【パパペディア】パパが絶対に知っておくべき、妊娠中のリスクまとめ

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

妊娠さえすれば、赤ちゃんは無事に生まれてくる…というわけではありません。妊娠・出産にはたくさんのリスクがあり、ママはこれらに対する不安と日々戦うことになります。

そこで今回は、妊娠中に起こりうる母体や胎児への主なリスクをご紹介します。ママを理解し一緒に進んでいくためにも、しっかりと把握しておきましょう。

流産・死産とはどんなリスク?

赤ちゃんが無事に生まれてきてくれるのは、奇跡的なことです。いくら万全を期していても流産や死産が起こる可能性はゼロではないこと、また流産や死産は赤ちゃん側に原因があることも多く、ママが気をつけるだけでは防ぐことが難しいという事実を、パパは理解しておきましょう。

流産とは

流産とは、妊娠22週未満で赤ちゃんが亡くなり、妊娠が継続できなくなることを指します。妊娠12週未満で起こるものを「早期流産」、妊娠12週〜22週未満で起こるものを「後期流産」と呼びます。

流産が起こる確率は全妊娠の8~15%とされています(※1)。つまり、決して珍しいことではありません。

流産の確率は、ママの年齢が上がるほどに高くなります。高齢の女性の方が受精卵に染色体異常が見られる確率が高いことが要因の一つと言われています(※2)。

死産とは

死産とは、妊娠12週以後の死児の出産のことを指します(※3)。上記で触れた「後期流産」は死産と見なされ、死産の確率は妊娠全体の1.6%です(※4)。

死産は妊娠36週以降の臨月に起こる可能性もあり、その確率は数百分の1ほどと考えられています。

死産の原因はさまざまで、ときには原因不明の死産が起こることもあります。赤ちゃんだけでなく、妊婦さんの命を危険にさらす可能性もあります。

早産とはどんなリスク?

早産とは、妊娠22~37週未満に出産することを指します。日本産科婦人科学会によると、日本の全出産のうち5~6%が早産です(※5)。

正期産の時期(妊娠37~42週未満)に生まれる赤ちゃんと比べて、早産の赤ちゃんは母体の外に出るには未熟なので、生まれたあとは新生児集中治療室(NICU)での治療が必要になることがあります。その後も呼吸器系の合併症や脳性麻痺などの病気を発症することが多くなります。(※6,7)

早産の原因は?

早産の主な原因には、以下のようなものがあります。

● 絨毛膜羊膜炎などの子宮内感染
● 子宮筋腫や子宮奇形などの子宮の異常
● 妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などの母体の合併症
● 双子以上の多胎妊娠
● 喫煙や痩せすぎ、ストレスなどの生活習慣
● 胎盤の異常
● 羊水過多

ママの努力ではどうにもできないような原因がほとんどですが、喫煙などの生活習慣に関しては、家族で気をつければ防げるものです。妊娠中に気をつけたいことについて、改めて徹底していきましょう。

切迫流産・切迫早産とはどんなリスク?

切迫流産とは、「妊娠22週未満で、胎児がまだ子宮内に残っているが、流産をしかけている状態」のことを指します。

また切迫早産とは、「妊娠22週0日~36週6日の間に、早産をしかけている状態」のことを指します。

つまり切迫流産・切迫早産は、それぞれ流産・早産の「一歩手前」の段階を意味します。

切迫流産・切迫早産になったら?

切迫流産・切迫早産になっても、安静にしていればそのまま妊娠を継続できる可能性があります。そのため切迫流産・切迫早産の診断を受けたママは、基本的に自宅で安静に過ごす、もしくは入院するよう指示されることがほとんどです。働いているママだと、休職しなければいけない場合もあります。

切迫流産・切迫早産になった場合、もしくはその恐れがあると診断された場合は、ママにはしっかりと休んでもらい、パパがあらゆる場面でサポートすることが大切です。

母子感染とはどんなリスク?

母子感染とは、ウイルスや細菌などが原因で妊婦さんが発症した感染症が、お腹の赤ちゃんにも感染することです。流産や早産を引き起こす危険がある感染症も多いため、早期発見につなげるために定期的な妊婦健診の受診が大切です。

母子感染はどのように起こる?

母子感染の経路には、以下の3パターンがあります。

● 胎内感染:赤ちゃんがお腹の中にいるときにうつる
● 産道感染:分娩が始まり、赤ちゃんが産道を通って出てくるときにうつる
● 母乳感染:授乳中に母乳を飲むことでうつる

母子感染を防ぐために気をつけるべき感染症は?

