妊娠32週の胎児の体重は?お腹の張りは出産が近づいている証?

監修専門家 助産師 鶴町 はるな
鶴町 はるな 茨城県立中央看護専門学校助産学科卒業後、総合周産期センターの産婦人科・NICU勤務を経て、クリニックでのフリースタイル分娩や無痛分娩にも携わってきました。現在は産後ケアや母乳外来を中心に活動しています... 監修記事一覧へ

妊娠32週に入り、いよいよ妊娠9ヶ月目になりました。妊娠37週からは赤ちゃんがいつ生まれてもおかしくない「正期産」の時期です。今は大きくなった子宮が胃を圧迫し、食欲不振やつわりのような症状を感じているかもしれませんが、あと少しで赤ちゃんに会えますよ。今回は妊娠32週の妊婦さんと赤ちゃんの状態や変化についてご説明します。

妊娠32週のお腹の大きさは?体重増加の目安は?

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妊娠32週になると子宮底長は27cmを超えます(※1)。子宮は、みぞおちの方に近づいてきました。

妊娠前に比べて、体重もかなり増えてきたのではないでしょうか。妊婦健診で、医師から「もう少し食べて体重を増やして」「体重増加ペースが早いから注意して」などのアドバイスをもらっている人もいるかもしれません。

妊娠中の体重増加量は妊娠前の体格によって異なり、日本産婦人科学会は妊娠中の体重増加量について以下の目安を提示しています(※2)。

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体重が気になる場合は、健診時に医師に相談してみてください。特に指導がなければ、このまま栄養バランスのとれた食事や軽い運動を続けましょう。

妊娠32週の体調変化は?

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妊娠32週頃になると、大きくなった子宮が内蔵を圧迫し、「後期つわり」が現れます。

心臓や肺が圧迫されることで、動悸や息切れを感じやすくなり、腸が圧迫されると、便秘気味になることも。膀胱が圧迫されると、頻尿や尿漏れも起こりやすくなります(※1)。胃もたれやむかつきを感じて、まとまった食事が摂れなくなることもあるかもしれません。

どれも妊娠による生理的なものなので、症状をなくすことは難しいですが、産後には治まるものと思って上手に付き合っていきましょう。不快感が強いとストレスになって体にもよくないので、つらいときは無理をせずにゆったり過ごしてくださいね。

また、前にせり出したお腹を支えるために無理な姿勢をとって腰や背中、恥骨などを痛める人もいます。骨盤ベルトを使って姿勢を保ったり、ストレッチで腰を伸ばしたりして、改善していけるといいですね。

妊娠32週のお腹の張りは出産の兆候?

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胎児が大きくなると、子宮内のスペースが減り、お腹をぐっと押されるような胎動が増えます。それにともなってお腹の張りを感じることがあり、不安に思う人もいるかもしれません。

この時期はお腹が張りやすく、しばらく安静にしていればおさまるのが普通です。妊娠32週にもなれば、1日に数回お腹の張りを感じることも珍しくないので、過度に心配する必要はありません。

ただし、安静にしても張りがおさまらない、1日に何度もお腹が張る、出血や破水があるなど、早産の兆候が見られたときは、すぐに産婦人科に連絡しましょう。

妊娠32週頃は高血圧に気をつけよう

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妊娠32週頃も引き続き注意したいのが、妊婦さんの10%に発症する「妊娠高血圧症候群」です。発症し重症化すると、妊婦さんは脳出血やけいれん、赤ちゃんは発育不全や常位胎盤早期剥離などのリスクが高まります(※1,3)。

妊娠高血圧症候群の原因はまだはっきりとわかっていませんが、初産婦さんや35歳以上の人、肥満の人などが発症しやすいといわれています(※1,3)。体重管理をしっかりと行い、予防に努めましょう。

カリウムが多く含まれる海藻を摂取する、塩分を控える、適度な運動をする、飲み物や足湯などで体を温めるなど、体をいたわることも大切です。

また、妊娠高血圧症候群を発症すると、血圧が高くなり、むくみや急激な体重増加、頭痛、目がチカチカするなどの症状が現れます。これらの症状があったら、すぐに医師に相談しましょう。

妊娠32週の胎児の大きさや体重は?

