると何か異変が起きている可能性がありますが、赤ちゃんが眠ってしまったのかもしれません。数が少なければ、時間をおいてから再度はかってみるようにしましょう。
時間をおいても胎動が感じられないときは、すみやかに病院に連絡しましょう。普段から胎動を意識していれば、赤ちゃんの異変にも早く気づくことができるかもしれません。
妊娠31週にできる逆子対策は?

妊娠31週に逆子と診断されると、不安になると思います。分娩時の逆子は全妊娠の3~5%ほどで、妊娠中の逆子はほとんど分娩前に元に戻りますが、できるだけ早く不安は解消しておきたいですね(※1)。
逆子と診断された人は、医師と相談しながら、下記の方法を試してみてもいいかもしれません。「絶対に治すぞ」と考えるとストレスになってしまうので、「治ればいいな」という気持ちで取り組みましょう。
逆子体操
「逆子体操」とは、赤ちゃんを骨盤からずらし、お腹の中で動きやすい状態をつくる体操です。1日1度、夜寝る前に行い、効果を持続したまま眠りにつきましょう。
この体操を行うには、かかりつけの産婦人科で赤ちゃんの向きを確認してもらう必要があります。やり方なども、医師や助産師に聞いてから実行してください。
お灸
逆子の原因は様々ですが、冷えによる子宮の緊張もそのひとつです。冷え対策に、お灸を施すのもいいでしょう。お灸はツボの位置がずれると効果が下がるので、最初は鍼灸院で施術を受けることをおすすめします。
ツボ押し
お灸同様、体の冷えを解消するために、指でツボを刺激するのも方法のひとつです。ただし時期によっては、刺激が強すぎて出産を早めてしまうこともあります。ツボ押しは自己判断で行わず、鍼灸師などの専門家に相談してください。
外回転術
「外回転術」とは、お腹に手を添えて、お腹の外から赤ちゃんをぐるりと回転させる方法です。経験と技術のある医師のみが行うことができます。
力を入れて行われるため、母体や胎児への負担も大きく、施術によって胎盤が剥離したり、破水したりといったリスクも伴います。医師とじっくり相談の上、実施するかを決めましょう。
外回転術は実施している施設が少なく、かかりつけの産婦人科では行っていないかもしれません。希望する場合は医師に相談し、実施している施設を探してみてくださいね。
妊娠31週以降の1ヶ月で産後の準備を

産後の生活に向けて、準備は整っていますか?ベビー服や授乳グッズ、おむつなど、すぐに必要になるベビー用品は、お腹の大きくなる妊娠32週頃までにはそろえておきたいものです。特に家具などの大きなものは早めにそろえるようにしましょう。
赤ちゃんのことを思い浮かべながらベビー用品店などで買い物をすると、気分転換にもなります。お店で買いたい商品をピックアップしておけば、後日インターネットで買ったり、パートナーに頼んで買ってもらったりすることもできますよ。
体調が安定しているときにぜひ出かけてみましょう。赤ちゃんが生まれるとなかなか出かけられないので、パートナーとのデートを楽しむのもいいですね。
妊娠31週以降の体の変化は、赤ちゃんが成長している証
妊娠後期はマイナートラブルが出やすい時期です。安定期に入ってしばらく体調が落ち着いていた人は、その変化に戸惑うこともあるかもしれません。
しかし、マイナートラブルがあらわれるのは、お腹の赤ちゃんがすくすくと成長している証です。不安を感じたときは「赤ちゃんが育っているんだ」と考えるだけで、気持ちが楽になるかもしれません。無理をせず、残りのマタニティライフもリラックスして過ごしてくださいね。