出産直前は予期しないことが起こるものですが、破水もその一つです。通常の破水は陣痛がきて産婦人科へ入院した後に起こりますが、陣痛前に破水が起こることもあります。なかには、流れ出る羊水の量が少なかったりして「気づかないうちに出産が近づいていた!」という先輩ママもいるようです。そこで今回は、破水したらどうすればいいのか、破水の量で種類が見分けられるのかなどをご紹介します。
そもそも破水って、どういう状態?

破水とは、胎児や羊水を包んでいる卵膜が破れて、子宮内の羊水が体外に流れ出ることをいいます。
一般的には、陣痛が強くなって子宮内圧が高まり、赤ちゃんの頭が下りてきて子宮口が開いてくると、その圧力に卵膜が耐えられなくなって破水が起こります。これを「適時破水」とよびますが、これ以外にも「破水の種類」はいくつかあります。
破水の量や色、匂いは?

臨月になると破水以外にも、おりものやおしるし、赤ちゃんが膀胱を圧迫しての尿漏れなどが増えてきます。そのため破水したら、それが破水だと気づけるのか不安になるかもしれませんね。
一般的に、破水には次のような量や色、匂いなどの特徴があるとされています。
● 安静時もしくは動くたびにじわじわ、チョロチョロ出てくる
● 自分の意思で止められない
● 甘酸っぱいなどの異臭がある(ただし、無臭の人もいて個人差がある)
● 透明、黄緑、黄色などの色をしている
それに対し、尿漏れは自分の意思で止められてアンモニア臭がする、おりものは酸っぱい匂いがして粘り気がある、おしるしは血が混じっていることが多い、というような違いがあります。
詳しい見分け方を関連記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
陣痛前に破水したらどうなる?

妊婦健診で「破水したらすぐに連絡してくださいね」と言われると、少しドキドキしてしまいますよね。本来なら陣痛がきてから病院で破水しますが、逆になってしまうこともあります。
破水したら、赤ちゃんと外の世界を隔てていた卵膜が破れるので、雑菌が入りやすくなり、感染を起こす可能性があります(※1)。そのため、できるだけ早い産婦人科への連絡と移動が必要になります。
ただ、破水は痛みを伴わないこともあり、先輩ママによっては、タクシーを待つ間に洗濯物をたたんだり破水で濡れた床を拭いたりする余裕があったという人もいます。破水から陣痛、出産までの間隔には個人差が大きくあるので、まずは落ち着いてすみやかに電話で病院へ連絡しましょう。
破水にも種類があるの?

陣痛がおきて産婦人科での分娩中に起こる適時破水はあまり意識する必要はありません。ただ、それ以外の「早期破水」「前期破水」「高位破水」については、自宅で破水に遭遇することもあるので、以下を参考に理解を深めておきましょう。
前期破水と早期破水
陣痛がくる前に破水するのが「前期破水」です。対して「早期破水」は、陣痛が始まった後に、子宮口が開いていないにも関わらず破水が起こった状態を指します。
前期破水・早期破水したら、卵膜が破れて、赤ちゃんが下りてくる前に羊水が子宮外に流れ出てしまいます。なかでも妊娠37週未満、つまり正期産の時期に入る前に起こった場合はリスクを伴うため、早急に適切な対応をする必要があります(※1)。
高位破水
適時破水は子宮口に近い位置(子宮の下方)の卵膜が破れ、一気に羊水が流れ出てくるため、破水したら妊婦さん自身でも「破水だ」とすぐにわかります。
しかし、卵膜の破れ目が子宮口から離れた位置(子宮の上方)で起きると、流れ出す羊水の量が少ないため、破水だとわかりづらいことがあります。これを「高位破水」といいます(※1)。
羊水がチョロチョロと少しずつしか流れないので、尿漏れとの見分けがつかないことが多いようです。破水かどうかは病院で検査をすればすぐ分かりますが、高位破水の見分け方を関連記事で紹介しているので、ぜひご覧ください。
破水したらどんな検査をするの?

破水したら、まずは医師が腟鏡などを使って目で見て確認し、判別できないときにはBTB試験紙などを用いて腟内のpHを測定します。羊水はアルカリ性の液体のため、試験紙がアルカリ性の状態を示すと破水の可能性が高くなります。
このほかにも、羊水中の成分を検査したり、顕微鏡で羊水の結晶を確認したりすることで、本当に破水なのかどうかを調べることもあります。
なお、破水したら赤ちゃんへの細菌の感染に気をつけなければならないので、慎重に判断する必要があります。
破水したら、どうすればいいの?

どの種類の破水であっても、基本的には破水したら分娩へと進みます。自宅や外出先など病院以外で破水したらすぐに病院へ連絡しましょう。早期破水が起こった場合、妊娠37週以降であれば正期産の時期に入っており、胎児の体の機能はほぼ完成しているので、そのままま分娩に進みます。
破水したら時間がたつにつれて赤ちゃんやママの子宮が細菌感染するリスクが高くなるため、破水後すみやかに陣痛が起きず、分娩につながらないようなら、陣痛促進剤などで強制的に陣痛を引き起こすよう産婦人科医から勧められることがあります。
破水後の生活の注意点は関連記事を参考にしてください。
前期破水や早期破水したらどうする?

前期破水は早期破水よりも早い妊娠週数で起こる可能性があります。もし妊娠37週未満に破水したら、赤ちゃんの体の機能が発達していない状態で出産する「早産」にあたるため、病院での入院管理となり安静にします。
もし細菌感染が起きていたら抗菌薬を、陣痛が始まっていたら陣痛抑制薬を投与することがあります。妊娠34〜36週に子宮口が開いてくる場合は、子宮収縮薬を使って分娩誘発を行ったり、陣痛が来るのを待ったりすることもあります(※1)。
高位破水したらどうする?

高位破水は自分では気づかないことも多いため、気づかないうちに羊水が少なくなって赤ちゃんの命に危険が迫ってしまう可能性もあります。
下着がぬれる回数が増えて下腹部に違和感があったら、念のため産婦人科で検査してもらいましょう。できればその日のうちに産婦人科を受診すると安心です。
破水したときのために入院準備をしておこう
破水にはさまざまな種類があり、卵膜の破れ方によっては見分けられないこともあります。いつもと何か違うと感じたらすぐ産婦人科で検査してもらいましょう。
また、いざ破水したというときのために、入院グッズは臨月に入ったら準備しておいて、破水したらすぐに産婦人科へ向かえるようにしておくのがおすすめですよ。