臨月の体重の増え方はどのくらいが適正?増えすぎたときはどうする?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

臨月に入って急に体重が増えた、という妊婦さんもいるのではないでしょうか。出産までどのように体重管理をしていったらいいのか悩むこともあるかもしれませんね。

そこで今回は、臨月に体重が増えやすい理由や臨月までの体重増加の目安、増えすぎた場合のリスクや対処法などをご紹介します。

臨月は体重が増えやすいの?

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臨月に入ると、体重が増えやすくなる妊婦さんもいます。臨月の体重増加の原因としては以下のようなことが考えられます。

運動不足

臨月はお腹がますます重くなり、恥骨痛や股関節痛などマイナートラブルが起こることもあるため、体を思うように動かせなくなったり、動くこと自体が億劫になったりします。

足元が見えにくくなる、バランスが取りにくくなるといったことから、ひとつひとつの動きもゆっくりになりがちです。

こうしたことが運動不足につながって、体重が増えやすくなることもあります。

食べ過ぎ

出産が近づくと、お腹の中の赤ちゃんは下降して圧迫されていた胃がすっきりするため、食欲が増して食べ過ぎてしまう妊婦さんも多いです(※1)。

また、出産後しばらくはレストランに行けないからと外食が増えたり、さらに予定日間近になると自宅で過ごす時間が多くなってついお菓子に手を伸ばしてしまったりして、食べる量が増えることもあるでしょう。

1日に必要なカロリー以上に食べ過ぎてしまうと、体重増加の原因となります。

臨月までの体重増加の目安は?

女性 体重計 

妊娠中の適切な体重増加量の目安は、妊娠前の体格指数(BMI値)によって以下のとおりです(※2)。

妊婦 体重増加目安 2021年3月改定 BMI値

これらの数字は妊娠全期を通した体重増加量の目安なので、臨月に入ってオーバーした場合は、出産までになるべくそれ以上増えないように気をつける必要があります。

ただし、少し増えたからといって心配しすぎず、まずはかかりつけの医師や助産師に相談してみてください。

妊娠経過や体質によっても体重増加量の目安は異なるので、医師の指導に従うようにしましょう。

臨月に体重が増えすぎると、どんなリスクがある?

妊婦 妊娠後期 フルーツ ジュース スムージー

臨月に体重が増えすぎると、以下のようなリスクを伴います。

妊娠糖尿病

妊娠の影響で発症する糖代謝異常の一種です。妊娠中に初めて発見、または発症し、糖尿病には至らないものを指します(※1,3)。

食べ過ぎたからといってすぐに妊娠糖尿病になるわけではありませんが、妊娠後期になって発症することもあります。

妊娠糖尿病になると、さまざまな合併症が起こるリスクや将来的にママも赤ちゃんも糖尿病になる可能性が高まるため、早期発見と適切な治療が重要です(※1)。

難産

体重が増えすぎて産道に脂肪がつき赤ちゃんが通る道が狭くなると、難産となる可能性があるとされています(※3)。分娩に時間がかかったり、出血量が多くなったりするおそれもあります。

巨大児

臨月だけに限りませんが、妊娠中の体重増加が過剰な場合、お腹の赤ちゃんが巨大児(出生体重が4,000g以上)となったり、赤ちゃんが在胎週数の平均値よりも大きく生まれたりするリスクが高まります(※3)。

巨大児はそうでない赤ちゃんに比べて、肩が引っかかってお産が進まない肩甲難産になる確率が高くなります(※1,3)。事前に帝王切開が検討されたり、分娩中に緊急帝王切開になることもあります。

臨月に体重増加しすぎたらどうすればいい?

妊婦 食事

臨月に体重が増加し過ぎたら、以下のような基本的な対処を心がけましょう。ただしくれぐれも無理はしないでくださいね。

食事に気をつける

揚げ物や脂身の多い肉など脂っこいもの、ケーキやチョコレートといった糖分と脂肪分が多いものは、できるだけ控えるようにしましょう。

バランスよく栄養を摂取しながら、海藻類やキノコ類などの低カロリーの食べ物を積極的に食事に取り入れてみてください。

ただし、過度に食事の量を減らさないことが大切です。臨月に食事制限をしてしまうと、お腹の赤ちゃんに届く栄養が少なくなるだけでなく、妊婦さん自身が体調不良になるおそれがあります。

食べる時間帯にも注意が必要です。夕飯はできるだけ早く済ませる、甘いものやカロリーの高いものは朝食や昼食で食べるなど工夫ができるといいですね。食事を記録する「レコーディング」もおすすめですよ。

適度に体を動かす

臨月に入って体調がよく、医師に運動をしてもいいか確認がとれたら、散歩やマタニティヨガ、マタニティスイミング、スクワットなどの運動をして体を動かすといいでしょう。

散歩は自分のペースで無理なくできるうえに、外の景色が楽しめて気分転換にもなります。あまり遠くには行かないようにして、お腹の張りや痛みを感じたらすぐにやめましょう。

歩いているときに陣痛や破水が起きたときに備えて、スマホや母子手帳、健康保険証、診察券は必ず持っていてくださいね。

毎日体重を計る

体重を毎日計るようにすると、体重の増え方を把握することができます。体重への意識が高まり、余分な間食を減らすことや運動への意欲を上げることにもつながります。

アプリや手帳を使って、体重を記録するのもいいですね。体重が急激に増えたときは早めに医師に相談しましょう。

臨月も体重が増えすぎないように気をつけよう

妊娠中ずっと体重増加に気をつけていたけれど予定日が近づいて気が抜けてしまう、ということも珍しくないでしょう。しかし、出産直前に過度に体重が増えると母体や赤ちゃんに影響が及ぶこともあります。

出産まであと少し、引き続き体重への意識を持ち続けながら心身ともに健康な状態でお産を迎えられるといいですね。

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