妊娠10ヶ月は臨月に突入!赤ちゃんの体重やお腹の大きさは?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

妊娠10ヶ月目は臨月と呼ばれ、出産予定日まで残り1ヶ月です。出産が間近に迫ってきて、待ち望んでいた赤ちゃんとの対面の瞬間に、胸を躍らせているのではないでしょうか。

今回は妊娠10ヶ月目の妊婦さんのお腹の大きさや体重の増え方、赤ちゃんの状態など、出産に向けてどのように変化するのかをご説明します。

妊娠10ヶ月目の妊婦さんの状態は?どんな症状が起こる?

妊婦 外 妊娠後期

妊娠10ヶ月目は妊娠36~39週目の4週間にあたり、「臨月」と呼ばれます。妊婦健診は週に1度のペースになり、お産の進み具合をチェックする内診が加わります。

内診とは指や専用の器具を膣に挿入して子宮口の開き具合状態などを確認する検査で、出産がどれだけ近づいているかを判断できます。

子宮底長は33cmになり、お腹はへそより下あたりがせり出してきて、下腹部痛などを伴う不規則なお腹の張りである「前駆陣痛」を感じるかもしれません(※1)。

また、出産に向けて赤ちゃんの頭が下がってくることで、胃や肺、心臓などへの圧迫が減り、食欲不振や息苦しさ、動悸などから解放され始めます。

ただし、今度は下腹部が圧迫されることで、恥骨や足の付け根、腰に負担がかかって痛みがでてきたり、膀胱が圧迫されて頻尿や尿漏れが起きたりします。

お腹が大きく、張りやすくなっているので、疲れやすい、眠れなくなるといったトラブルが現れることもあります。

妊娠10ヶ月目の赤ちゃんの状態は?

妊娠38週目 エコー写真

妊娠10ヶ月目の終わり頃の赤ちゃんは、身長50cm、体重3,000gほどです(※1)。頭を下にして背中を小さく丸め、手足を折り曲げた状態になっています。

妊娠10ヶ月目の赤ちゃんの頭蓋骨は、薄い4枚の骨からできていて、継ぎ目が固まっておらず、膜状の組織でそれぞれの骨が繋がっています。

これは産道を通るときに、頭蓋骨同士を重ね合わせて頭を小さくするため。生後に5枚の骨がくっついて、頑丈な頭蓋骨へと変化していきます。

妊娠36週目

妊娠36週目頃になると、全ての臓器は十分に成熟しています(※1)。いつでも外に出られるように準備をしていますよ。

妊娠37週目

妊娠37週目からは、赤ちゃんがいつ生まれても大丈夫な「正期産」の時期に入ります。赤ちゃんは、子宮の中で少し狭そうに背中を丸め、ひざを曲げた姿勢でおさまっていますよ。

妊娠38週目

妊娠38週目になると多くの赤ちゃんが成熟児になります(※1)。体の構造的な発達はほとんど終わり、脂肪を蓄えて皮膚が厚くなっています。

妊娠39週目

妊娠39週目の赤ちゃんの身長の目安は約50cm、体重の目安は2,300〜3,650gほどで、いつでも外に出られる状態です(※1)。あとはどんどん体脂肪を蓄えて、ふっくらとしてきますよ。

妊娠40週目以降はどんな時期?

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妊娠40週0日が出産予定日ですが、出産予定日ぴったりに必ず生まれるわけではなく、そのまま妊娠11ヶ月目に突入する人もいます。妊娠40週目以降は、どのような時期なのでしょうか。

妊娠40週目

妊娠40週0日が出産予定日です。赤ちゃんの身長は50cmを超え、体重は約2,400〜3,850gに成長します(※2)。

出産予定日に生まれることは珍しく、初産の人は出産予定日より後に生まれるケースが多いようです。1週間以上予定日が遅れることはよくあるので、妊娠40週で生まれなかったとしても慌てないでくださいね。

妊娠41週目以降

妊娠41週目には、赤ちゃんの体重は2,450〜4,000gになります(※2)。

妊娠37週0日から41週6日までを「正期産」と呼び、正常な出産の時期とされます。そのため予定日が遅れても、妊娠41週以内で生まれれば問題ありません。

出産予定日を過ぎても出産兆候が現れないことはよくあるので、焦らずにリラックスして過ごしましょう。

しかし、妊娠42週目以降のお産は「過期産」と呼ばれて、胎盤の機能が衰えるなどのトラブルが起き始めます。

陣痛誘発剤で人工的に陣痛を起こしたり、帝王切開をしたりするケースもあるので、経過を見ながら医師と今後のことを話し合ってくださいね。

妊娠10ヶ月目に注意することは?

