妊娠10ヶ月に入ると、陣痛のサインである「おしるし」のほかに、「内診出血」といわれる内診後の出血が起こることもあります。おしるしと内診出血は見分けがつきにくく、どちらが自分の体で起こっているのか分からない妊婦さんもいます。そこで今回は、内診出血とおしるしの違いについてご紹介します。
内診後の出血とは?
内診とは、生殖器内の診察のことで、妊婦健診でよく行われます。内診を行ったあとに見られる出血のことを「内診出血」といいます。
もともと妊娠中は腟がデリケートで、普段よりも傷つきやすくなっています。そこに内診時の刺激が加わると、腟壁が傷つき、少量の出血を起こすことがあるのです。これは、医師の内診が下手だったということではありません。どんなに気をつけても、内診後の出血は起こりやすいものです。
腟が傷ついて出血する以外にも、それまで腟内にあった老廃物や不要物が内診の刺激によって、おりものと一緒に出てくることもあります。いずれの場合もおしるしとは違い、陣痛の前触れではありません。
内診出血が起こるのは、まさに「内診後」であり、そのタイミングに注目すれば、おしるしと区別がつきやすいかもしれません。
臨月のおしるしとは?内診出血とどう違うの?
おしるしとは、あと少しで出産があることを知らせる体の合図です。
分娩が近づくと子宮口の蓋をしていた「粘液栓」と呼ばれるゼリー状のかたまりが剥がれ落ちます。子宮口が開き始めて子宮が収縮し、粘液栓が子宮頸管の粘液と混ざって外に出てくると、おしるしになるのです。
また、「卵膜」という赤ちゃんを包んでいる袋が剥がれることで出血し、その血液が混ざっている場合は、おしるしがピンク色になります。
一般的なおしるしの色は、ピンクや褐色、赤色です。しかし、おしるしには個人差があり、この特徴に当てはまらないおしるしが起こる人も多くいます。
また、おしるしは陣痛の前兆として起こるため、多くの場合はおしるしから数日以内に陣痛が来ます。ただし、おしるしから陣痛までの時間にも個人差があり、1週間たっても陣痛が来なかったというケースもあります。
おしるしだけで陣痛がいつ起こるのか予想するのは、なかなか難しいことです。
臨月の内診出血とおしるしは、色や量で見分けられる?
内診後の出血とおしるしを、色や量だけで見分けるのは困難です。しいていえば、内診出血ではそれほど大量に血が出ることはないので、量が多ければおしるしの可能性が高いといえます。しかし内診後の出血量が多い人もいるので、一概にどちらと決めつけるのはやはり難しいものです。
ピンク色で粘り気のある状態であればおしるしの可能性が高いといえますが、内診出血におりものが混じった場合は、内診出血に粘り気を伴います。
もし内診後に、褐色で少量の出血があったのであれば、状態とタイミング的に内診出血の可能性が高いと考えておきましょう。いずれの場合も体調の危険信号というわけではないので、落ち着いた気持ちで様子を見てくださいね。
内診は必要なの?臨月は何をチェックしているの?
内診は妊婦健診だけでなく婦人科検診で行われることもありますが、体のプライベートな部分を触られるので「できればやりたくない」という人も少なからずいますよね。ましてや、内診後に出血が起こりやすいことを考えると、避けたくなる気持ちはますます強くなりがちです。
しかし内診では、エコー等で確認できない大切なことが分かります。例えば、腟の固さや子宮口の開き具合、硬さを知ることができます。子宮が開いていて柔らかくなっていたら、出産が間近に迫っているサインです。
内診を不快に感じる人もいるかもしれませんが、出産のためには避けて通れないものだと割り切って、リラックスして受けるようにしましょう。
内診後の出血はいつまで続く?どう対処したらいい?
内診出血が起こること自体は異常なことではありませんが、出血が続いたり、量や回数が気になったりする場合は、医師に相談してください。
また、内診出血をした日のお風呂は、シャワーだけにして、湯船につからないようにしましょう。腟壁などが傷ついている可能性があるからです。
内診出血は1~2日ほどで止まるのが一般的ですが、それ以降もサラサラと流れるように血が出続けるような場合は、おしるし以外の可能性もあります。異変を感じたら、すぐに病院に連絡するようにしてください。
臨月の内診出血とおしるしの違いはタイミングと状態で判断
内診後の出血とおしるしを見分けるのは難しく、「内診の後で粘り気や量が少ないから、内診出血なのかな」くらいの予想しかできません。
内診出血とおしるし、いずれの場合も体内に出てくる血は少量で、すぐに治まります。また、どちらも体の異常から起こっているものではないので、それほど神経質になって見分ける必要もありません。
おしるしの可能性が高い場合は、間もなく陣痛が始まるかもしれません。病院の連絡先や入院に必要なものをあらためて確認しておくと、落ち着いた気持ちで陣痛を迎えられますよ。