【妊婦の血圧】妊娠中の正常値や平均値は?高い・低いリスクは?

監修専門家 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 監修記事一覧へ

妊婦健診では毎回、「血圧測定」が行われます。血圧を測るだけで何がわかるの?と思うかもしれませんが、妊娠高血圧症候群など血圧の異常によるトラブルを早期発見するために、とても大切な検査です。しかし、妊娠中の血圧を調べてはいても、その正常値や基準を知っていないと結果を見てもよくわかりませんよね。そこで今回は妊娠中の血圧について、正常値や平均値、血圧が高い・低いの基準、リスクなどをご説明します。

妊婦健診で血圧を測る理由は?

血圧

妊婦健診で血圧を測定する目的は、「妊娠高血圧症候群」の早期発見です。

妊娠高血圧症候群は、妊娠中になんらかの原因で高血圧になる疾患で、母体の血管障害や臓器障害を起こし、悪化すると母子の命に関わる危険があります。妊娠中は高血圧になりやすく、全妊婦さんの約3〜7%に発症するといわれているため、血圧が高くなっていないかを管理するのです(※1)。

妊娠高血圧症候群は、むくみや頭痛といった自覚症状、尿蛋白が出るなどの兆候があるので、血圧以外の項目と合わせて管理することになります。

妊婦の血圧の正常値・平均値は?低血圧・高血圧の数値は?

グラフ

妊娠中の血圧の平均値は、収縮期血圧が100〜112mmHg、拡張期血圧が60〜68mmHgだといわれています(※2)。

それでは、妊娠中の血圧の正常値はどれくらいなのでしょうか。

妊娠中の低血圧と高血圧の基準を知っておくと、検査上は問題がなくても高めなのか低めなのかがわかって、予防に努めることができますね。

妊娠中の血圧は「至適血圧」「正常値(正常血圧)」「正常高値血圧」「妊娠高血圧症候群」に分類されるので、それぞれの範囲を覚えておきましょう。

至適血圧:120/80mmHg未満

収縮期血圧が120mmHg未満、拡張期血圧が80mmHg未満が、妊娠中に一番望ましい血圧とされます(※3)。

母体や赤ちゃんに負担をかけず、脳梗塞や心臓病、肝臓病といった病気を引き起こすリスクが低い状態です。ただし、あまりにも値が低いと低血圧になるので注意が必要です。

正常値(正常血圧):120〜129/80〜84mmHg

収縮期血圧120〜129mmHg、拡張期血圧80〜84mmHgが、妊娠中の血圧の正常値と定められています(※3)。この範囲内であれば問題ないので、安心してくださいね。

正常高値血圧:130〜139/85〜89mmHg

収縮期血圧130〜139mmHg、拡張期血圧85〜89mmHgなら妊娠高血圧症候群の一歩手前と考えてください(※3)。

少し注意しなければならない値なので、食事など日々の生活に気をつけましょう。拡張期血圧が85以上は特に注意が必要で、自宅で血圧チェックをするよう指導されることがあります。

妊娠高血圧症候群:140/90mmHg以上

妊娠20週以降、分娩後12週までに収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上の場合、妊娠高血圧症候群と診断されます。収縮期血圧が160mmHg以上か、拡張期血圧が110mmHg以上のどちらかに該当すると重度の妊娠高血圧症候群とされます(※1,3)。

妊婦の低血圧はどんなリスクがある?対処法は?

リスク

妊娠中に低血圧になったからといって、母体や胎児には直接的な悪影響はありません。しかし、低血圧の人はいつも貧血気味で、めまいやふらつきが現れやすくなるので、ふいに転倒してお腹をぶつけてしまうなどの危険があります。

妊娠初期はつわりで十分な水分を摂取できずに貧血になり、血圧が低下しやすくなります。また妊娠中期から後期では、仰向けでいるときに、大きくなった子宮によって「下大静脈」という心臓に血液を戻す血管が圧迫され、血圧が低下することもあります。

妊娠中の低血圧は血行不良や水分・栄養不足が関係しているので、3食しっかり食べて栄養と水分もしっかり補給しましょう。そして、適度に体を動かして血行を改善し、適度な睡眠をとって疲れやストレスを溜めないようにすることが大切ですよ。

ただし、妊娠高血圧症候群の治療のために降圧剤を使用している人は注意が必要です。薬が効きすぎて急激に血圧が下がると、胎児へ影響がでる可能性もあります。

妊婦の高血圧のリスクや胎児への影響は?

リスク

少し血圧が高いくらいであれば、すぐにママの体や赤ちゃんに悪影響を与えることはありませんが、妊娠高血圧症候群を発症すると脳や肺、肝臓、腎臓など重要な臓器になんらかの障害が起こります。また、赤ちゃんも発育不全や機能不全、常位胎盤早期剥離などで妊娠を維持できなくなる恐れがあります。

妊娠高血圧症候群と診断された場合は、高血圧の原因になる塩分の摂取量を抑えましょう。1日に7~8g程度が目安です(※1)。それ以外の食事内容も1日のカロリー摂取量を踏まえて配分して、食べ過ぎを抑えることが大切です。食事内容を見直して血圧の経過観察を行います。

妊娠中に高血圧になった場合、出産後も高血圧が続く可能性があるため、妊娠中から血圧管理には気をつけましょう。

妊娠中の高血圧で病院へ行く目安は?

道 はてな クエスチョン ?

妊婦健診で血圧が少し高めと診断された場合は、注意をしていないと妊娠高血圧症候群を発症してしまう危険性があります。

妊娠高血圧症候群は母子ともにリスクがある疾患なので、血圧が高めの人は少しでも気になる症状が現れたらかかりつけの産婦人科医に相談してください。主な症状としては「むくみがひどくなりやすい」というものがありますが、他にも「急激な体重増加」「赤ちゃんの胎動を感じにくい」「頭痛がする」「目がチカチカする」といったものが挙げられます。

医師から血圧を測定するようにと指示を受けた方は、自動血圧計などで1日3回食前に血圧を測定して、急な低下や上昇があったときは早めに相談することを心がけましょう。

妊娠中は高血圧・低血圧の予防に努めよう

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妊娠中の血圧の数値は、「できるだけ安静にする」「バランスのよい食事をとる」「適切な体重増加になるよう体重管理する」などの対策や、ストレス・睡眠不足・疲れを解消するなど、規則正しい生活を心がけるだけでかなり改善されていきます。普段の生活を見直して健康的なマタニティライフを過ごしてくださいね。

また、血圧測定は血圧異常の早期発見につながるので、妊娠中は定期的に妊婦健診を受けるようにして万が一に備えましょう。母子手帳をチェックして、自分の血圧を意識するようにするといいですよ。

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