妊婦さんにとって、陣痛は不安なものですよね。でも、実際に陣痛がきたときに緊張していると体が固くなり、分娩に時間がかかってしまうこともあります。出産のときに一番大切なのは、リラックスすること。陣痛やお産の進行に合わせた呼吸法を取り入れると効果的ですよ。そこで今回は、妊娠中にできる呼吸の練習方法についてご紹介します。
陣痛・出産のときの呼吸法の効果は?
陣痛・出産が始まったら、できるだけ体をリラックスさせて臨むことが安産への近道になります。呼吸に気持ちを集中させることで、体の緊張がほぐれる効果も期待できます。
次からは、具体的に呼吸法のやり方を説明します。妊娠中から練習しておいて、分娩に備えるようにしましょう。
陣痛が始まったときの呼吸法は?
陣痛がまだそれほど強くないこの段階では、3秒くらいかけてゆっくり鼻から吸って、また3秒くらいで口から吐くペースで呼吸しましょう。陣痛の波が去ったら大きく深呼吸してください。
あまり早くから呼吸法を始めると疲れてしまうので、意識しない程度に行うのがコツですよ。
緊張しないように音楽を聴いたり、読書をしたりしながらリラックスして呼吸を整えるのもおすすめです。陣痛の周期が狭くなってきたら、産婦人科に電話してくださいね。
陣痛が強くなってきたときの呼吸法は?
徐々に陣痛間隔が狭まってきて痛みも増してくる頃には、2秒で鼻から吸って、2秒で口から吐くくらいのペースで呼吸をしましょう。
陣痛が強くなってくると、息を吸うことに意識をもっていくのが難しくなってくるので、息を吐きだすことを意識してください。息を吐きだせば、そのあとは自然に吸うことができます。
痛みのピークを過ぎたら、少しずつゆっくりとした呼吸にしていきます。痛くなったら、なるべく力を入れないように「フー」と、優しく息を吐いてください。
短い呼吸は過呼吸を引き起こしてしまうことがあるので、呼吸が速くならないように気をつけて、長めに吐くことを心がけてくださいね。
陣痛が本格的になったときの呼吸法は?
病院で陣痛の痛みがかなり強くなったら、今度は「ヒッ・ヒッ・フー」と痛みがなくなるまでリズムよく繰り返します。
「ヒッ・ヒッ」と短く息を吐き、最後の「フー」は力を抜く感じで少し長めに吐きます。いきみたくても、子宮口が全開になるまでは我慢です。
陣痛の波がきたときは、「フー・フー」と息を長く吐いていきみを逃しましょう。このときも力を入れないようにリラックスしてください。痛みが強いときは、「ふわー」と声に出すと力が抜けやすいですよ。相当辛い段階ですが、自分が一番楽な方法で乗り切りましょう。
いきみを逃がすのが難しくなってきたら、「ヒッ・ヒッ・フー、ウン!」と短くいきんでみてください。腹圧をかけると少し楽になりますよ。
いきみの指示が出てからの、分娩室での呼吸法は?
医師からいきみの指示が出たら、いよいよ分娩室へ。痛みのないときはリラックスしてしっかり呼吸しましょう。赤ちゃんも苦しいときなので、しっかり酸素を送ってあげてください。許可が出るまでは、いきみを逃す呼吸で頑張りましょうね。
「いきんでOK」と指示が出たら、焦らず、まずは大きく2回深呼吸。3回目で大きく息を吸い込んだら息を止め、便を出すように肛門へ力を入れていきみます。苦しくなったら、すばやく息を吸い直して、再チャレンジしてください。1回の陣痛で2回ほどいきみます。
いきみストップの指示が出たら、「ハッハッハッ」と短い呼吸で赤ちゃんが下りてくるのを待ちましょう。
赤ちゃんの頭が常に出た状態(発露)になると、全身の力を抜き切るようなつもりで、「フー・フー」と深く長く息を吐きます。
赤ちゃんが産まれた後の呼吸法は?
赤ちゃんが産まれた後、しばらくすると胎盤も外に出ます。この頃になると、ママもへとへとで「ぜえぜえ」といった呼吸に変わっているかもしれませんね。
大きな仕事を終えた後は、呼吸法は意識せず、リラックスしてゆったりと呼吸して、赤ちゃんとの対面を待ちましょう。
妊娠中に呼吸法を練習しておこう
タイミングごとに様々な呼吸法があり、難しそうに思えるかもしれません。妊娠中から何度か練習を繰り返して体にインプットさせましょう。でも、完全にマスターしていなくても大丈夫です。
実際に分娩が始まってしまうと、痛みで呼吸に意識がまわらなくなるものですが、助産師さんが隣で呼吸の方法やいきむタイミングをサポートしてくれることがほとんどです。出産が始まったら、練習した呼吸法はあくまでも参考程度で大丈夫ですよ。
正しい呼吸法を身につけるというよりは、自分がリラックスできる呼吸の仕方を見つけることが大切です。今回の呼吸法以外では、ソフロロジー出産法という、ただひたすら「長くゆっくり吐く」呼吸法などもあります。出産時の痛みや不安が少しでも軽減できるよう、ぜひ色々実践してみてくださいね。