妊娠中に摂りたい栄養素が豊富に含まれている果物。おやつとして果物を食べるようにしている妊婦さんもいるのではないでしょうか。
そこで今回は、妊娠中におすすめの果物や、効果的な摂取方法についてご紹介します。
妊婦は果物を食べると体にいいの?

種類によって栄養価は異なりますが、果物には各種ビタミン、ミネラル(カリウム、鉄、カルシウム)、食物繊維など、妊娠中に摂りたい栄養素が豊富に含まれています。
ただし、果物には果糖やブドウ糖、ショ糖などの「糖質」が多く含まれているため、食べすぎると中性脂肪が増えたり、肥満につながったりするおそれがあります(※1)。
他の栄養素も考えながらバランス良く食べられるといいですね。
妊娠中の果物摂取は子どもに影響する?

カナダにあるアルバーダ大学の研究グループは、「妊娠中に果物を多く摂取した母親の子どもは、生後1年後の知能や学習能力、記憶力が高い傾向にあった」と報告しています(※2)。
日本の研究チームも、妊娠中の果物(特にりんごと柑橘類)の摂取は、「生まれた子どもの多動や情緒問題などのリスクの低下に関連している」と報告しています(※3)。
どちらもあくまで研究段階での報告ですが、妊婦さんの果物摂取が子どもの発達に影響を与える可能性がある、ということは興味深いですね。
妊娠中にどんな果物や栄養素を摂ればいいの?
それでは、妊婦さんが積極的に摂りたい栄養素と、それらを多く含む果物を見ていきましょう。
葉酸
妊娠中は葉酸の必要量が増えるため、妊娠前より多い量を食事から摂取することが推奨されています(※4)。
葉酸には熱に弱い性質がありますが、フルーツでは加熱せずにそのまま食べられるので効果的に摂取できますね。
葉酸を含む主な果物
ライチ、アボカド、いちご、すもも、グレープフルーツ、マンゴー、さくらんぼ、キウイフルーツ、オレンジ
ビタミンB6
ビタミンB6にはつわりを軽くする効果があると言われていて、つわりの症状が重い時の治療として医療機関ではビタミンB6を含む点滴が使われることもあります。
効果には個人差がありますが、吐き気がするときにはビタミンB6を多く含む食べ物を試してみるのも1つの方法です(※5)。
ビタミンB6は様々な食品に含まれるため欠乏することは少ないですが、妊娠中は必要量が増えるので意識して摂れるといいですね(※4)。
ビタミンB6を含む主な果物
バナナ、アボカド、キウイフルーツ、マンゴー
ビタミンC
ビタミンCは、鉄分の吸収を促進してくれるため、貧血になりやすい妊婦さんにおすすめの栄養素です。免疫力をアップする効果もあるので、妊娠中に風邪などの感染症を予防することにも役立ちますよ。
なお、ビタミンCは空気に触れると酸化し、効力を失うので、食べる直前に用意するのがおすすめです。
ビタミンCを含む主な果物
キウイフルーツ、柿、いちご、オレンジ、レモン、きんかん、グレープフルーツ
食物繊維
妊娠中は便秘になりやすく、特に妊娠初期はつわりの症状とともに悩まされる人も多いものです。排便を促す作用がある食物繊維は、妊婦さんの強い味方ですよ。
食物繊維には2種類ありますが「水溶性食物繊維」には、便をやわらかくする作用があり、腸内環境を整えてくれます。
ただし、摂取し過ぎるとお腹をくだしてしまう可能性もあるので、過剰摂取には注意が必要です。
水溶性食物繊維を含む主な果物
きんかん、アボカド、プルーン、いちじく、もも、マンゴー、パパイヤ、洋梨
カリウム
体内のナトリウム量を調整して、余分な塩分を体外へ排出する働きがあるカリウムは、むくみや高血圧を予防してくれます。
妊娠中の手足のむくみや妊娠高血圧症候群の予防に役立ちます。
カリウムを含む主な果物
アボカド、バナナ、メロン、キウイフルーツ、さくらんぼ、プルーン、ぶどう、桃
なお、生のフルーツの水分が抜けて栄養価が凝縮されたドライフルーツも、妊娠中におすすめです。ただし糖分が多いので、食べすぎには気をつけてくださいね。
妊娠中は、体を冷やす果物には要注意!

体の冷えは、妊婦さんにとっては避けたいトラブルのひとつですよね。
果物のなかでも、キウイフルーツやきんかん、バナナ、グレープフルーツ、スイカ、メロン、りんごなどは、体を冷やす作用があると言われています。
ただ、体を冷やす果物を食べること自体が悪いわけではなく、体のほてりをしずめてくれるメリットもあります。
1種類の果物ばかり食べるのではなく、体を温めてくれる食品と組み合わせてバランスの良い食生活を楽しんでくださいね。
妊娠中に、果物はどれぐらい食べるといいの?
これまで見てきたとおり、果物には、妊婦さんに必要な栄養価が多く含まれています。しかし、果物だけを食べていれば健康でいられるというわけではありません。
主食や副菜などとうまく組み合わせた、バランスの良い食事を摂ることを心がけましょう。
厚生労働省の『妊産婦のための食事バランスガイド』(※6)では、1日分の望ましい食事量が示されています。妊娠中期・末期・授乳期は、普段の食事に量をプラスする必要があります。
主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品をバランスよく食べたうえで、果物はみかんに換算すると妊娠初期なら2個、妊娠中期・末期であれば3個食べることが推奨されています。

みかん以外の果物の場合は、下記の量を目安にしてくださいね。

食事にフルーツをバランス良く取り入れよう
フルーツには妊娠中にうれしい栄養素が豊富に含まれています。バランスの良い食事に、適切な量を取り入れて、健康的なマタニティライフを楽しんでくださいね。