妊娠32週 エコー写真

妊娠32週の胎児は、4頭身へと成長しました。体の大きさは約40~45cm、体重は1,500gを超え、なかには2,000gほどある子もいます(※1,3)。一般的に、出産予定日頃には体重が3,000g前後になるので、今の段階でもまだ半分ほど。これから2ヶ月で、一気に体重が増えていきます。

赤ちゃんはこれから皮下脂肪が増えてきて、丸みのある体つきになります。しわしわだった皮膚にも張りがでて、ふっくらとしてきますよ。

内臓や器官はもうほとんどできあがり、あとは妊娠34週頃に機能が完成する肺の成熟を待つばかりです。排泄機能も機能して、体内に吸収した羊水をおしっことして排出しています。

妊娠32週の出産は早産になるの?

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妊娠32週での出産は、早産にあたります。妊娠32週で早産になった場合、適切な処置を行えば生存率は高くなりますが、合併症を起こす可能性があります(※1)。切迫早産になると、病院ではできるだけ出産を先に延ばす処置が取られます。

正期産が近づくこの時期は、子宮の下部にあり、赤ちゃんが下がってくるのを防ぐ役割がある「子宮頸管」が短くなり始めることがあります。妊婦健診で長さを測ったときに短いと、早産や切迫早産になりやすい状態です。

妊婦健診を受けていれば早期発見ができるので、例え健康的に毎日を過ごせていても、定期的に妊婦健診を受け続けるようにしましょう。

妊娠32週を過ぎると逆子が治りにくくなる?

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妊娠32週以降は、逆子が治りづらくなります。これは、赤ちゃんが大きくなって子宮のなかに動けるスペースが減るためと、羊水の量が減少していくことで、赤ちゃんが自力で回転しづらくなるためです。

逆子の出産にはリスクが伴い、帝王切開を行う場合もあります。しかし、最終的に逆子のまま出産をするケースは全体の3~5%ほどなので、過度に心配する必要はありません(※1)。

納得のいく形で出産ができるようにお医者さんと相談しながら、逆子対策にあたっていきましょう。

妊娠32週には産後の手続きを確認しよう

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出産後は、出生届の提出や児童手当金の申請、健康保険の加入申請など、しなければならない手続きがたくさんあります。勤務先や自治体、保険会社など、手続きを行う先も様々です。

期限までに手続きを行わないと、受理をしてもらえなかったり、罰金が発生したりすることもあるので、「申請期限を過ぎてしまった」「必要書類が足りなかった」といった失敗をしないよう、今のうちから必要なものを洗い出しておきましょう。

出産前にパートナーと相談しておけば、産後の入院している間、パートナーに手続きを進めてもらうこともできます。産後は赤ちゃんのお世話で忙しくなるので、自分でしかできないことと、パートナーや家族に頼めることなどをしっかり確認して、早め早めの行動を心がけましょう。

妊娠32週は旅行に行っても大丈夫?

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妊娠32週頃で後期つわりなどのマイナートラブルがないと、「出産までまだ2ヶ月あるし、旅行に行こうかな」と計画する人もいるかもしれません。

実際、この時期に旅行にいく妊婦さんもいますが、急に体調が変わることもあるので注意が必要です。

できれば遠出を控えて、万が一のときにも素早く対処できるようにしておきましょう。旅行先の自治体が運営している救急ダイヤルなどを調べておくと安心です。旅行の前には医師に確認を取り、必ず母子健康手帳を持ち歩くようにしてください。

妊娠32週が終わると赤ちゃんに会えるまであと少し

妊娠32週以降、赤ちゃんはどんどん人間らしくなっています。赤ちゃんとの対面まで残りあと2ヶ月を切りました。赤ちゃんと歩んできたこの8ヶ月間はいかがでしたか?

つわりやマイナートラブルでつらかった人も、「もうすぐ赤ちゃんと2人きりの時間が終わる」と思うと、少し寂しい気持ちになるのではないでしょうか。マタニティダイアリーなどに、今の気持ちを書き留めておくのもいいかもしれません。

妊娠32週頃からは、体調に合わせて、出産準備や、赤ちゃんが産まれたあとの生活の準備も整えていきましょう。残り少ない妊婦生活を、楽しく穏やかに過ごしていけるといいですね。

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