ヒプノバーシング(催眠出産)とは?出産の痛みがなくなるの?

監修専門家 助産師 鶴町 はるな
鶴町 はるな 茨城県立中央看護専門学校助産学科卒業後、総合周産期センターの産婦人科・NICU勤務を経て、クリニックでのフリースタイル分娩や無痛分娩にも携わってきました。現在は産後ケアや母乳外来を中心に活動しています... 監修記事一覧へ

「ヒプノバーシング(催眠出産)」と聞くと、「催眠術のように誰かにコントロールされるの?!」と怪しく感じてしまうかもしれませんが、そうではなく、とてもリラックスできて痛みが軽くなる出産方法の一つといわれています。今回は、「できるだけ痛くないお産にしたい」と考えている妊婦さんのために、ここ数年で注目が高まってきているヒプノバーシングについて、方法やメリット、デメリットなどをご説明します。

ヒプノバーシング(催眠出産)とは?

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「ヒプノバーシング(催眠出産)」は、ここ数年、イギリスのキャサリン妃やハリウッド女優のジェシカ・アルバなども実践した出産方法として注目を集めています。

自己催眠により心を落ち着かせ、痛みをほとんど感じることなく出産することが可能で、麻酔によって痛みを取り除く無痛分娩よりも自然なお産ができる、と考えられています。

実際、「医療に頼らず女性が持つ本来の力で産みたい」というナチュラル思考の女性が増えている今、ヒプノバーシングでの出産を希望する妊婦さんも少なくありません。

ヒプノバーシングの「催眠状態」とは?

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ヒプノバーシングの「ヒプノ」とは、「ヒプノシス=催眠」からきており、妊婦さんを催眠状態(潜在意識の開いた状態)、つまり深いリラックス状態にすることで痛みを和らげることができるとされています。

催眠といっても、妊婦さんが気づかないうちにお産が終わるというわけではありません。「出産は痛くて怖いもの」という気持ちを持たないために、出産に向けたポジティブなメンタルを作り、リラックスした状態で意識を保ったまま、出産に臨むのです。

ヒプノバーシングを実践した結果、「穏やかなまま出産を終えられた」「痛みよりもすっきりした気持ちになった」といった先輩ママの声もありますよ。

ヒプノバーシングは準備が必要?

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ヒプノバーシングは出産前の準備を大切にします。

まず、妊娠中に専門のヒプノセラピストがついている「出産準備プログラム」を受講し、アロマや好きな音楽でリラックスしながら、呼吸法を学んだり、出産イメージを膨らませたりします。

たとえば、「陣痛」ではなく「子宮波」と表現するなど、穏やかな出産のための言葉を学んだり、ネガティブな感情を解放するワークを行ったり、リラックスしたお産をするための呼吸法やエクササイズを練習したりします。

また、基本的にはパートナー(バースパートナー)も一緒に講習を受け、出産本番でも妊婦さんをサポーターとして支えることで、共に出産の喜びを分かち合うことを目指します。

プログラムの受講費用は、参加するカップル数などによっても異なりますが、全15時間ほどで4~9万円ほどです。

ヒプノバーシングの出産当日の流れは?

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ヒプノバーシングの産み方に決まりはありません。分娩台の上で産む人もいれば、海外では水中出産を選ぶ人もいるなど、産むときの姿勢も妊婦さんの自由とされています。

病院の方針やお産の状況にもよりますが、ヒプノバーシングで出産する場合、医師や助産師による手助けは最小限に抑え、妊婦さんとパートナーにそっと寄り添うことが多いようです。

ヒプノバーシングで大切なのは呼吸法で、腹式呼吸が基本です。「花びらがゆっくり開いていくイメージ」でお腹いっぱいに口から空気を吸いこんだあと、できるだけ細く長く鼻から息を吐きだします。

なお、正しい呼吸法を身につけたい場合は、専門のヒプノセラピストに教わりながら実践するのが良いとされています。

ヒプノバーシングは本当に痛くないの?

