昆布やわかめは、髪や肌を美しくする効果があり、女性から人気の食材です。さらにカロリーも低いので、体重増加に悩む妊婦さんにとっては、強い味方でもあります。しかし妊娠中は、昆布やわかめの摂取量に気をつけなくてはならないことをご存じでしょうか?昆布やわかめに含まれているヨウ素(ヨード)が、お腹の中の赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があるといわれているからです。そこで今回は、妊娠中に昆布やわかめを食べてもいいのか、ヨウ素の影響、食べるときの注意点などをご説明します。
妊婦は昆布やわかめを食べてはいけないの?ヨウ素とは?
昆布やわかめなどの海藻類には、ヨウ素(ヨード)というミネラルが含まれています。ヨウ素は甲状腺ホルモンを合成するために不可欠な栄養素です。甲状腺ホルモンは、胎児の骨や脳の発育にも必要といわれています。
妊婦さんのヨウ素摂取量が不足すると、お腹の赤ちゃんがクレチン症(先天性甲状腺機能低下症)という甲状腺の機能障害を引き起こす可能性もあるので、妊娠中に昆布やわかめを食べてヨウ素を摂取することは大切です。
しかし一方で、妊娠中や授乳中にママがヨウ素を過剰摂取すると、赤ちゃんに甲状腺機能低下が生じる可能性も指摘されています(※1)。
日本人は、日常的に海藻類を食べることが多いため、ヨウ素が欠乏することよりも、ヨウ素を過剰摂取してしいないかどうか注意することのほうが大切そうですよね。それでは、どのくらいの量が過剰摂取といわれる量なのでしょうか。次から詳しく説明していきます。
妊娠中は昆布やわかめを1日にどのくらい食べていいの?
厚生労働省は、妊娠中の女性が1日に摂取したいヨウ素の推奨量は240μg、耐容上限量を2,000μg(2mg)と設定しています(※2)。下記に昆布やわかめなどの海藻類に含まれるヨウ素の量をまとめたので、1日にどのくらい食べて良いのか、参考にしてみてくださいね。
食材別のヨウ素含有量
- 乾燥昆布 5g: 約12,000μg
- 水戻しわかめ 10g: 約190μg
- 昆布の佃煮 15g(大さじ1杯): 約1,650μg
- 焼き海苔 大1枚: 約20μg
乾燥昆布5gをそのまま食べることはないと思うので、普段の食事で昆布やわかめを食べ過ぎてヨウ素の耐容上限量を超えてしまう心配はなさそうですね。
しかし、昆布やわかめが好きで毎日たくさん食べたり、ヨウ素が含まれる他の食材をよく摂取する人は、一度食習慣を見直す必要があります。
昆布やわかめ以外にヨウ素が含まれている食材って?
妊娠中に昆布やわかめからヨウ素を過剰摂取しないようにするためには、どんな食材にヨウ素が含まれているかを正しく知ることが重要です。
昆布やわかめのほかにも、魚のタラやシシャモ、ずわいがに、あわび、さざえといった甲殻類や貝にもヨウ素がたくさん含まれています。
そのため、昆布やわかめを多く摂取したときは魚介類の摂取量を減らす、あるいはその逆というように1日の摂取量を調整しましょう。
妊婦はほかの海藻類にも気をつけたほうがいいの?
妊娠中は昆布やわかめ以外の海藻類にも注意が必要なのでしょう?例えば、ネバネバした食感のめかぶや、毎日の食事作りに欠かせない昆布だしなどにも、ヨウ素は含まれています。
スーパーなどに売っているめかぶ1パック(約50g)には、ヨウ素が約200μg含まれているといわれています。めかぶは、1日に何パックも食べなければ問題はありませんね。
市販の複合調味料や合わせ調味料、ドレッシングなどにも昆布だしが使われていることが多く、これらにもヨウ素は含まれます。商品の表示を見て確認し、くれぐれも使い過ぎには注意しましょう。
例えば、昆布だしで作られたわかめのお味噌汁とひじきの付け合わせや、わかめサラダと市販の和風ドレッシングの組み合わせなどは一度に多くのヨウ素を摂取することになるので、付け合わせやドレッシングはヨウ素の少ないものを選ぶようにしましょう。
妊娠中は昆布やわかめも摂りつつ、バランスのよい食事を!
妊娠中はヨウ素の摂取量に気を付ける必要がありますが、ヨウ素の過剰摂取が問題になるのは極めて稀です。一般的に、母体に問題がなければ胎児への異常もない場合が多く、普通の食生活をしていればヨウ素の過剰摂取を恐れる心配はありません。
妊娠中は赤ちゃんの体を作るために様々な栄養が必要になります。昆布やわかめに含まれるヨウ素だけを注意するよりも、バランスの良い食生活を送ることを意識していれば、ヨウ素の過剰摂取になることはありませんよ。できるだけバランスよく、健康的な食生活を心がけてくださいね。