死産とは?臨月に起きる原因や確率は?兆候はあるの?

監修専門家 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 監修記事一覧へ

臨月は妊娠10ヶ月目(妊娠36~39週)のことであり、いつ赤ちゃんが産まれてもいい「正期産」の時期(妊娠37~41週)とほぼ同じです。ただし、臨月に入ってから、お腹の中の赤ちゃんが突然死亡し、残念ながら死産になってしまうことは決してありえない話ではありません。今回は臨月の死産の原因や確率、そして兆候や予防法についてご紹介します。

死産とは?定義は?

妊婦 お腹

厚生労働省の「死産の届出に関する規程」(昭和21年9月30日厚生省令第42号)の定義では、死産とは、妊娠4カ月(妊娠12週)以後の死児の出産のことを指します。一方で、一般的に流産は、妊娠22週未満で妊娠が終わることを指します(※1)。

似たものとして「流産」がありますが、こちらは妊娠22週未満で妊娠が終わることを指す言葉です(※2)。

死産の確率は?臨月にも起きる?

確率

流産には、妊娠12週未満までに起こる早期流産と、妊娠12週から22週未満までに起こる後期流産がありますが、後期流産は死産と見なされます。

後期流産が起きる確率は、妊娠全体の1.6%といわれています(※2)。また、死産は臨月でも起こり得ます。臨月に死産に至る確率は、数百分の1ほどと考えられています。

死産の原因は?

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死産の原因はさまざまですが、ときには原因不明の死産が起こることもあります。

常位胎盤早期剥離

常位胎盤早期剥離とは、お腹に赤ちゃんがいるうちに、胎盤が子宮の壁から剥がれてしまうことです。胎盤が剥がれてしまうと、胎児への酸素と栄養の供給が止まるので、死産に至るリスクが発生します。

常位胎盤早期剥離は、妊婦さんの命も危険にさらす可能性があり、母体死亡率は1~2%、胎児死亡率は30~50%といわれています(※3)。

臍帯過捻転・臍帯巻絡

臍帯とは、へその緒のことで、胎盤と赤ちゃんをつないで、血液を通じて赤ちゃんに栄養を与えています。臍帯はぐるぐるとらせん状にねじれていることが多いのですが、このねじれが強過ぎる状態を「臍帯過捻転」といいます。

臍帯過捻転になると、血流の低下から赤ちゃんに十分な栄養が届かず、発育不全や死産につながってしまう場合があります。

また、赤ちゃんの体の一部にへその緒が絡まった「臍帯巻絡」のうち、稀にへその緒が赤ちゃんの首に絡まってしまうケースもあります。大きな問題にならないことがほとんどですが、場合によっては、帝王切開になったり、死産に至ったりすることがあります(※2)。

血液型不適合妊娠

血液型不適合妊娠とは、ママと胎児の血液型が異なり、母体に胎児の赤血球への抗体ができることをいいます。

なかでもRh不適合型妊娠が起こると、胎児の赤血球が破壊されます。結果的に、お腹の中の赤ちゃんが重度の貧血にかかったり、死亡したりします(※2)。

胎児水腫

胎児の体内に水分が蓄積され、水ぶくれ状態になってしまうことを胎児水腫といいます。胎児水腫を引き起こす原因は、胎児の心臓の奇形や感染症、血液型不適合妊娠など様々です(※2)。最悪の場合、死産に至ってしまうこともあります。

子宮内胎児発育不全

子宮内胎児発育不全とは、胎児の成長が遅れていたり、停滞したりしている状態を指します。妊娠全体の約8~10%の確率で子宮内胎児発育不全が起きるといわれ、原因としては染色体の異常、前置胎盤、妊娠高血圧症候群などが挙げられます(※2)。

抗リン脂質抗体症候群

抗リン脂質抗体症候群とは、自己免疫疾患の一種で、リン脂質に対する抗体が体内に生じ、血管の中に血栓ができてしまう病気です。この血栓が臍帯で起きた場合、赤ちゃんに酸素が十分に届かず、死亡してしまう場合があります。

抗リン脂質抗体症候群は臨月の死産だけでなく、妊娠初期や中期での流産の原因や、不育症の原因になることもあります(※4)。

臨月の死産に兆候はあるの?

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個人差はありますが、臨月の死産を経験した人のなかには「胎動が激しくなった」「胎動が急に止まった」という兆候を経験した人もいます。これは赤ちゃんがお腹の中で苦しみ胎動が激しくなる、もしくは、その後死亡することで胎動が止まるから起こると考えられています。

ただし、胎動が激しくなったからといって、必ずしも死産になるわけではありません。胎動を感じられるのは赤ちゃんが元気な証拠でもあるので、心配しすぎないでくださいね。

逆に、ママが安静にしているのに胎動を2時間以上感じられない場合は、赤ちゃんに異変が起きている可能性があるので、病院を受診してください。

兆候の出方は人によって違いますし、自覚症状が無いまま死産になったという人もいます。自分では判断しにくいことなので、何か異変を感じたら、すぐに医師に相談するようにしましょう。

臨月の死産を予防する方法は?

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残念ながら、臨月の死産はほとんどの場合、予防ができません。原因不明のものも多いため、臨月の死産を100%防ぐ方法はないのが現状です。

それでも体調や胎動の変化に気を配っていれば、何か異変に気づくことはできます。赤ちゃんに起こっている問題にいち早く対処できるよう、体で起こる変化には常に注意したいですね。

当たり前のことではありますが、「妊娠後期に入ったから、もう安心!」とは油断せず、妊婦健診も休まずに行くようにしましょう。

臨月に死産になったときは?

カップル 夫婦

もし死産に至ってしまった場合、赤ちゃんの死亡届と、火葬のための火葬許可証が必要になります。しかし精神的に疲れ切って、何もできない状態になっているかもしれません。そんなときは遠慮せず、パートナーや家族に頼るようにしましょう。

また、無理に自分の感情を抑えず、涙を流したり、悲しみをパートナーと共有したりすることも、つらい死産を乗り越えるうえで大切なことです。

臨月の死産で自分を責めないで

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臨月の死産に確固とした予防法ありませんが、妊娠中から体調管理や自己管理を心がけることが大切です。お腹の赤ちゃんの問題により早く気づくためにも、定期的に妊婦健診を受けるようにしましょう。

また、体調が変化し、分からないことや不安なことがあるときは、すぐにかかりつけの医師に相談してください。疑問や不安を抱え、ストレスを感じたままだと、赤ちゃんに悪影響を及ぼしてしまうかもしれません。

赤ちゃんが無事に生まれてきてくれるのは、奇跡的なことです。いくら万全を期していても、臨月に死産が起こる可能性はゼロではありません。

死産という現実がもし訪れてしまったら、一人で抱え込まず、家族や医師、助産師など、周囲の人たちに素直な気持ちを話してみましょう。「自分を責めないでいることを、赤ちゃんが一番願っている」ということを、忘れないでください。

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