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お産の進み方や痛みの感じ方は個人差があるので、「ヒプノバーシングを実践すれば、100%痛くない」とは言い切れません。また場合によっては、医療の助けが必要になることもあります。

ヒプノバーシングを推奨する人たちは、出産準備プログラムで学ぶ呼吸法などのテクニックを練習すればするほど、穏やかで痛みが少ない出産ができる確率が高まる、と考えています。

医学的な観点でいえば、妊婦さんがお産に対する強い恐怖心を持っていると、陣痛が途中で弱まり、赤ちゃんが生まれるまでに時間がかかってしまうことがあります(※1)。

そのため、ヒプノバーシングによってリラックスすることで、よりスムーズな安産に近づく、ということはいえるかもしれません。

ヒプノバーシングのメリットは?

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ヒプノバーシングに関心がある妊婦さんは、メリットとデメリットの両方を把握したうえで検討したいですよね。

まずメリットとしては、「お産の痛みや不安が軽くなる」ということ以外に、次のような点が挙げられます。

医療の介入が少ない、自然な出産ができる

緊張を取り除いたリラックス状態をつくることで、いきむことなく、女性の体に備わった自然な力で赤ちゃんを産み出すことができるとされます。

そのため、陣痛促進剤や鎮痛薬、麻酔などの薬の使用や、会陰切開などの医療介入が少なくなると考えられています。

母体の負担が軽くなる

出産のときに無理な力を入れずに済むため、骨盤への負担や過呼吸のリスクを減らすことができるとされています。そのため、産後の回復が早いと考えられています。

体の回復が早いとリラックスして育児にも臨めるので、生まれてきた赤ちゃんも穏やかで夜泣きが少なくなるともいわれています。

パートナーとの強い絆ができる

基本的に、パートナーも「バースパートナー」としてヒプノバーシングのテクニックを練習し、出産に立ち会い、ママの心と体に寄り添い続けることになります。

そのため、夫婦同士の深い絆が生まれ、赤ちゃんにも強い愛着が湧くため、産後もパパが育児に協力的になりやすく、ママがマタニティブルーや産後うつなどになる確率が減るとされています。

ヒプノバーシングのデメリットや注意点は?

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一方、ヒプノバーシングには次のようなデメリットや注意点があることも覚えておきましょう。

効果に個人差がある

先述のとおり、ヒプノバーシングにはいくつかのメリットがあるとされていますが、実践した人全員が効果を実感できるとは限りません。

いざお産、となったときの精神状態や、ママや赤ちゃんの体の状態によっては、痛みが強かったり会陰切開などが避けられなかったりすることもあります。

パートナーの参加が必要不可欠

出産準備プログラムに通うときはもちろん、分娩時にもパートナーの立ち合いが不可欠なので、パートナーが仕事などで多忙な場合や、ヒプノバーシングに対する関心が薄い場合は難しいかもしれません。

学べる機会が限られている

ヒプノバーシングのテクニックを本格的に学べるクラスが限られているため、住んでいる地域によっては受講できる機会があまりないかもしれません。

ヒプノバーシングを推進している団体によっては、講師の出張講座を依頼できる場合もあるので、興味のある人は料金などの条件を調べてみると良いですね。

ヒプノバーシングはどこでできる?

病院

ヒプノバーシングを希望する妊婦さんは、バースプランを取り入れている病院を探し、「ヒプノバーシングの方法で出産をしたい」と医師や助産師に伝えたうえで取り組むのが一般的です。

ただし、ヒプノバーシングはお産への取り組み方の一つであって、医療行為ではありません。そのため、病院によっては実践が難しいところもあります。

また、あらかじめ希望を伝えていたとしても、お産の進み具合によっては「いきみ」を求められることや、母体や胎児の状況から陣痛促進剤の使用や会陰切開などが必要になることもあります。そのときは、ママと赤ちゃんの安全を第一に考えて、医師の指示に従うようにしましょう。

ヒプノバーシングはパートナーとも相談を

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ヒプノバーシングは、はじめての出産に不安を感じている人や、前回よりも穏やかなお産にしたいと考えている人などに向いているとされます。効果には個人差があり、実践する環境を整えるのは少し大変ですが、気になる人はパートナーやかかりつけの産婦人科医と相談してみると良いかもしれません。

最終的にどんな方法を選ぶとしても、納得のいくお産になるといいですね。

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