赤ちゃんは約10ヶ月間、胎盤を通じてママから栄養をもらって成長しています。妊婦さんが食事で摂取した栄養が胎盤を通して赤ちゃんに届けられ、赤ちゃんの一つ一つの細胞が作られていきます。今回は、お腹の赤ちゃんの成長のためにも、妊婦さんが妊娠初期から積極的に摂取したい栄養素についてご説明します。
胎児のために妊娠中に摂りたい栄養とは?
妊娠中は、お腹の赤ちゃんの成長のためだけでなく、妊婦さん自身の健康を維持するためにも、食べ物や飲み物に気を配る必要があります。
たとえば、胎児の発育に悪影響を与えるリスクがあるアルコールは控え、カフェインの摂取量もほどほどに抑えなければなりません(※1)。普段、お酒やコーヒーが好きな人にとっては少しつらいかもしれませんが、大事な赤ちゃんのためにも、体には気を遣いたいですよね。
もちろん、普段の食事にも注意が必要です。お腹の赤ちゃんを健康に育むためには、栄養バランスのとれた食事が基本。赤ちゃんだけでなく、これから分娩という大仕事に臨む妊婦さんの体作りにも欠かせませんよ。
次からは、妊婦さんが妊娠初期から摂っておきたい代表的な栄養素をご紹介します。今後の献立作りの参考にしてみてくださいね。
妊婦が摂取したい4つの栄養素とは?
妊娠中は、あくまでも食事全体の栄養バランスを考えることが大切です。そのうえで、次の4つの栄養素の摂取も意識してみましょう。
1. 鉄分
妊娠中は貧血になりやすく、歩いているときに貧血でフラフラして転んでしまったりすると危ないので、鉄分を摂取して貧血対策をしましょう。
小松菜や大豆食品、切り干し大根など、ヘルシーな食材にも鉄分は多く含まれています。妊娠中の体重増加が気になる人でも安心して摂取することができますね。
植物性の鉄分は、ビタミンCと一緒に摂取すると体内への吸収がよくなるので、レモン汁を使った味つけなどがおすすめです。
2. 葉酸
葉酸は、妊娠前から妊娠中、さらに産後の授乳期間中にも積極的に摂取したい栄養素です。特に妊娠初期は、胎児の細胞分裂を助け、赤ちゃんの成長を促す役割を果たします。
妊娠初期に葉酸の摂取量が不足すると、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクが高まることがわかっています。厚生労働省は妊娠の可能性がある女性に対して、通常の食事に加えてサプリメントなどの栄養補助食品から1日に400μg(0.4mg)以上の葉酸を摂取することを推奨しています(※2)。
葉酸はブロッコリー、ほうれん草、枝豆、そら豆、アボカド、イチゴなどに多く含まれています。おかずで野菜や豆類を摂取して、食後のデザートにオレンジやイチゴなどを準備すると良いですね。
3. カルシウム
赤ちゃんの骨や歯をつくるカルシウムは、妊婦さんがきちんと摂りたい栄養素です。カルシウム不足は、イライラや肩こり、腰痛などを引き起こすことも。
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、妊婦さんに推奨されている1日あたりのカルシウム摂取量は650mgです(※3)。これは、妊娠していない女性の推奨量と変わりませんが、日頃から不足しがちな栄養素なので、妊娠中は特に意識しましょう。
カルシウムは乳製品や大豆食品、桜エビ、ししゃもなどに多く含まれています。特にヨーグルトには整腸作用もあるので、妊娠してから便秘気味だという人には特におすすめですよ。
4. たんぱく質
たんぱく質は体を形成する主成分であり、赤ちゃんの血液や筋肉をつくるために重要な栄養素です。特に、必須アミノ酸をバランス良く含む「良質たんぱく質」を摂ることが大切です。
良質たんぱく質を含んでいる食材として、アジやサケなどの魚介類や、牛肉・豚肉・鶏肉などが挙げられます。ただし、これらの動物性たんぱく質は、カロリー摂取量が高いので注意が必要です。大豆食品などの植物性たんぱく質もバランスよく摂取しましょう。
産後のママの体力回復を助けるためにも、妊娠初期に限らず、妊娠後期までしっかりたんぱく質を摂取してくださいね。
妊婦は妊娠初期から栄養バランスに気をつけよう
ここでは、妊娠中に摂りたい代表的な栄養素を4つ挙げましたが、妊娠初期のときはつわりでほとんど食べることができなかったり、逆にフライドポテトやスナック菓子のようなジャンクフードが無性に食べたくなってしまうこともありますよね。逆に、妊娠中期以降になると食欲が増して、食べても食べてもお腹が空くということもあるのではないでしょうか。
ママの口から入るものは、少なからず赤ちゃんに影響を与えるものだということを意識しつつ、神経質になりすぎない程度に、できるだけ栄養バランスの良い食生活を心がけましょう。つわりなどでなかなか食事がとれないときは、サプリメントを活用するのもいいですね。