妊娠後期の食事で気をつけることは?おすすめの食べ物と注意点は?

監修専門家 管理栄養士・フードコーディネーター 中村 美穂
中村 美穂 東京農業大学卒業。保育園栄養士として乳幼児の食事作り、食育活動、地域の子育て支援等に携わった経験を活かし、離乳食教室や子どもから大人まで楽しめる料理教室「おいしい楽しい食時間」を開催。書籍、雑誌等への... 監修記事一覧へ

妊娠後期に入ってお腹がますます大きくなると、胃が子宮に圧迫されるので、少し食べただけで、すぐにお腹がいっぱいになります。さらに臨月が近づくと、赤ちゃんの位置が下がってくるので、再び食欲が増すことも。今回は、妊娠後期や臨月の食事のポイント、おすすめの食べ物や栄養素をご紹介します。

妊娠後期とは?

妊婦 お腹 手

妊娠後期とは、妊娠28週~39週(8~10ヶ月)の時期をさします。出産予定日が日に日に近づいてきます。この時期の母体と胎児の状態は、主に以下の通りです。

妊娠28週~35週

疲れやすくなり、動悸や息切れを感じることが増えてきます。大きくなったお腹で胃が圧迫されたり、お腹が張るようになったりして、一度の食事でたくさんの量を食べられなくなります。

胎児は、内臓や神経系の機能がほぼ完成する時期です。

妊娠36週~39週

胎児の位置が徐々に下がってくるため、胃や胸の圧迫感は少なく感じるようになり、食欲が増す妊婦さんもいます。

胎児は、内臓、神経、呼吸などの各器官が整い、いつ生まれても大丈夫な状態です。妊娠39週末には、身長は約50cm、体重は2800~3000gほどにまで大きくなります(※1)。

妊娠後期・臨月の食事のポイントは?

妊婦 ママ 女性 妊娠 野菜 料理 栄養

妊娠後期は、妊娠高血圧症候群になりやすい時期なので、できるだけ塩分を控えた薄味の食事を心がけましょう。塩分を摂り過ぎると、むくみや高血圧の原因となります。

また、妊娠糖尿病にも気をつけなくてはいけない時期なので、カロリーオーバーや糖分の過剰摂取にも注意しましょう。

胃腸が圧迫されて一度の食事で食べられる量が減ったときは、数回にわけて少しずつ食べるようにしましょう。ついついお菓子を食べてしまいがちですが、できるだけ栄養バランスのとれた食事を心がけ、お産に向けて健康を維持してくださいね。

臨月になって胃や胸の圧迫感がなくなって食欲が増すと、体重が増えることもあるため、引き続き、体重の増えすぎに気をつけることも大切です。

体重が過度に増えてしまうと、皮下脂肪で産道が狭くなったり、微弱陣痛になりやすかったりすることで、難産につながることもあります。

妊娠後期に摂りたい栄養素は?

妊婦 日本人 メモ ノート オリジナル

妊娠後期に起こりやすい体のトラブルを予防するために、またお産に備えるために、次の栄養素を意識的に摂取しましょう(※2)。

カリウム

妊娠高血圧症候群のリスクを高める塩分を摂り過ぎたときは、カリウムを摂取して、体内の余分な塩分を外に出しましょう。カリウムは、野菜や果物、海藻、きのこ、豆類、芋類など植物性の食品に多く含まれています。

カリウムはむくみ解消の効果も期待できるため、妊娠後期のむくみに悩まされている妊婦さんにもおすすめです。

たんぱく質

お産に向けて体力や免疫力をつけるために、良質のたんぱく質を摂るようにしましょう。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると、たんぱく質は非妊娠時と比べて、妊娠中期は+5.0g、妊娠後期は+25.0gを摂取することが推奨されています(※3)。

ビタミンE

ビタミンEには、血流を改善する効果が期待できるので、運動不足気味の妊娠後期には積極的に摂りたい栄養素です。ビタミンEは、ナッツ類、ごま、玄米、大豆、かぼちゃ、アボカドといった食品に多く含まれています。

ビタミンC

免疫力アップにつながるビタミンCは、妊娠全期を通じて摂りたい栄養素です。ビタミンC は野菜、果物、いも類などに含まれているので、風邪予防のためにも積極的に摂りましょう。

上記以外の栄養素も含めながら、様々な栄養素をバランスよく摂取することが大切です。

妊娠後期におすすめの食べ物は?

じゃがいも

妊娠後期の妊婦さんにおすすめの食べ物をご紹介します。

玄米・胚芽米

玄米や胚芽米は、栄養価が高く、糖質の代謝を促すビタミンB1や便秘予防に効果のある食物繊維が、白米よりも数倍多く含まれています(※4)。

主食となるごはんを、白米から玄米や胚芽米に代えるだけで、効率的にバランスよく栄養を摂取することができますよ。

じゃがいも

じゃがいもにはビタミンCとカリウムが豊富に含まれています(※4)。じゃがいものビタミンCは、火を加えても失われにくいのも特長です。

ごま

ごまには、たんぱく質・鉄・カルシウムが多く含まれています(※4)。高血圧予防に役立つビタミンEやビタミンB1の含有量も多いので、妊娠後期には特におすすめです。しかし、ごまには、脂質も多いので、過剰摂取には注意してくださいね。

豆腐

豆腐は、妊娠中におすすめのたんぱく源です。妊娠中に積極的に摂りたいカルシウムも含まれていて、カロリーや脂肪分も低いため、様々な調理法で食卓に取り入れてみてくださいね(※4)。

妊娠後期・臨月の食事で出産に向けてパワーをつけよう

もうすぐ赤ちゃんに会える妊娠後期。出産後しばらくは外食ができないので、ついつい美味しいものをたくさん食べてしまいがちですが、くれぐれもカロリーや塩分、糖分の過剰摂取には気をつけましょう。

妊娠後期に健康的な食生活を送り、必要な栄養を摂取することで、お産に向けた体力づくりができ、出産後の回復力も高まります。残り少ないマタニティライフを楽しむためにも、栄養バランスの良い食事を心がけてくださいね。

こそだてハックに「いいね!」して情報を受け取ろう