妊娠後期の下痢は大丈夫?妊娠8・9ヶ月での腹痛と嘔吐は危険なの?

監修専門家 看護師・助産師 岡 美雪
岡 美雪 看護師・助産師を免許を取得後、未熟児病棟、脳神経外科病棟、産科病棟で医療業務に従事。その後、医療現場での経験を活かして、青年海外協力隊の看護職としてアフリカに2年間駐在し、現地の医療技術向上に貢献。日... 監修記事一覧へ

妊娠初期に下痢や便秘になるというのはよく聞く話ですが、妊娠後期の下痢のトラブルも意外と多いのです。お腹も大きくなった状態で下痢になったり、腹痛があると、「赤ちゃんは大丈夫?」と心配になってしまいますよね。そこで、今回は妊娠8・9ヶ月頃の後期におきる下痢の原因と対策、病院にいくべき症状などをまとめました。

妊娠後期の下痢とは?

妊婦 下痢
妊娠後期になるにつれて下痢気味になるという妊婦さんは多いようです。妊娠8・9ヶ月目にもなるとお腹の中の赤ちゃんはどんどん成長し、ママの子宮もそれにあわせて大きくなっていきます。

その結果、子宮が腸を圧迫するようになり、これまで以上に食べ物を消化する機能が低下するので、動きが鈍って下痢を引き起こしてしまいます。

また、妊娠後期はお腹が大きくなるなど体の変化で、体力が落ちてしまったり、胃腸が弱ってしまったり。しかも、お腹の赤ちゃんの分まで栄養が必要なので、妊娠前よりも食欲が増し、食事の量が多すぎて、弱っている胃腸にさらに負担がかかり、下痢になってしまうという妊婦さんも多いようです。

妊娠後期の下痢はストレスも原因になる?

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妊娠後期の下痢では、赤ちゃんの成長による原因が多いのですが、それ以外にストレスが下痢を引き起こすこともあります。

自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、副交感神経が活発になることで体は便意を感じます。

普段は体をリラックスするようバランスをとっている副交感神経が妊娠によるストレスで乱れ、過剰に反応してしまった結果、お腹の蠕動運動(ぜんどううんどう)が活発になりすぎて下痢を引き起こすことがあるようです。

妊娠後期の下痢は赤ちゃんに影響があるの?早産につながる?

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妊娠後期に下痢になると、赤ちゃんが降りてきて早産してしまうのではと、心配になる妊婦さんも多いようです。

ただ、妊娠中の下痢はよくあることで、通常の下痢であれば赤ちゃんに直接的な影響はないので安心してくださいね。

しかし、あまりに下痢が続いたり重症だったりすると、感染症や食中毒を疑う必要があったり、お腹が張ったり、子宮周辺に痛みを感じたりしていたときには陣痛が始まっている可能性もあります。

事前に食べたものや、痛みの程度・期間には注意してくださいね。

妊娠後期の下痢で吐き気や腹痛があっても大丈夫?

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妊娠後期の下痢で気をつけないといけないのは、吐き気・嘔吐や発熱、腹痛も症状としてみられるときです。例えば次のような原因が考えられるときには、我慢せずに産婦人科や内科にまず相談するようにしましょう。

陣痛がおきている場合

妊娠後期になると腹痛が実は陣痛だった、という妊婦さんもいるようです。下痢による腹痛と陣痛の違いは、その痛みが規則性があるか、また、お腹が張って痛みを感じているか、が見分けるポイントです。

横になるなどして姿勢を変えて治るようでしたら前駆陣痛と考えられ、本陣痛に備えて、産婦人科にいく準備などを始めておきましょう。

感染症や食中毒がおきている場合

特に吐き気や発熱があるときには、感染症や食中毒を疑い、家族などにも同じ症状がないか確認しましょう。例えば「ノロウィルス」などにかかるとひどい吐き気や嘔吐に苦しむことになります。脱水症状に気をつけて、なるべく早く内科を受診しましょう。

ノロウィルスの病原菌が赤ちゃんに影響がある、という報告はありませんが、激しい下痢によって子宮収縮を引き起こし早産につながる可能性もあり、注意が必要です。

リステリア症への感染がおきている場合

日本ではあまり報告されていませんが、海外で妊婦さんに注意を促されている細菌に「リステリア菌」という菌があります。チーズやキャベツ、メロンなどを食べて感染し、下痢や発熱、吐き気、重症化すると頭痛、痙攣などが生じ、妊婦さんや胎児に影響を与えます。

感染予防にはやはり生の食材は控えることや生野菜は食前に洗うことなど、注意して食事を摂るようにしましょう(※1)。

妊娠後期の下痢対策は?

和食 食事 日本人

妊娠後期はストレスをためないように規則正しい生活を心がけましょう。またビタミンB、A、E、カルシウム、鉄分を積極的に食事に取り入れるのが下痢対策としておすすめです。以下にそれぞれの栄養素の働きと多く含まれる食材をまとめましたので、日々の献立の参考にしてみてください。

ビタミンB群

働き:神経を正常に働かせる
多く含まれる食材:豚肉、玄米、ごま、大豆、うなぎ、レバーなど

ビタミンA

働き:自律神経のバランスを整える
多く含まれる食材:うなぎ、たまご、しそ、にんじんなど

ビタミンE

働き:自律神経のバランスを整え、ホルモンの分泌を促す
多く含まれる食材:穀類、豆類、緑黄色野菜など

カルシウム

働き:神経の興奮をおさえ、イライラする感情を抑止して安眠に導く
多く含まれる食材:チーズ、乳製品、小魚、ほうれん草など

鉄分

働き:抑うつ状態や倦怠感を改善
多く含まれる食品:レバー、プルーン、ほうれん草など

またヨーグルトや乳酸菌飲料は腸内の働きを助けてくれるので、食事の一品やおやつに取り入れたいですね。つわりがなくなると、食事量が増える妊婦さんが多いですが、できるかぎり栄養バランスのいい食事を規則正しくとるよう心がけましょう。

妊娠8・9ヶ月での下痢に吐き気などがあるときは病院へ

もうすぐ赤ちゃんと対面できる妊娠8・9ヶ月にもなると、妊娠も後期に入り、ママの心も体も落ち着いた状態で過ごしたいですね。

もし水のような便であったり、腹痛が続いたり、吐き気や発熱を伴ったりする場合は、感染症の疑いもあるので、できるだけ早く産婦人科を受診するようにしましょう。

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