妊娠中期|今、パパがすべきことは?ママの体調変化を学ぼう【パパペディア】

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

ママの体と赤ちゃんの状態が比較的安定する妊娠中期になりました。この時期、ママの体とお腹の中の赤ちゃんにはどんな変化があるのでしょうか。

ママとの生活で、パパが特に気をつけるべきこともあわせてご紹介します。

妊娠中期はいつからいつまで?

妊娠中期は、妊娠5〜7ヶ月(妊娠16〜27週)までのことをさします。「安定期」と呼ばれる時期です。

少しずつママのお腹の膨らみも目立ってきて、赤ちゃんの成長を実感できます。

妊娠中期の赤ちゃんの様子

骨格がしっかりしてきて、バランスのとれた体つきやはっきりとした顔立ちになってくる妊娠中期の赤ちゃんの様子を、時系列に沿って説明します。

パパペディア 妊娠中期 赤ちゃんとママの変化

妊娠5ヶ月(16〜19週):手足を器用に動かせるように

赤ちゃんは、腕や脚のすべての関節が動かせるようになり、手足を器用に動かせるほか、それぞれの指を別々に動かせるようにもなります。

妊娠16〜17週目

● 皮膚に厚みができる
● 体毛が生えてくる
● 皮膚の下に脂肪がついてくる
● 聴覚が発達し、外の音が聞こえるようになる

妊娠18週目

● 胎児の頭の幅は約4cmになる(※1)
● 体の表面に細胞を保護するための体脂ができる
● 体脂を維持するための産毛ができる

妊娠19週目

● 身長は新生児の半分くらいの約25cm、体重は約250gに(※1)
● 活発に動くようになるので、胎動も頻繁に感じられるように
● エコー検査では性別が判明することも(ただし確認できないことも多いので「判明したらラッキー」くらいの気持ちで)

妊娠6ヶ月(20〜23週):体重が倍増!

赤ちゃんの成長が加速する時期です。妊娠6ヶ月目の1ヶ月間で、妊娠5ヶ月目のときに比べて体重が2倍以上に成長します。

妊娠20週目

● 胎児の見た目のプロポーションは、新生児とほぼ同じに
● 体の主要な器官ができあがり、ここからは細部が形作られる

妊娠21週目

● 胎児の体重は約300~450gほどに(※2)
● 頭蓋骨や脊髄などの骨が硬くなり、体脂肪がついてきてふっくらとした体型に
● 羊水の中を盛んに動き回っているので、逆子の状態になっていることも

妊娠22週目

● 胎児の体重は約400~500gほどに(※2)
● この頃までには、ほとんどの妊婦さんが胎動を感じられる
● 聴覚はほぼ完成し、ママの声や外の大きな音、血流音や心音などを聞いている

妊娠23週目

● 胎児の身長は約30cm、体重は約650gに成長(※2)
● 赤ちゃんの体が大きくなってくると、エコー検査で全身を見ることができなくなることも

妊娠7ヶ月(24〜27週):胎動が強くなる

赤ちゃんが急成長し、子宮の中で元気に動き回れるようになるので、胎動はより強くたくましくなります。

妊娠24週目

● 胎児の体重の目安は約500~700g前後(※1)。1ヶ月前に比べると約2倍の重さに

妊娠25週目

● 胎児の頭の直径が6cmほどに(※2)
● 目や鼻、口などのパーツができて、機能し始める

妊娠26週目

● 体の形成に必要な器官はほぼすべて完成
● 大きく伸びをしたり、手を握ったりと、複雑な動作ができるように(※1)
● 五感が発達して、外からの刺激にも頻繁に反応するように

妊娠27週目

● 胎児の身長は約35cm、体重は約1,000g(※1)
● 目が開閉できるようになったり、耳が開通したりと、細かい部分も成長が著しい

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妊娠中期のママに起こる変化

妊娠中期は、胎盤が完成して母体と赤ちゃんの状態が比較的安定する時期とされているものの、さまざまなマイナートラブルに悩まされるママも多くいます。

この時期のママには以下のような変化があります。

お腹が大きくなる

お腹のふくらみが目立つようになり、妊娠中期の末にはお腹が突き出て、姿勢がそり気味になってきます。重心が変化することでバランスを崩しやすくなるので、転倒に注意が必要です。

乳房が大きくなる

胎盤から母乳づくりを促すホルモンが分泌され始め、乳房がふっくらし、母乳がうっすらと出始める妊婦さんもいます。

皮下脂肪がついてくる

どんどん大きくなる胎児に栄養を送るため、ママの体には皮下脂肪がついて、ふっくらと丸みを帯びた体形になってきます。

体重が増えるのは自然なことですが、急激な体重増加は、妊娠後期に発症しやすい妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病の原因にもなるため、注意が必要です。

お腹が張る

お腹の張りは子宮収縮が原因で、疲労やストレスが溜まったときに起こりやすくなります。

「お腹が張っている」と感じたら、まずは横になって休むことが大切。特に問題がない場合、安静にしていれば張りは徐々に落ち着きます。安静にしていても張りがひかないときは切迫早産の兆候かもしれないので、かかりつけの産婦人科の受診が必要です。

動悸や立ちくらみが増える

胎児の成長にともなって、子宮に送らなければならない血液の量が増加します。そのため妊娠前は1分あたり約70回だった安静時の心拍数が、妊娠中は1分あたり80回前後まで増えます(※2)。何もしていなくても心臓に負担がかかっている状態なので、少しの動作で動悸が激しくなったり、息苦しくなったりすることがあります。

