妊娠9ヶ月目の妊婦さんや赤ちゃんの体重は?腹痛を感じたときは?

監修専門家 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 監修記事一覧へ

妊娠9ヶ月目に入り、いよいよ出産予定日が近づいてきました。今月で赤ちゃんは外に出る準備がほとんど整うので、あと少しで会えますよ。しかし、お腹が大きく重くなって息切れや動悸、腰痛、便秘といったマイナートラブルの悩みを抱えやすく、早く解放されたいと考える人も多いと思います。今回は妊娠9ヶ月目のママの体の状態や体重増加の影響、赤ちゃんの状態や胎動の変化などについてご説明します。

妊娠9ヶ月目はどんな時期?

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妊娠9ヶ月目は妊娠32~35週目の4週間にあたります。子宮底はみぞおち辺りまで達して、お腹全体が大きくせり出すので、身をかがめたり、靴ひもを結んだりする日常的な動作が難しくなります。体への負担も大きく、マイナートラブルも増えます。

ママにとっては最後の辛い時期ですが、赤ちゃんは急速に成長しています。妊娠9ヶ月中には、外で生きるために必要な器官がほとんど完成しますよ。

妊娠32週目

妊娠32週目の胎児の体重は1,500g前後(※1)。体型も4頭身になり、皮下脂肪が蓄えられてふっくらとし始めるので、さらに赤ちゃんらしくなります。

赤ちゃんの急成長にともなって、ママは、足の付け根が痛くなる、後期つわりが現れるなど、マイナートラブルも増えます。出産に向けて、体重の増加量について医師からアドバイスを受けることもあるかもしれません。

妊娠33週目

妊娠33週目の胎児の体重は2,000g前後(※1)。この時期は、内臓が大きくなったり皮下脂肪がついたりして、身長よりも体重が増えやすい時期です。赤ちゃんは20分おきに寝たり起きたりを繰り返していますよ(※2)。

ママは大きくなったお腹を支えているので、腰や背中、足の付け根などの痛みが強くなります。お腹の影響で寝苦しくなって、夜中に目が覚めてしまう人もいるかもしれません。

妊娠34週目

妊娠34週目には、赤ちゃんの肺の機能が完成します(※2)。生まれた後に、自分の力で呼吸ができるようになりました。

そのため、妊娠34週目以降の早産は、生存率が正期産とほとんど変わりません。ただし合併症のリスクはまだ高いので、引き続き注意していきましょう。

妊娠35週目

妊娠35週目の胎児は、身長約45cm、体重約2,000gまで成長するのが目安で、発育の最終段階に入ります(※2)。お腹の外に出る準備はほとんどできました。

妊娠初期と比べて、子宮の容量は約500~1,000倍、重さは約15倍に(※2)。出産に向けた準備で、頻繁にお腹が張る人が増えてきます。

妊娠9ヶ月目の体重増加の目安は?

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日本産婦人科学会によると、妊娠中の体重増加の推奨値は上記の通りです(※3)。

妊娠9ヶ月目から出産までの間で赤ちゃんの体重が1kgほど増えることがあるので、その増加量を踏まえた上で、目安の体重増加量を大幅に超えないよう調整しましょう。

この時期に体重が増えすぎると、産道が狭くなって出産に悪影響を与える恐れがあります。出産まであと少しだからといって気を抜かず、もう少しだけ頑張りましょう。

妊娠9ヶ月目は胎動が減少する?

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妊娠9ヶ月目になると、胎児の大きさに対して子宮のスペースが狭くなります。出産に向けて赤ちゃんも下がり始め、早ければ頭が骨盤におさまって動きが鈍くなるケースも。この結果、胎動を感じる回数が少なくなる人が増えてきます。

この時期に胎動の回数が減ったり、弱く感じたりするのは正常なことなので、心配しないでくださいね。

ただし、妊娠9ヶ月目は胎動が徐々に減る程度で、胎動を全く感じない日はありません。胎動を感じるときは腹の表面に赤ちゃんのひじやひざが突き出たり、お腹が波打ったりと、ダイナミックな動きを感じますよ。

1日に1度も胎動がないときは、赤ちゃんにトラブルが起こった可能性を考えて、すぐに病院へ連絡しましょう。

妊娠9ヶ月目はお腹の張りや腹痛が頻繁に

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妊娠9ヶ月目頃は、1日に何度もお腹の張りや腹痛を感じる人が増えてきます。

これは出産に向けた準備で、人によっては痛みを感じるほどに強く出ることもあります。お腹の張りを感じたら、まずは椅子に座るか横になるかして、安静にしましょう。

しかし、安静にしてもお腹の張りがおさまらない、規則的に痛みを感じるようになった、出血や破水が見られたなどの場合は、切迫早産になっているかもしれません。自己判断はせずに、かかりつけの産婦人科へ連絡し、医師の判断を仰ぎましょう。

妊娠9ヶ月目はマイナートラブルが続く時期

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妊娠9ヶ月目頃は、お腹が大きくなり、出産に向けた準備が始まるので、様々なマイナートラブルに悩まされます。