妊婦 カップル

妊娠10ヶ月目には以下のことに気をつけてくださいね。

胎動は出産まで続く

妊娠10ヶ月は胎児の頭が骨盤におさまり、子宮内で自由に動けるスペースがなくなるので、ママが感じられる胎動の回数は落ち着いてきます。

ただし、胎動の強さや回数の感じ方には個人差があるので、臨月になっても胎動が減らない・増えてきたと感じる人もいますよ。

妊娠10ヶ月目であまりにも胎動が激しいと、破水につながらないかな…と不安になりますが、胎動によって破水することはないので安心してくださいね。

胎動の感じ方は、赤ちゃんの大きさやママの体型、妊娠週数などによって異なりますが、赤ちゃんは生まれるまで動いているので、胎動が全く感じられなくなることはありません。

急に胎動が弱くなった・極端に少なくなったと感じる場合は、速やかにかかりつけの産婦人科を受診しましょう。

また、胎動がいつもと違う様子で違和感を感じた場合も、かかりつけの産婦人科へ相談することをおすすめします。

適度な体重増加を目指す

妊娠中の体重増加量は、妊娠前の妊婦さんの体格によって異なります。以下の体重増加の目安を参考にしてくださいね(※2)。

妊婦 体重増加目安 2021年3月改定 BMI値

赤ちゃんは生まれるまでの間、お腹のなかで毎日脂肪を蓄えています。体重が増えやすい日々が続きますが、目安の体重増加量を大幅に超えないように、あと少しの間がんばりましょう。

妊娠10ヶ月目にやっておくといいことは?

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妊娠10ヶ月目には以下のことをしておくのがおすすめです。

前駆陣痛と本陣痛の違いを知っておく

妊娠10ヶ月目は赤ちゃんがいつ生まれてもおかしくない時期なので、陣痛につながる子宮収縮も本格化します。

子宮収縮の準備運動として起こる「前駆陣痛」を多くの人が感じるようになりますよ。

前駆陣痛は不規則な痛みで、強さもバラバラです。すぐに分娩に至るというものではないので、様子を見てください。

しかし、お腹や腰の痛みが休んでいてもおさまらず、規則的に痛み、徐々に強くなってくるようなら、本陣痛かもしれません。

この場合は一般的に、痛みが10~15分間隔になったら産婦人科に連絡することになるので、痛みが強くなってきたら、痛みが何分間隔で起こるかを測ってみましょう。

産院に連絡する時間は個人の状況などによっても異なるので、医師や助産師の指示に従うようにしてくださいね。

適度な運動をする

臨月はお腹が大きいので動くのが苦しい時期ですが、スムーズなお産のために適度な運動をおすすめします。筋肉を動かすことで、子宮口が開きやすくなる、股関節が柔らかくなる、出産の体力がつくなどの効果が期待できますよ。

特に下半身を動かすような散歩や筋力トレーニングがおすすめです。

無理はしない程度に、いつもの道を遠回りして買い物に行くなど身近な運動から取り組んでみましょう。

出産の流れを確認する

一般的に初産の場合、陣痛が始まってから出産を終えるまでは10時間以上となることが多いです。

子宮口の開き具合、陣痛の間隔や時間によっていくつか段階があるので、陣痛の痛みに耐えながら、気持ちの面でも乗り越えられるように、出産の流れを把握しておきましょう。

どうやって陣痛の痛みをやわらげるのか、いきみ逃しの呼吸法はどうするのかなど、今のうちからシミュレーションをしておくと、出産当日も落ち着いて迎えることができますよ。

おしるしについて知っておく

出産が近づき子宮口が開き始めると、赤ちゃんと羊水を包んでいる「卵膜」がはがれて出血します。

この血がおりものと混ざって外に出てきたものが「おしるし」です(※1)。多くはピンク色や茶色、褐色をしています。

しかし、量や色、出血する時期には個人差があり、おしるしが見られたからすぐに出産ということではありません。おしるしが見られてから出産までは数日かかることもありますし、おしるしが全くなく陣痛が来る人もいます。おしるしがあった場合には慌てず、生理用ナプキンをあてて様子を見ましょう。

おしるしと同時に、規則的に陣痛がきているようであれば、産院に連絡してくださいね。

妊娠10ヶ月は今しかない時間を楽しもう

赤ちゃんとの対面まであと少しですね。いつ生まれてもおかしくないことを念頭において、タクシーや家族、産院の連絡先を整理し、入院セットの準備ができているかを今一度確認しましょう。

赤ちゃんがお腹にいる間に、ゆっくり映画を観たり、大切な人とおいしいご飯を食べにいったりと、今しかない時間を楽しんでくださいね。

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