前置胎盤とは?原因や症状、確率は?出血が起きるの?

記事監修 産婦人科医 間瀬 徳光
間瀬 徳光 2005年に山梨医科大学(現 山梨大学)医学部を卒業。板橋中央総合病院を経て、現在は沖縄県立中部病院 総合周産期母子医療センターに勤務。産婦人科専門医、周産期専門医として、一般的な産婦人科診療から、救... 続きを読む

妊娠・出産には様々なリスクを伴いますが、「前置胎盤」もそのうちの一つです。前置胎盤になると急な出血のリスクがあり、母子ともに危険が及ぶこともあります。今回は、妊婦さんには事前に知っておいて欲しい「前置胎盤」について、原因や症状、治る確率などをまとめました。

前置胎盤とは?

前置胎盤

前置胎盤とは、上記の図のように、胎盤が正常よりも低い位置にあり、子宮の出口である「子宮口」を塞いでしまっている状態のことをいいます。

子宮は、子宮口を下側にして、風船のような形をしています。胎盤は通常、子宮の頂点に近い部分、つまり上側に貼り付いていますが、前置胎盤では上側ではなく、下側の子宮口付近に貼り付いています。

前置胎盤は全分娩の0.5%前後にみられ、経産婦は初産婦の2倍以上、多産婦は3倍以上の確率で起こるといわれています。年齢で見ると、30歳以上の妊婦さんは、20歳の妊婦さんの約2倍の確率で発症することがわかっています(※1)。

前置胎盤には種類があるの?

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前置胎盤は、胎盤が子宮口を塞ぐ程度によって、「全前置胎盤」「部分前置胎盤」「辺縁前置胎盤」の3種類に分けられます。

胎盤が子宮口のほぼ全体を塞いでいる状態を「全前置胎盤」、一部を塞いでいる状態を「部分前置胎盤」、子宮口と胎盤の距離がほぼ0cmまで迫っている状態を「辺縁前置胎盤」と呼び分けます。

また、胎盤の位置が下ってきて、子宮口の端まで2cm以内に迫っているものの、子宮口まで達していない状況を「低置胎盤」といいます(※1,2)。

前置胎盤の原因は?予防はできる?

妊婦

前置胎盤が起こる原因とメカニズムは、まだはっきりと分かっていません。今のところ、何らかの理由で子宮内膜が傷ついたり、子宮内腔が変形したりすると、前置胎盤が起こりやすくなるのではないかと考えられています(※1)。

何らかの理由とは、流産や人工妊娠中絶、帝王切開の経験、これまでに一人以上子どもを産んでいる経験、子宮手術の経験、喫煙習慣、多胎妊娠、高齢出産などが挙げられます。

予防が難しい場合が多いのですが、喫煙習慣をやめることは予防につながります。妊娠が判明したら、なるべく早い段階から禁煙するようにしましょう。

前置胎盤の症状は?出血はあるの?

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前置胎盤の症状には、腹痛を伴わない突然の出血や、内診時の大量出血などがあります。出血は、最初は少量であることが多いのですが、何度も繰り返したり、長く続いたりします。

基本的に痛みはないので、気をつけたいのは出血です。

症状があらわれるのは、多くが妊娠28週以降です。その頃に普段と違う不正出血があれば、すぐに産婦人科を受診しましょう。

前置胎盤は治療できる?治し方は?

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前置胎盤は薬や手術などで治療できるものではありません。普段より穏やかに過ごして、お腹の張りや出血に注意しながら、経過をみていきます。

前置胎盤は、自分でも予期できない突然の大量出血などが起きる可能性が高いため、妊娠30週頃からは、入院が必要になることが多いようです。入院しない場合でも、穏やかな生活を心がけ、運動や夫婦生活は控えるようにしましょう。

前置胎盤はいつわかる?治る確率は?

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「胎盤が子宮口のほうにある」ということは妊娠中期頃からわかりますが、妊婦さんのお腹が大きくなるにつれて胎盤も少しずつ上がり、子宮口から離れていくこともあるため、妊娠後期にならないと前置胎盤とは確定しません。

以下は、日本産科婦人科学会が発表した、妊娠週数別に前置胎盤と診断された後に、そのまま前置胎盤だった確率です(※3)。

● 妊娠15~19週:12%(88%は前置胎盤ではなくなる)
● 妊娠20~23週:34%
● 妊娠24~27週:49%
● 妊娠28~31週:62%
● 妊娠32~35週:73%

妊娠中期頃に前置胎盤が疑われても、多くが治ることがわかります。もし医師から「前置胎盤の可能性がある」といわれても、妊娠週数が早いときにはあまり神経質になりすぎないでください。

前置胎盤は帝王切開での分娩になる?

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妊娠後期に入っても前置胎盤が治らない場合、多くは妊娠37週以降に帝王切開で出産を行います(※1)。ただし、胎児の発育や出血の状態などをみて、早めに帝王切開を行うこともあります。

また、前置胎盤は分娩中に多量の出血が予想されるため、事前に自分の血を輸血用にストックしておく「自己血貯血」を行う場合もあります。出血があまりに多くてなかなか止まらず、赤ちゃんや母体の命が危ないと判断された場合には、やむなく子宮の摘出を行うこともあります。

なお、前置胎盤と診断された場合には、できればNICUのある総合病院や大学病院で診てもらうのが望ましいとされています。前置胎盤の平均分娩週数は妊娠34~35週ともいわれており、「予定日まであと1ヶ月以上ある」と思っていても、突然早産となる可能性もあり得るからです(※2)。

かかりつけの医師と相談して、必要であれば大きな病院を紹介してもらいましょう。

前置胎盤と診断されても、焦らず落ち着いた日々を

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大量出血が心配される前置胎盤ですが、医師の指示に従って対処を行えば、決して恐いものではありません。妊娠初期であれば前置胎盤は自然と解消される可能性も高いですし、妊娠後期なら赤ちゃんの発育を見ながら帝王切開に切り替えることもできます。

必要以上に心配してしまうと、ストレスが溜まり、お腹の赤ちゃんに悪影響をおよぼすこともあります。ママが心を落ち着けて、穏やかな気持で妊娠生活を送れるといいですね。

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