ツボ押しとは、東洋医学に基づいた治療法で健康や疲労回復に効果があります。妊婦さんにとっては、妊娠期間中の体調不良やつわり抑制だけでなく、気になる逆子治療にも効果がある、優れた治療法です。今回は、赤ちゃんの負担にならず、自然に逆子を治すツボ押しの方法や注意点をご紹介します。
そもそも逆子とは?
そもそも逆子とはどういう状態でしょうか?通常は、胎児の頭が子宮口を向いて、逆立ちのような状態になっていますが、逆子は頭を上にして足やお尻が子宮口の方にある状態を指します。体位異常の一種で「骨盤位」と呼ばれることも。
また、逆子は、赤ちゃんの姿勢によって様々な呼び方があります。
● 単殿位(たんでんい):体をV字に曲げて、両足は頭の方へ上げている状態
● 複殿位(ふくでんい):膝を曲げて体操座りをしている状態
● 膝位(しつい):膝立ちして、膝小僧を子宮口に向けている状態
● 足位(そくい):足を伸ばして立ったような状態。足先が子宮口を向いている
どうして逆子になるの?
妊娠初期であればまだ赤ちゃんも小さく子宮内に余裕もあるので、くるくるとお腹の中で回っていて、妊婦健診のたびに逆子だったり普通の状態だったりします。
体が大きく成長してくると、子宮内で動き回れるスペースで狭くなってきて体を回転しにくくなっていきます。そんな妊娠中期・後期を経て、出産まで逆子である確率は全妊婦のうち5%程度といわれています。
逆子になる原因としては、具体的には骨盤や赤ちゃんが小さい、羊水過多、胎盤に異常がある、といったことが考えられますが、実は原因がわかっていない逆子の方が多く、誰でも逆子になる可能性があります。
ツボ押しとは?逆子を治すのに効果があるの?
出産時まで逆子になると、母体や赤ちゃんの安全のためにも帝王切開となるため、できるだけ逆子を治したいと思う妊婦さんが多いようです。
逆子を治す方法には逆子体操、外回転術、鍼灸、マッサージなどがありますが、伝統的な治療方法として「ツボ押し」も効果があるといわれています。
東洋医学では、血管や神経が網目のように張り巡らされていると同様に、「気血」の通り道があると考えられ、その通り道を「経絡」と呼びます。
その経絡上にある流れをつくるうえで重要なポイントを「ツボ」と呼び、そのツボを刺激することで滞った経絡の流れを調整して体の不調を改善します。
ツボ押しで逆子を治す方法は?
ツボを押すことで気血の流れが変わり、代謝や自然治癒力が高まるといわれています。そのため、子宮や胎児につながる経絡のツボを押して赤ちゃんや子宮の活動を促すことで、「逆子が治った!」という先輩ママも少なくありません。ツボ押しのやり方としては、次のことを意識してみましょう。
ツボ押しの位置
逆子に効果のあるツボを押します。ツボの位置は体格やその日の体調によって多少移動することがあるため、押してみて、「痛いけど気持ちが良い」と感じるような部分が不調に関係するツボであることが多くあります。
ツボ押しの力
あまりに痛みを強く感じるようなら力の入れすぎです。「痛いけど気持ちが良い」という状態を、自分の感覚を信じて力をかけて押しましょう。
刺激の方法は、ゴルフボールを使う、ドライヤーで温める、爪楊枝を使う、ペンを使う、など道具に頼るのも手ですね。ほかに、お灸や鍼でツボを刺激するのも方法の一つですよ。
それでは、具体的なツボの位置をご紹介します。
逆子に効果のあるツボ1. 至陰(しいん)
至陰は、足の小指のすぐ外側にあるツボで、「逆子の灸」と言われるほど代表的なツボです。逆子治療以外にも、難産や血行不良、頭痛や腰痛の改善にも効果があるとされています。
至陰を刺激することで副賢皮質ホルモンの分泌が促進され、子宮や胎児の動きが活発になるため、胎児がお腹の中で回転し、逆子が治りやすくなるといわれています。
また、血行が促進されることでママのお腹が暖まり、赤ちゃんが動きやすくなって、逆子が治るということも。血行が良くなると羊水が増加し、便秘の解消にもつながりますよ。
逆子に効果のあるツボ2. 三陰交(さんいんこう)
三陰交はくるぶしの頂点から指四本分ほど上がったところの、太い骨のすぐ横にあり、そこを刺激することで子宮周辺の下腹部や胸部にも作用し、体の冷えを解消してくれます。その結果、赤ちゃんが動きやすくなり、逆子が治るとされています。
逆子治療以外では、生理痛や更年期障害にも効果があります。前述した「至陰」と同時に刺激することで、相乗効果が期待できますよ。
ただし、三陰交はじっくりと体の深いところに作用するので、妊娠初期の妊婦さんには刺激が強すぎる場合があります。刺激する時期や方法は自己判断で行わず、妊婦健診時の産婦人科医や鍼灸院で確認してくださいね。
逆子に効くツボ押しはいつからできるの?
刺激するツボによっては、時期を間違えると刺激が強すぎてしまい、母体や赤ちゃんに悪影響を与えてしまうことがあります。ある程度赤ちゃんが安定し、かつ逆子治療を医師に勧められる妊娠30週(妊娠8ヶ月)頃からが良いとされています。
逆子のツボ押しは自分でやっても大丈夫?注意点は?
毎回鍼灸院や整体に通うのは、お金がかかり体力を消耗するので、ためらってしまう方も多いのではないでしょうか?しかし、自分自身で逆子治療のためにツボ押しを初めて行う前には、必ずプロの施術を受けましょう。
体内の状態や体つきに応じて、ツボ押しの効果や場所が違うので、まずはプロに体の状態を見極めてもらってください。自宅でのやり方や注意点も指導してもらえますよ。そして、鍼灸院に行く前にはツボ押しの刺激が体に合わないこともあるので、産婦人科医に確認をすることも忘れずに。
逆子にツボ押しを上手に取り入れて、改善しよう
逆子になる原因や治療の方法は様々ありますが、その中でもツボ押しは、安定期以降に行えば母体と胎児双方への負担が少ない治療法です。
気軽に治療を行えるため、日常的に取り入れやすく、逆子の改善以外にも冷えや体の循環を整える効果も期待できるので、ぜひ一度試してみてください。