妊娠中はお腹の赤ちゃんに栄養を供給しなければならないため、摂取する栄養素について妊娠前より気にする必要があります。特に、カルシウムは普段の食事だけでは不足することが多いので、意識的に摂取していきたい栄養素です。今回は、妊娠中にカルシウムが必要な理由や1日あたりの推奨摂取量、カルシウムを含んだ食べ物などをご紹介します。
妊婦にカルシウムが必要な理由は?
妊婦さんが食べたり飲んだりしたものはへその緒を通じて赤ちゃんに運ばれ、赤ちゃんが成長するための栄養になります。したがって、妊娠中は摂取する栄養についてはいつも以上に注意する必要があります。
現代の食事では不足しがちなカルシウムは、お腹の赤ちゃんの骨や歯を形成するという大切な役割を持っています。この他にも、血液凝固や精神安定をサポートしたり、筋肉の働きを助けたりする役割もあるので、妊娠中に積極的に摂っていきたい栄養素です(※1)。
妊娠中にカルシウム摂取量が不足したら?
赤ちゃんに送られるカルシウムが不足してしまうと、ママの骨から足りない分のカルシウムが吸収されます。そのため、妊娠中にカルシウムの摂取量が不足すると、妊婦さんの骨がもろくなってしまう可能性があります。
体には血液中のカルシウム濃度を一定に保つ働きがあり、カルシウムが不足すると、骨から血液中にカルシウムが溶け出します(※1)。
妊娠中にカルシウムが不足すると、将来、骨粗しょう症になる恐れがあります。
妊婦の1日あたりのカルシウム推奨量は?
妊娠中は1日にカルシウムをどれくらい摂取したらいいのでしょうか?
マグネシウムやビタミンCなどの栄養素の妊娠中における推奨量は妊娠前よりも多めに設定されていますが、カルシウムは特に増やす必要はないとされています。
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」によると、20代〜40代の成人女性の1日あたりのカルシウム推奨量は約650mgで、妊娠中も同じです(※2)。
普段の食事ではカルシウムの摂取量は不足しがちで、推奨量を下回ることがよくあるので、妊娠中は意識的にカルシウムを摂取して推奨量を目指しましょう。
また、カルシウム不足を気にしすぎて過剰摂取にならないように気をつけることも必要です。厚生労働省によると、18歳以上の女性の1日あたりの耐容上限量は2,500mgです(※2)。
妊婦におすすめのカルシウムを含む食材は?
妊娠中に必要な量のカルシウムをきちんと毎日摂取するには、カルシウムが含まれた食品をできるだけ多く食べるようにするのがおすすめです。
カルシウムの摂取と聞くと、「乳製品ばかり食べないといけないのかな?」と思う人もいるかもしれませんが、乳製品以外にもカルシウムをたくさん含んだ食品はあります。以下にカルシウムが多く含まれている代表的な食べ物を紹介するので、参考にしてみてくださいね。
カルシウムを含む食品の例(※1)
・乳製品(牛乳やチーズ、ヨーグルトなど)
・モロヘイヤ
・大根の葉
・つるむらさき
・干しエビ
・煮干し
・海藻類(ひじき、わかめなど)
・大豆製品(豆腐、納豆など)
カルシウムと一緒にビタミンDを摂ると吸収率が上がるので、ビタミンDを多く含んだしいたけやきくらげなども積極的に食べるようにしましょう。
カルシウムを豊富に含んだ食べ物だけを単品で食べ続けると飽きやすいので、サラダやスープに入れるなどさまざまな形で料理に取り入れてみてくださいね。
妊娠中はカルシウムをバランスよく摂取していこう
カルシウムは、妊娠していないときでも体の健康を作る重要な栄養素です。この機会にカルシウムの上手な摂り方を身につけて、出産後も赤ちゃんと共に健康な生活を送れるようにしましょう。
バランスよくカルシウムを摂取しながら、ママと赤ちゃんの健康な骨・歯を作っていけるといいですね。