妊娠後期や臨月になると、足の付け根や股関節に痛みを感じる人が増えてきます。何かの病気なのではないかと不安になる人もいるかもしれませんが、実は妊婦さんによく現れるマイナートラブルの一つです。
今回は、妊娠後期や臨月に現れる足の付け根や股関節の痛みについて、原因や対処法をご説明します。
妊娠後期・臨月に足の付け根や股関節が痛い原因は?
妊娠後期や臨月になると、足の付け根や股関節に痛みが現れやすくなります。足の付け根がチクチク痛んだり、引っ張られるような痛みを感じたりする場合は、妊娠による痛みであることがほとんどです。
妊娠後期や臨月に足の付け根や股関節が痛むのには、以下の2つの変化が影響しています。
靭帯や関節がゆるむ
妊娠中は出産に備えて体に様々な変化が起こりますが、その一つに靭帯や関節のゆるみがあります。
妊娠すると、ホルモンの影響で靭帯や関節がゆるみやすい状態になります。そうすると、筋肉や骨に余分に負担がかかるようになるため、痛みがでてしまうことがあります。
子宮の重みがかかる
妊娠後期の子宮は、妊娠初期の子宮と比べて、大きさが約5倍、容量が約500~1,000倍、重さは15倍にもなります(※1)。
妊娠が進んで赤ちゃんが成長するにつれて、子宮も大きくなっていくため、恥骨や股関節を圧迫して、足の付け根に痛みが起こることがあります。
赤ちゃんの頭に圧迫されている
お産に向けて赤ちゃんの頭が下がってくると、股関節周りが圧迫されて、足の付け根や股関節の痛みが強くなることも。
お産が近づいている妊娠後期や臨月は、もっとも靭帯がゆるみ、子宮が重く、赤ちゃんが下がってきて股関節周りが圧迫されるタイミングです。
それまで痛みを感じていなかった人も、臨月を迎える頃には痛みを感じ始めることが多いようです。
妊娠後期・臨月の足の付け根や股関節の痛みの対処法は?
足の付け根や股関節の痛みに対しては、痛みが起こっているところの負担を減らすことが大切です。
痛みを予防したり、症状を緩和したりするには以下のような方法を試してみてくださいね。
骨盤をサポートする
骨盤ベルトや腹帯を使って、負担のかかりやすい骨盤まわりをサポートしてあげましょう。骨盤を固定することで負荷を軽減し、痛みをやわらげることができます。
「トコちゃんベルト2」など、妊娠中だけでなく産後も使える骨盤ベルトなら、長く使えて経済的ですよ。
姿勢を変える
普段の姿勢や歩き方に気を配ることも大切です。大きくなったお腹を支えるため、反り腰の姿勢になりがちですが、意識して姿勢を正すようにするだけでも足の付け根や股関節周りへの負担が少なくなります。
立っているときは片足に重心をかけず、両足に均等に力がかかるよう、バランスを意識してみましょう。
座るときは足を組んだり、横座りをしたりしないように気をつけるのがおすすめです。
適度な運動をする
足の付け根や骨盤が痛いからといってあまり動かないでいると、股関節周りの筋肉が弱まってさらに痛みが増してしまうこともあります。
日頃から無理のない範囲で、軽い運動を習慣にしておくことをおすすめします。
お産に向けた体力作りにもつながるので、妊婦体操やストレッチなど家で気軽に取り組めるものから行ってみてくださいね。
妊娠後期・臨月の足の付け根や骨盤の痛みで病院に行くべき?
足の付け根や骨盤の痛みは、妊娠中の生理現象によるものです。どんなに気をつけていても、妊娠後期や臨月になると痛みが出てしまうことも少なくありません。
「立っていられない」「歩けない」など、日常生活に支障をきたすような痛みを感じたら、かかりつけの産婦人科を受診しましょう。
足の付け根や骨盤の痛みがひどいときは、必要に応じて整形外科を紹介してくれることもあります。
一般的に、妊娠36週を過ぎると妊婦健診の頻度が週に1度のペースになるので、日常生活に支障が出る前でも、気軽に相談してみてください。
骨盤ベルトの着用や日常で気をつけることなど、状況に応じたアドバイスがもらえますよ。
妊娠後期・臨月の足の付け根や骨盤の痛みは出産の兆候?
妊娠後期や臨月に足の付け根や骨盤の痛みがひどくなると、「出産の兆候では?」と思う人もいるのではないでしょうか。
個人差はありますが、分娩の前日に恥骨の痛みが現れることがあります。これは、出産に向けて赤ちゃんの位置が下がってくることで、恥骨を圧迫するために起こります(※1)。
ただ、ホルモンによって恥骨結合がゆるんで恥骨に痛みが生じることもあるので、必ずしも出産の兆候であるというわけではありませんよ。
妊娠後期・臨月の体調不良は無理をしないで
妊娠後期や臨月に起こる足の付け根や骨盤の痛みは、出産してしばらくすれば自然と治まっていくことがほとんどです。ただ、痛みが強い場合は我慢せずに産婦人科の医師へ相談するようにしましょう。
体調が良いときには少しずつ体を動かすように習慣づけて、痛みを予防したり緩和できるといいですね。