妊娠中に気をつけたい主な感染症は以下です。

風疹
B型肝炎
● C型肝炎
● ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症
● 成人T細胞白血病
● 梅毒
● B群溶血性レンサ球菌(GBS)感染症
性器クラミジア感染症

特に風疹は、ママが妊娠中にはじめて風疹ウイルスに感染し赤ちゃんに胎内感染すると、先天性心疾患や視覚・聴覚障害などの「先天性風疹症候群」を招く恐れがあり、最大限の注意が必要です。そのため妊婦さんの家族はすぐにでも風疹の予防接種を受けることが推奨されています(※8)。

性感染症については、性行為の際に必ずコンドームをつけることでリスクを減らすことができます。

ママの健康を守り、赤ちゃんへの影響を防ぐためにも、夫婦でできるかぎり予防することが重要です。

妊娠高血圧症候群とはどんなリスク?

妊娠高血圧症候群とは、妊娠中に何らかの原因で高血圧になるか、高血圧に加えて蛋白尿が出る病気の総称。全妊婦の約3〜7%に発症します(※9)。

妊娠高血圧症候群の代表的な疾患のうち、「妊娠高血圧」であれば高血圧のみが症状として現れ、高血圧による頭痛やめまいが起こることもあります。

妊娠高血圧よりも危険度が高い「妊娠高血圧腎症」の場合、高血圧だけでなく蛋白尿が出るようになります。症状が進行すると合併症を起こすことがあり、母体の臓器に機能障害を起こしたり、胎盤が分娩前に剥がれてしまったりと、母子ともに命の危険にさらされる場合もあります(※9)。

妊娠高血圧症候群の原因は?

妊娠高血圧症候群を発症する原因はまだはっきりとわかっていませんが、以下の条件に該当するママは発症しやすくなるので注意が必要です(※9,10)。

●年齢:15歳以下、40歳以上
●体形:肥満
●合併症:高血圧、甲状腺機能障害、糖尿病など
●遺伝:母親が妊娠高血圧症候群を発症したことがある
●出産経験:はじめての妊娠
●その他:多胎妊娠、胞状奇胎

生活習慣を整えることによってリスクを回避できる可能性が高まるので、栄養バランスの取れた食事、日々のストレスを溜めないこと、適度な運動と十分な睡眠など、ママが健康的な生活を送れるようサポートしてくださいね。

妊娠糖尿病とはどんなリスク?

妊娠糖尿病とは、妊娠の影響で発症する糖代謝異常の一種です。妊娠前から糖尿病と診断されていたわけではなく、妊娠中に初めて見つかったもので、糖尿病には至らないものを指します(※11,12)。

すべての妊婦さんのうち妊娠糖尿病と診断される割合は約12%で、今まで糖尿病とは縁がなかった人でも発症することもあります。(※13)。

妊娠糖尿病は自覚症状がないにも関わらず、発症すると母体や胎児に合併症など様々な悪影響を与えるため、検査による早期発見が不可欠です。

妊娠糖尿病の原因は?

妊娠中は、血糖値が上がりすぎないようにコントロールする働きを持つ「インスリン」が正常に働きにくく、軽度の糖代謝異常が起こりやすい状態になります。

以下の条件に当てはまるママは発症のリスクが高いので、注意が必要です(※12)。

● 年齢:35歳以上
● 体型:肥満
● 遺伝:糖尿病の家族・親族がいる
● 出産経験:巨大児を出産した経験がある
● その他:妊娠中に体重が急増した、尿糖で頻繁に陽性が出ていた、尿検査で、頻繁に尿糖陽性(プラス)が出る

妊娠高血圧症候群と同様、栄養バランスの取れた食事や、無理のない範囲での運動など基本的な生活習慣を整えることで、発症リスクを減らすことができます。パパも一緒に、健康的な生活を送れるといいですね。

前期破水とはどんなリスク?

前期破水とは、本陣痛が始まる前に赤ちゃんを包んでいる卵膜の一部が破れて、子宮の中の羊水が流れ出てくることです。前期破水は、全分娩の5〜10%に起こります(※14)。

分娩の準備が整う前に起きる破水なので、妊娠週数に応じて適切な対処が必要です。放っておくと子宮内が細菌感染を起こす危険性があります。

前期破水の原因は?

前期破水が起こる主な原因として以下が考えられます。

● 絨毛膜羊膜炎などの子宮内の感染症
● 羊水過多や多胎妊娠などにより、子宮内の圧力が高まる
● 子宮頸管が弱く、卵膜を支えられなくなる
● 妊娠中期以降の激しい性行為による、子宮への過度な刺激

特に出産予定日が近づいたら、ママの負担を減らすことが大切です。

ママが重い物を持つことや腰をねじって物を取ることをなるべく避けられるようサポートしたり、ママが疲れやお腹の張りを感じたときにゆっくり休ませてあげたり、パパにできることはたくさんあります。

妊娠中のリスクまとめ

リスク 概要

妊娠中のリスクを理解し、二人三脚で妊娠生活を送ろう

今回は妊娠中の主なリスクを紹介しましたが、ここに挙げたリスク以外にも様々な点でママは不安を感じているかもしれません。できる限り妊娠中のリスクを把握し、ママの不安に寄り添うことが、パパの大きな役割の一つです。

母子ともに健康で出産を迎えるためにパパはどんなサポートができるか、ママと話し合ってみてくださいね。

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