妊娠22週以前に注意すべき「切迫流産」とは?原因や症状、兆候は?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

切迫流産は「流産」してしまったのではなく「流産する恐れがある状態」を指すため、流産せずに妊娠を続けていける可能性もあります。そこで今回は、妊婦さんに知っておいて欲しい、切迫流産の兆候と症状、治療法や対処法についてご説明します。

切迫流産とは?

お腹 抑える 流産 23042210_m

切迫流産とは、「妊娠22週未満で、胎児がまだ子宮内に残っているが、流産をしかけている状態」です。

流産をすると妊娠を継続することはできませんが、切迫流産は「流産の一歩手前」の段階なので、子宮内の赤ちゃんの心拍が確認できれば、妊娠を継続できる可能性があります(※1)。

切迫流産の原因は?

携帯 調べる 23696177_m

妊娠12週未満の早期流産の原因は胎児の染色体異常が最も多いとされていますが(※3)、切迫流産の原因は、今のところわかっていません。

そのため予防も難しくもどかしくはありますが、あまり自分を責めすぎず、ママのお腹の中にとどまってくれている赤ちゃんの命を守るため、医師の指示に従って対応していきましょう。

切迫流産の症状・徴候は?出血や腹痛があるの?

女性 お腹 抑える1230217_m

切迫流産の症状や兆候として、少量の不正出血と軽い下腹部痛が挙げられます。

切迫流産ではなくても、妊娠初期に不正出血が見られることもありますが、自己判断はせず、かかりつけの産婦人科に連絡して状況を伝えましょう。

今のところ、少量の出血があった時点ですぐ病院へ行っても対処法はないため、救急外来を受診する必要はないと考えられています(※1)。

不正出血があっても、胎児の心拍が確認できるケースでは予後が良好であることが明らかになっているので(※2)、切迫流産かもと不安になりすぎず落ち着いて対処しましょう。

ただし、生理の時より出血量が多い場合やあまりにも腹痛がひどい場合には、切迫流産ではなく流産や異所性妊娠の可能性もあるため、すぐに産婦人科を受診してください(※1)。

切迫流産の治療法・対処法は?

女性 横になる リラックス 449730_m

現状では、切迫流産に対する有効な治療法はありません(※3)。

日本産科婦人科学会によると、ベッドで安静にして過ごすことによる流産の予防効果は確かではありませんが、長時間の労働や立ち仕事などによる体の負荷は流産のリスクになりうるとの報告もあります(※4)。

そのため妊婦さんの体の状態に応じて、自宅または入院して安静に過ごすよう指示されることがほとんどです。

切迫流産の治療で薬は使うの?

薬 瓶 疑問 飲み方 種類

切迫流産になった場合、切迫流産に伴う症状を和らげるために対症療法として、妊娠16週以降であれば薬を投与することもあります(※3)。

たとえば、出血や腹痛の症状を緩和する目的で止血剤や子宮収縮抑制剤が用いられることがあります。ただし、これらはあくまでも症状を緩和するだけであり、流産の予防効果については証明されていません(※4)。

切迫流産のリスクを減らすには?

煙草 タバコ NG 禁煙

先述のように切迫流産の原因はわかっていないため、あらかじめ予防をすることはできません。しかし、少しでもリスクを減らしたいという人は、タバコに注意しましょう。

厚生労働省によると、喫煙している妊婦さんはタバコを吸わない妊婦さんと比べて、早産や自然流産の危険性が高いことがわかっています(※5)。

喫煙と切迫流産の関係性を示すデータはありませんが、喫煙を続けている状態で切迫流産になった場合、タバコの影響で妊娠継続が難しくなる可能性があります。また、できるだけ受動喫煙も避けるように心がけてください。

切迫流産と診断されたら、とにかく安静に

妊娠22週未満に不正出血があったとしても、必ず切迫流産というわけではありません。また、切迫流産と診断されても妊娠を継続できる可能性もあります。

「ママ、少しゆっくりしてね」という赤ちゃんからのメッセージだと思って、切迫流産の状態が改善されるまでは体を休めましょう。産婦人科で診察を受け、医師の指示を守りながら、安静にして過ごしていくことで、切迫流産の状態が少しでも早く改善できるとよいですね。

こそだてハックに「いいね!」して情報を受け取ろう