そのうえ妊娠17週目頃からは、大きくなった子宮が横隔膜を圧迫することで、動悸や息切れを起こすこともある時期です。安定期に入り運動を始める妊婦さんも多いと思いますが、体を動かすときは無理をしすぎないことが大切です。

妊娠線が出る

妊娠線は、妊婦さんのお腹や太もも、お尻の皮膚にできる線のことです。お腹が大きくなることで皮膚の表面(表皮)が引っ張られ伸びたときに、その下(内側)の真皮や皮下組織が表皮の伸びに追いつかず、亀裂が入ってしまうことで生じます。

妊娠中期は目に見えてお腹が大きくなり、せり出してくるので、妊娠線ができやすい時期です。クリームなどで保湿を心がける、急激に太らないなどの予防対策がおすすめです。

肌・ヘアのトラブル

ホルモンバランスの変化が原因で、肌や髪質などの悩みが出てきます。

● シミ、そばかすが増える
● 乳首や脇の下に黒ずみができる
● 体毛が濃くなる
● 抜け毛が増える
● でべそになる
● 髪の毛がパサつく

これらは産後に自然と解消することがほとんどですが、シミやそばかすは残る場合もあります。

ストレスが溜まることで肌のコンディションが崩れることがあるので、ママがよく寝て、よく笑い、リラックスして過ごせるよう、パパも意識的にコミュニケーションを増やすなどの工夫をしましょう。

その他のマイナートラブル

お腹が大きくなる中期では、腸が圧迫されたりホルモンバランスが変化したりして起こる、以下のようなマイナートラブルに悩まされる時期です。

● 肌荒れ
● 頻尿、尿もれ
● 腰、背中の痛み
● 便秘
● 足のけいれん
● 手足のむくみ
● 眠気
● イライラ
● 胸焼け
● かゆみ
など

腰痛や背中の痛みには、お腹を支えて体のバランスを取りやすくする妊婦帯などが有効です。

またお腹が大きくなると寝苦しさも感じてくるので、抱き枕を取り入れたり、シムスの体位で寝たりするのもおすすめです。ママが苦しそうな様子なら、早めに抱き枕の購入を提案してみてはいかがでしょうか。

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妊娠中期にパパがすべきこと

妊娠中期はお腹が大きくなるなどママの体の変化も明らかです。ママは動きにくくなる時期なので、パパのサポートが不可欠。パパは、以下のようなことを心がけてください。

ママと安産祈願に行く

古来から、妊娠5ヶ月目の「戌の日」に安産祈願をする風習があります。

すでにどこの神社にお参りするか、いつ行くか決めている人も多いかもしれませんが、安産祈願は戌の日以外でもOK。無理せずママの体調の良い日を選べるといいですね。

両親学級に参加する

妊娠中期から行われる両親学級は、妊娠中の過ごし方や分娩の進み方、赤ちゃんのお世話の仕方などを体験しながら学ぶ場。自治体、病院や産院、企業などが主催しています。

医師、助産師、保健師や栄養士などの専門家の話を聞けるほか、ママのお腹の重さを体験できる妊婦体験が可能な場合もあります。ママの体の変化について理解を深める貴重なチャンスなので、ぜひ夫婦で参加しましょう。

ただし両親学級を取りやめていたり、オンラインで行われたりする場合もあります。何らかの事情で参加できない場合は、できるだけいろいろな情報を自分から取りに行けるといいですね。

赤ちゃんに話しかける

妊娠中期からは、ママのお腹を触ると赤ちゃんが元気に動く様子がわかるようになります。さらに赤ちゃんは音が聞こえるようにもなるので、パパの声をぜひ聞かせてあげてください。

最初は少し照れくさいかもしれませんが、朝晩のあいさつから始めてみてはどうでしょうか。夫婦のコミュニケーションにもつながります。

日常のあらゆることをサポートする

ママのお腹がどんどん大きくなるので、転倒やお腹に負担のかかる動きには注意が必要です。パパは、重いものの買い物や部屋の模様替え、掃除など、積極的にサポートしてくださいね。

赤ちゃんの名前を考え始める

赤ちゃんの名前を記入する出生届は、赤ちゃんが誕生して14日以内に提出しなければいけません。性別が分かってからでも遅くはありませんが、名前に使える漢字などの基本的な決まりを調べたり、名前を決めるヒント探しをしたりと、早めにイメージし始めておくと後で焦らずに済みますよ。

赤ちゃんを迎える準備をする

一言で赤ちゃんを迎える準備といっても、やることは盛りだくさん。

● 必要なものをリストアップ
● 誰かからもらえるのか、借りるのか、自分たちで買うのかを決める
● 実物を見たり、ネットで調べて比べる
● 赤ちゃんのスペースを作る

などをする必要があり、出産までまだまだ時間はある…と油断していると、あっという間に余裕がなくなってしまいます。

赤ちゃんが生まれる季節によっても必要なものも異なるので、まずはママとしっかり話し合って、必要なものを洗い出すことから始めてみましょう。

ママに寄り添って妊娠生活を楽しもう

ママのお腹が大きくなるにつれて、赤ちゃんの存在がもっと身近に感じられるようになる妊娠中期。ママは赤ちゃんの成長に一喜一憂しながら、自分に起こる未知のマイナートラブルとの戦いの日々を送っています。

「がんばりたいけどできない」「やる気はあるのに体が追いつかない」など、ちょっとしたことでもストレスを感じやすい状態です。そんなストレスを軽減してなるべくリラックスした気持ちで過ごせるよう、パパの言動でサポートできるといいですね。

ただし、パパも頑張りすぎだけには注意しましょう!

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