多くの場合、分娩が進行してから破水が起こりますが、陣痛が来る前に破水が起こることもあるのをご存知でしょうか。なかには、流れ出る羊水の量が少なく「気づかないうちに破水していた!」という人もいるようです。
そこで今回は、破水の種類、陣痛が来る前に破水したらどうするのか、おしるしや尿漏れとの見分け方などをご紹介します。
破水とは?起こるタイミングによって種類があるの?
破水とは、赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れて、羊水が体外に流れ出ることをいいます。
破水は起こるタイミングによって、以下のように分類されています(※1,2)。
適時破水
陣痛が始まって分娩が進行し、赤ちゃんが生まれるまであと少しとなった子宮口が全開大の頃(分娩第2期)に破水することです。
いわゆる一般的な破水で、理想的なタイミングとされています。
早期破水
陣痛が始まっているものの、子宮口が全開大になる前に破水することです。
前期破水
陣痛が始まる前に破水することで、全妊娠の5〜10%に生じるとされています(※1)。最初は破水だと気づかず、おしるしや尿漏れだと思う人もいます。
破水したら、どうするの?陣痛が始まる前に起きたら?
破水すると赤ちゃんが無菌状態でなくなり子宮内感染を起こす可能性がありますが、適時破水や早期破水の場合は、そのまま分娩が進めば問題ないことがほとんどです。
前期破水の場合、妊娠週数によって子宮内感染や早産などのリスクが高くなるため、入院をして慎重な管理が必要となります。もし破水したと思ったら、すぐに病院へ連絡しましょう。
妊娠37週以降の前期破水
80%が24時間以内に、95%が72時間以内に自然に陣痛が来ます(※1)。そのため、基本的にはそのまま陣痛発来を待ちますが、母体や赤ちゃんの健康状態によっては分娩を誘発することもあります(※3)。
妊娠34週以降37週未満の前期破水
妊娠37週未満での出産は「早産」にあたりますが、「子宮内感染」のリスクのほうが大きいため、抗生物質を点滴して自然に陣痛が来るのを待つか陣痛を誘発します(※2,3)。
妊娠34週未満での前期破水
抗生物質を点滴したうえで、「子宮内感染」と「早産」の影響や、妊娠週数・赤ちゃんの推定体重などを考慮しながら、妊娠を継続するか早めに分娩をするかを決めます(※2,3)。
破水の量や色、匂いは?
もし前期破水が起きたら、破水だと気づけるのか不安になるかもしれません。
一般的に、前期破水したときの羊水には、量や匂い、色などに次のような特徴があるとされています。
● 安静時もしくは動くたびに、じわじわ、チョロチョロ出てくる
● 自分の意思で止められない
● 水のようなさらさらとした液体
● 無臭(生臭い・甘酸っぱいこともある)
● 無色透明(血が混ざったピンク色・黄や黄緑など濁った色のこともある)
おしるしは血が混じっていることが多い、尿漏れは自分の意思で止められてアンモニア臭がする、おりものは粘り気があって酸っぱい匂いがする、といったように、それぞれ破水とは違いがあります。
詳しい見分け方は下記の記事で紹介しているので、参考にしてみてくださいね。
破水したらどんな検査をするの?
前期破水をして病院へ行くと、まずは医師が腟鏡などを使って目で見て本当に破水しているかどうかを確認します(※2)。
判別が難しいときは、羊水が出ているかがわかる検査キットなどを用いて調べます。
破水の確認ができたら、採血をして子宮内感染が起きていないか検査して今後を決めることになります。
破水したときのために準備をしておこう
破水にはいくつかの種類があり、必ずしも分娩が進行してから起こるとは限りません。いざというときのために、臨月に入ったら入院バッグを準備しておき、破水したらすぐに病院へ向かえるようにしておきましょう。
本当に破水しているのか迷ったり、おしるしや尿漏れと区別がつかなかったりするときも、必ず病院に連絡するようにしてくださいね。