妊娠8ヶ月目から出産までの期間を「妊娠後期」と呼びます。大きくなった子宮に胃や心臓が押され、動悸や息切れ、胃もたれが起きやすい時期です。赤ちゃんは体の器官がほぼできあがりますよ。
今回は妊娠8ヶ月目のお腹の大きさや体重増加の目安、赤ちゃんの成長度合い、出産に向けた変化などについてご説明します。
妊娠8ヶ月目の妊婦さんの状態は?
妊娠8ヶ月目とは妊娠28~31週目の4週間にあたります。安定期を過ぎて、出産に向けて体が大きく変化を始める時期です。
2週間に1度の妊婦健診で、より細やかにママの体や赤ちゃんの状態を管理していきます。
妊娠8ヶ月目の終わり頃のお腹の大きさは、子宮底長で27cmほどです(※1)。
妊娠34週のピークに向けて羊水がどんどん増えているため、体重が増加しやすい時期です。
妊娠8ヶ月目に入ると、以下のような症状が起きやすくなります。
後期つわり
妊娠後期になると、吐き気や胃のむかつき、げっぷ、胃痛などの不快症状が出てきます。
これは妊娠初期のつわりと似た症状なので「後期つわり」という俗称で呼ばれています。
大きくなってきた子宮に胃が圧迫され、胃液が逆流して、食道の粘膜を荒らすことが原因で起こります。
後期つわりが落ち着くのは、出産に向けて赤ちゃんの位置がさがる妊娠10ヶ月目頃といわれています。
それまでは根本的な解消が難しいので、以下のような工夫をして乗り切ってくださいね。
● 食事は小分けしてよく噛んで食べる
● 胃の負担が少ないものを選ぶ
● 食後にすぐに横にならない など
痔
子宮が大きくなって腸への圧迫が強くなって便秘になると、トイレでいきむことが増えるため、肛門がうっ血して痔になる可能性があります。
痔は妊娠中に起こりやすいマイナートラブルのひとつで、今まではまったく縁がなかった人でも体調の変化で痔になることも。
食物繊維や水分をしっかり摂って便をやわらかくする、トイレを我慢しない、下半身を温めるなど、便秘と痔の予防をしておくといいですよ。
もし発症しても、病院に相談すれば塗り薬で治療できることも多いのです。
マタニティライフを過ごしやすくするためにも、恥ずかしがらずにかかりつけの医師に相談してくださいね。
妊娠8ヶ月目の赤ちゃんの状態は?胎児の大きさや体重は?
この1ヶ月で、赤ちゃんは外の世界で生きていくための身体機能がほぼ整い、骨格や筋肉もしっかりしてきます。
見た目は新生児と似た姿になってきていますよ。
視覚も発達して光を感じ取れるようになり、聴覚はさらに発達して外の大きな音を聴きとっています。
妊娠28週目
妊娠28週目の胎児の頭の大きさは7cmほどで、体重は1,000gを超える子が増えてきました(※1,2)。
光や音に対する感覚が発達していくので、外で起きている世界の変化を感じるようになります。
妊娠29週目
妊娠29週目頃の胎児は、脳が発達して、表面のシワが増え、皮下脂肪がついてきますよ。
赤ちゃんの髪の毛はふさふさしていて、かわいい目が大きく開くようになります。
妊娠30週目
妊娠30週目の胎児の体重は、約1,100〜1800gほどが目安です(※2)。
赤ちゃんは脂肪を蓄え、体は着実に大きくなっています。自分で体温を調節することができるようになってきます。
妊娠31週目
妊娠31週目の胎児の身長は約40cm、体重は約1,600gを目安に成長します(※1,2)。
体は丸みを帯びて、外見は生まれたての新生児とほとんど変わりません。臓器もほぼ完成しますよ。
妊娠8ヶ月目に注意しておきたいことは?