例えば、妊娠9ヶ月目は血液の循環量が妊娠中で最も増える時期ですが、血液中の「血漿」という成分に比べて「血球」という成分の造成が少なく、血液中の水分の割合が多くなります(水血症)。その上、体内の鉄分が赤ちゃんへ優先的に運ばれるので、ママ自身に供給される鉄分が不足します(※2)。

その結果、ママは貧血を起こしやすくなり、めまいや立ちくらみなどの症状に多く悩まされます。また、増加した血液を送り出すために心臓の負担も大きくなるので、動悸や息切れも起こります。

その他にも、以下に挙げるマイナートラブルが起こりやすくなります。妊娠とは関係ないようなものも妊娠後期のマイナートラブルになることが多いので、注意してくださいね。基本的に、産後には自然とおさまりますが、それまでは工夫をしながら乗り切りましょう。

妊娠9ヶ月目に見られるマイナートラブル

● 胃のむかつき
● 吐き気
● 動悸、息切れ、息苦しい
● 立ちくらみ、貧血
● 尿漏れ、頻尿
● 便秘
● 下痢
● 痔
● 乳頭がかゆい
● 手足がむくむ、しびれる
● 足の付け根が痛い
● 腰痛

妊娠9ヶ月目の赤ちゃんの状態は?

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妊娠9ヶ月目の終わりには、胎児の身長の目安は約45cm、体重の目安は約2,000gになります(※2)。ただし、この時期の赤ちゃんの大きさには個人差があるので、他の人と比較して大きかったり小さかったりしても、健診で異常がなければ気にしすぎないようにしましょう。

妊娠9ヶ月目頃の赤ちゃんは皮下脂肪がついてきて、ふっくらとした赤ちゃんらしい体つきになりますよ。

産毛も少なくなってきて、すっかり新生児と変わらない姿です。顔の筋肉が細かく動かせるようになることで、表情も豊かに見えるように。

内臓機能も成熟し、肺で呼吸をする準備も整いました。

妊娠9ヶ月目で早産になったら?

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妊娠9ヶ月目には赤ちゃんの体はほとんどできあがりますが、妊娠9ヶ月中に生まれた場合は早産にあたります。肺が完成する34週目以降には、早産でも生存率がかなり高くなりますが、生まれた後で合併症を起こす可能性があります(※2)。

早産を起こす原因には、絨毛膜羊膜炎などの感染症や、子宮奇形のような子宮の異常がよく見られます。これらは妊婦健診で検査を受けることで対処できるものでもあるので、異常がないかどうかをこまめにチェックしてもらいましょう。

もし、出血や強いお腹の痛みなどが現れたときには、切迫早産を疑って早めに病院を受診することが大切ですよ。早めに対処すれば、お腹にいる状態を保って、正期産につなげることもできるかもしれません。

妊娠9ヶ月目はおりものが増える?破水やおしるしに注意!

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妊娠9ヶ月目頃になると、出産をスムーズにする準備としておりものが増えます。そもそもおりものは膣内を潤して雑菌の繁殖を防ぐ作用がありますが、出産前に分泌量が増えることで滑りをよくし、出産をしやすくする働きもあるのです。

おりものが増えたら、日頃からよく観察するようにしましょう。出産が近づいてくると突然破水することがありますが、そのときに普段のおりものの量を把握しておくと、いつもよりも量が多いことから破水に気づけることもありますよ。

また、おりものに出血が混じっていれば、おしるしかもしれません。出産の予兆を見逃さないように、トイレのたびにおりものチェックを忘れないでくださいね。

妊娠9ヶ月目の逆子は帝王切開になる?

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妊娠9ヶ月目で逆子と診断されると、このまま帝王切開になってしまうのではないかと心配になってしまいますよね。しかし、妊娠9ヶ月の時点で逆子だったからといって、帝王切開になると決まったわけではありません。

最終的に逆子のまま出産するケースは、全妊娠の3~5%ほどです(※2)。妊娠9ヶ月目の時点で逆子といわれても、出産までに元の位置に戻った先輩ママはたくさんいます。

妊娠9ヶ月目も、無理のない範囲で逆子体操やツボ押しなどに取り組んでくださいね。

安産につながる妊娠9ヶ月目の過ごし方は?

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妊娠9ヶ月目は、スムーズに出産ができるように、日々の生活も見直してみてはいかがでしょうか。

まずは、適度な運動やストレッチで体力づくりをして、急激に太り過ぎないようにすること。そして、冷えは筋肉を硬くしてしまうので、体を温かく保つ習慣を心がけましょう。

不安を感じてストレスがたまると、体が硬くなってしまいます。出産のイメージトレーニングをしたり、呼吸法の練習をしたりするのもいいですね。お産に向けて、穏やかな気持で過ごしましょう。

妊娠9ヶ月目が終わればいよいよ臨月!産後の準備を忘れずに

妊娠9ヶ月目はマイナートラブルが続き、ストレスが溜まりやすい時期です。出産が目前に迫っているということもあり、赤ちゃんに会える喜びと不安が入り交じり、精神的に不安定になるかもしれません。

しかし、赤ちゃんがお腹にいる期間は人生の中でもごくわずかで、とても貴重な時間です。家族や周囲の人にサポートしてもらいながら、残り少ない妊娠生活をリラックスして過ごせるといいですね。

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