肩甲難産とは?赤ちゃんが巨大児だとなるの?対処法は?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

妊婦さんなら誰もが「無事に出産を迎えたい」「健康な赤ちゃんが生まれてきますように」と思いますよね。しかしなかには「肩甲難産」と呼ばれる状態になり、お産がスムーズに進まなくなってしまうことがあります。そこで今回は、肩甲難産とは何なのか、赤ちゃんが巨大児だとなるのか、肩甲難産の対処法などについてご説明します。

肩甲難産とは?

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肩甲難産とは、分娩の途中で赤ちゃんの肩が引っかかってしまい、分娩がスムーズにいかない状態のことです。

通常の分娩では、赤ちゃんの頭が出てきたら軽く引っ張るだけで肩も出てきます。ところが、なかには赤ちゃんの肩がママの骨盤の一部に引っかかってしまい、軽く引っ張るだけでは出てこないことがあるのです(※1)。

肩甲難産は赤ちゃんが巨大児だとなるの?

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肩甲難産が起きる原因はいくつかありますが、なかでも巨大児と呼ばれる、生まれたときの体重が4,000g以上ある赤ちゃんの場合に発生しやすいことがわかっています。

それでは、赤ちゃんが巨大児になりやすくなる要因は何でしょうか?以下にその一例を挙げます(※2)。

糖代謝異常

ママが糖尿病などの糖代謝異常を患っていると、お腹の赤ちゃんが巨大児になりやすくなります。

肥満

ママが太りすぎていると、赤ちゃんが巨大児になりやすいことがわかっています。

妊娠中の体重増加量や分娩直前の体重よりも、妊娠前の体重が、巨大児になるかどうかに強く影響しているようです。

経産婦

経産婦の3.4%が巨大児の赤ちゃんを産みます。これは、初産婦が巨大児を産む確率の2倍に相当します。

妊娠期間が長い

妊娠期間が長いと巨大児を産む傾向があります。例えば妊娠42週以降で出産する場合、初産婦の約4%、経産婦の約10%が巨大児を出産しています。

赤ちゃんが男の子

巨大児として生まれてくる赤ちゃんの2/3は男の子です。つまり、女の子よりも男の子の方が巨大児になりやすいと言えるでしょう。

肩甲難産は後遺症が残る?

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肩甲難産では、赤ちゃんに後遺症が残ってしまうこともあります。

例えば、巨大児で肩甲難産が起きた場合、そのうち15〜30%で腕神経叢麻痺という末梢神経の麻痺が起こり、そのうち20〜30%の赤ちゃんには、一生麻痺が残ってしまいます。

ただし70〜80%の赤ちゃんは、腕神経叢麻痺になっても数ヶ月~1年以内に症状が軽くなるか、完治します(※2)。

肩甲難産になる確率は?

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肩甲難産はそれほど頻繁に起きるものではありません。例えば、巨大児が生まれる割合は全出産の2%前後ですが、そのうち5〜15%で肩甲難産が起きます。

ただし、肩甲難産の多くは発生するかどうかを事前に知ることが難しく、実際に分娩が始まるまで起きるかどうかはわかりません(※2)。

肩甲難産の対処法は?

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肩甲難産が起きたら、まずは赤ちゃんの口の中や鼻の穴を吸引して気道を確保します。次に指を腟内に入れ、へその緒が赤ちゃんの首に巻きついてないかや、奇形がないかなどを触って確認します。

そのまま分娩を続けて問題ないことが確認できたら、会陰切開をした後に肩が出てくるように赤ちゃんを動かします。ただし、ごく稀にですが、状況によってはいったん赤ちゃんを子宮内に戻して、緊急帝王切開を行う場合もあります(※1)。

肩甲難産以外の難産は?

チェックリスト 注意

難産には肩甲難産以外にも様々なものがあります。以下にその一例をご紹介します(※1)。

児頭骨盤不均衡

児頭骨盤不均衡とは、赤ちゃんの頭の大きさがママの骨盤よりも大きいために分娩しにくくなっている状態のことです。放置すると、この次に説明する遷延分娩になってしまいます。

対処法としては、帝王切開などが行われます(※3)。

遷延分娩

遷延分娩とは、初産婦の場合は分娩が始まってから30時間、経産婦の場合は分娩開始から15時間を経過しても分娩が終わらない状態のことです。母体にも赤ちゃんにも悪影響があるため、状況に応じて緊急帝王切開をすることがあります(※3)。

肩甲難産のリスクは避けましょう

肩甲難産は赤ちゃんが巨大児だとなりやすいことがわかっています。そのため、赤ちゃんが巨大児になりやすくなる要因を避けることで、肩甲難産になるリスクも減らすことができます。

糖尿病を患っている場合は積極的に治療を行ったり、体重管理を行ったりして、できる範囲の中で肩甲難産になるリスクを下げたいですね。日頃から自分の健康に気を配って、健康な出産を迎えましょうね。

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