妊娠8ヶ月目には以下のことに気をつけましょう。
過度な体重増加
妊娠中の体重増加量の目安は、妊娠前のBMI値によって異なります(※3)。
また上の表の数値はあくまでも目安で個人差があるものなので、体重の増加が気になる場合は医師に相談してくださいね。
妊娠28週以降の摂取カロリー目安は、妊娠前の+450kcalほど。不足しがちな栄養素を補えるようにバランスを考えながら食事が摂れるといいですね。
妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群は、重症化すると最悪の場合、母子ともに死に至るリスクがある疾患です。
妊娠34週未満に発症するものを早発型、妊娠34週以降に発症するものを遅発型といいます。
妊娠20週~分娩後12週の間に高血圧がみられる場合、または高血圧に加えて尿たんぱくが基準値以上みられる場合に妊娠高血圧症候群と診断されます(※4)。
予防のためには、栄養バランスのとれた食事にする、ストレスをためない、適度な運動をする、睡眠をしっかり取るなどの心がけが大切ですよ。
妊娠高血圧症候群は、重症化するまで自覚症状がみられないことが多い疾患です。妊婦健診で血圧を計ることで早期発見できるので、欠かさず受診してくださいね。
切迫早産や常位胎盤早期剥離
安静にしても治らないお腹の張りや腹痛、出血などは、何らかの異常のサインの可能性があります。
特にお腹が石のようにカチカチに硬くなる、お腹の張りと一緒に腹痛や出血が現れるなどの症状は、切迫早産や常位胎盤早期剥離の可能性もあります。
速やかにかかりつけの産婦人科に相談してください。
前置胎盤や常位胎盤早期剥離などのトラブルは誰にでも起こりうることなので、妊婦健診をしっかりと受診しつつ、普段の生活でいつもと違った症状はないか注意していきましょう。
逆子
妊娠8ヶ月目に入ると、赤ちゃんは自然と頭を下にした状態になりやすいです。
妊娠30週目を迎えても、頭が上を向いた「逆子」の状態になっているケースがありますが、最終的に逆子のまま出産するケースは全体の3~5%で、それほど多くありません(※1)。
今の段階で逆子と言われても、心配しすぎないでくださいね。赤ちゃんに「頭はこっちだよ」と声をかけながら、お腹をさすってあげましょう。
胎動の変化
妊娠後期に入ると赤ちゃんの頭が骨盤に固定されて大きな動きをとりにくくなるため、臨月に近づくにつれて胎動は減少するといわれています(※5, 6)。
ただし、胎動の感じ方は赤ちゃんの大きさやママの体型、妊娠週数などによって個人差があるものなので、ママが感じる胎動が減るとは限りません。
また、胎動が全く感じられなくなることはありません。
急に胎動が弱くなった・極端に少なくなったと感じる場合は、速やかにかかりつけの産婦人科を受診しましょう。
胎動がいつもと違う様子で違和感を感じた場合も、かかりつけの産婦人科へ相談することをおすすめします。
妊娠8ヶ月目にしておくといいことは?
妊娠8ヶ月目には以下のことをしておくのがおすすめです。
出産に必要なものを購入
妊娠8ヶ月目頃は、体調のよいときに赤ちゃんの肌着やお世話グッズ、出産準備品などを揃えておきましょう。
入院に必要なもの、退院後に必要なもの、退院してから購入するものなど、リストアップしておくとバタバタせず安心して赤ちゃんを迎え入れられますよ。
腰への負担を減らす
妊娠中はお腹が前にせり出して腰が反ってしまうことで、腰周辺の関節や筋肉に負担がかかり腰痛が起こりやすいです。
これから更にお腹が大きくなっていくので、腰の負担を減らせるよう対策しておくといいですよ。
具体的には、マットレスを適度な硬さのものに変える、仰向けでは寝ないようにする、日々ストレッチをする、骨盤ベルトを使うなどの方法があります。
腰痛緩和の効果は個人差があるので、自分にあった方法を見つけてくださいね。
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妊娠8ヶ月目には毎日の胎動カウントで体調を管理しよう
妊娠8ヶ月が終わると、出産予定日まであと2ヶ月を切ります。赤ちゃんとの対面が迫ってくると、無事に生まれてきてくれるかな…という不安も大きくなってくるかもしれません。
そんなときは毎日の胎動をチェックして、赤ちゃんが元気なことを確認しましょう。赤ちゃんとの楽しい時間を過ごしながら、出産への不安を和らげてみて