難産とは?定義は何時間かかること?体質が原因なの?

監修専門家 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 監修記事一覧へ

妊婦さんなら誰しも「安産になるように」「難産にはなりたくない」と思いますよね。でも、安産とはどういう状態で、どうなったら難産なのでしょうか?また、体質的に難産になりやすい人はいるのでしょうか?今回は難産の定義や原因、出産までに何時間かかるのか、赤ちゃんへ悪影響はあるのかなどをご説明します。

難産とは?定義はあるの?

出産

難産とは、出産がスムーズに進まなくて赤ちゃんがなかなか生まれず、人工的なサポートがなければ出産が難しい状態を指します。ただし、はっきりした定義はありません。

出産がスムーズに進めば「安産」と呼ばれますが、こちらも明確な定義はありません。一般的には、陣痛の痛みが少なく、出産にかかる時間も短かかったり、赤ちゃんが人工的なサポートなく生まれてきたりする場合に、安産だといわれます。

難産では出産までに何時間かかる?

妊婦

陣痛が始まってから出産を終えるまで何時間かかると難産になる、という定義はありません。一般的に初産の人は12〜15時間かかるといわれているので、15時間以上かかると難産だといわれます。ただ、長い人は出産までに50時間以上かかったということもあるので、どれくらいかかるかは人それぞれです。

かかった時間だけでなく、陣痛の強さによっても大変だと感じる度合いは異なります。本人の感じ方にも左右されるので、難産かどうかを時間ではっきりと区切ることはできません。

難産になる原因は?

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難産になる原因にはいくつかあります。母体側や赤ちゃん側それぞれでトラブルが起こりえます。

母体側の原因

産道の異常

ママの骨盤と赤ちゃんの頭(児頭)の大きさが釣り合わないと、赤ちゃんがうまく産道を通過できず、難産になることがあります。

娩出力の異常

赤ちゃんを押し出すための子宮収縮が弱くて「微弱陣痛」になっていると、分娩がうまく進みません。弱い陣痛が2~3日ほど続くと体力を消耗し、赤ちゃんにストレスがかかりやすくなるため、陣痛促進剤や帝王切開で出産させる必要があります。

胎児側の原因

胎位の異常

通常、赤ちゃんは頭を下にして産道を下りてきますが、逆子の場合、赤ちゃんが下がってくるのをゆっくり待つ必要があるので、分娩に時間がかかります。

また、赤ちゃんの体が横になっている場合、へその緒が先に出てしまう「臍帯脱出」などのリスクがあります。

これらの胎位の場合、自然分娩ではなく帝王切開となることが多くあります。

回旋の異常

赤ちゃんは産道を通り抜けるように体をうまく回転させますが、この回転がうまくいかないと産道を通るのに時間がかかり、難産になることがあります。

巨大児や多胎児

過期産になったり、妊娠糖尿病になっていたりして赤ちゃんが巨大児になると産道をうまく通り抜けられなくなります。また、双子で自然分娩が可能なケースでも、分娩に時間がかかり、難産になりやすくなります。

難産になりやすい体質はある?

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難産になる原因は様々あります。どれが起こるかは人によって違いますが、以下のような体質の人は難産のリスクが高まるといわれます。

太り過ぎ

太り過ぎは「妊娠糖尿病」や「妊娠高血圧症候群」の引き金になる上、赤ちゃんが巨大児になる原因でもあります。脂肪が産道を狭めてしまうので、難産になりやすくなります。

痩せ過ぎ

妊娠中に適度に体重が増えないと、出産時に体力が足りなくなる可能性があります。また、赤ちゃんにも栄養が届かず、赤ちゃんの体力も低下します。分娩時にそれぞれ体力が足りないと難産になりやすく、帝王切開などの処置が行われます。

筋肉低下

妊娠中は体を動かしづらくなるので、筋力が落ち気味です。出産時はかなり体力を使うので、筋肉が少ないと、いきんだときの踏ん張りが効かなくなってしまいます。

高齢出産

初産が35歳以上の高齢出産だと、子宮頸管が柔らかくなりにくい、産道が伸びにくい、微弱陣痛が起こりやすい、といった理由から難産になりやすくなります(※1)。

また、高血圧や常位胎盤早期剥離、前置胎盤などのリスクも高くなります。

難産のときは胎児に影響がある?

リスク

難産になると胎児に必ず悪影響が出るわけではありません。ただ、出産が長引いたときに陣痛促進剤や帝王切開などの適切なサポートが遅れてしまうと、赤ちゃんに十分な酸素が届かなくなって、胎児仮死や呼吸障害に陥るリスクがあります。そのため、難産になったときには母体と赤ちゃんの体調を見ながら、もっとも安全な処置をとることが大切です。

陣痛が長引くと使用される陣痛促進剤のリスクが心配になるかもしれません。陣痛促進剤を使用する場合は、分娩監視装置をつけたうえで、赤ちゃんとママの様子を細かく見ながら適切な量が投与されます。

難産は予防できるの?

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これをすれば確実に難産を防げるというものはありませんが、妊娠中に健康的な生活を送っていることが一番の予防になります。以下の心がけを守って妊娠生活を過ごしましょう。

太り過ぎない

「食べていればつわりが治まるから」「安定期に入るとつわりが治まり、食べ物がおいしく感じられて、つい食べてしまう」という妊婦さんもいます。ですが、太りすぎるのは難産の大きな原因なので体重管理は徹底して太り過ぎないようにしましょう。

適度な運動をする

適度な運動をするのは、妊娠期間を健康に過ごすために不可欠です。体重の増え過ぎを防げるだけではなく、出産時の体力づくりにもなるからです。散歩やストレッチなど、軽めの運動から始めましょう。また、マタニティスイミングやマタニティヨガなどもおすすめです。

妊娠中の生活改善で難産を防ごう

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妊娠中は安産を目指して生活習慣の改善に取り組むことが大切です。食生活を変える、運動を始めるなど、できることから始めてください。出産予定日が迫ってきたら、呼吸の練習を始めたり、積極的に体を動かしたりを心がけましょう。

どんなに対策をしていても、出産当日には難産になってしまうことはあります。しかし、体力づくりに励んでいれば難産になっても、乗り越えられる力がつくはずです。健康的な妊婦生活を送って、元気な赤ちゃんを産んであげてくださいね。

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