子供がかかる病気には、肌に赤い発疹が出るものもあります。今回は、子供に赤い発疹が出たときはどんな病気が疑われるのか、熱がなくかゆみがあるとき・かゆみがないときなど、熱やかゆみの症状別に疑われる病気についてご説明します。
子供の発疹にはどんな種類がある?熱やかゆみ、場所の違いは?
「発疹」とは、皮膚に出るさまざまなブツブツや吹き出物の総称です。
つまり、ひと口に発疹といっても、その形や色、かゆみのあり・なし、大きさは様々です。
発疹には、それぞれ下記のような症状や種類があります。
発疹の形状
● 水疱(みずぶくれ):内部に水溶性の内容物を含んだ発疹です。引っかいたりつぶしたりすると、なかから水分がにじみ出てくることもあります。水疱瘡で多く見られます。
● 丘疹:蚊に刺された跡のように、小さく皮膚が盛り上がった形の発疹です。
● 膨疹:皮膚がやわらかく盛り上がった状態の発疹です。
● 斑:皮膚が盛り上がったりはせず、限られた範囲で皮膚の色が紅色や紫色に変化した状態です。
発疹の色
赤、茶、黒、紫などに変化することもあれば、ほとんど色の変化がない場合もあります。
発疹が出る場所
顔、手、足、お腹など、体のどこか一部にだけ発疹が出ることもあれば、全身に出ることもあります。
発疹にかゆみや痛みはあるか
かゆかったり、痛かったりする発疹もありますが、何も感じない発疹もあります。
発疹以外に熱などの症状があるか
発熱や鼻水、咳などの風邪に似た症状や、関節痛など体の痛みを伴うこともあります。
ここからは、子供に赤い発疹が出たときに疑われる病気を、熱のあり・なし、かゆみのあり・なし別にご説明します。
子供に赤い発疹!「熱なし・かゆみなし」の場合に疑われる病気は?
子供に赤い発疹が出て、熱がなく、かゆみもない場合は、以下の病気の可能性があります。
水イボ(伝染性軟属腫)
幼児から小学校低学年にかけて発症する、子供特有のやわらかいイボです。
直径1〜5mmほどの小さなイボが、体や手足にできます。イボそのものにかゆみはありませんが、イボをかいた手から感染し、イボはどんどん増えていきます。
放置しておいても半年〜1年程度で治りますが、見た目を気にしたり、他の子供にうつしてしまわないように、イボを取り除いたり薬を塗ったりして治療をすることもあります(※1)。
子供に赤い発疹!「熱なし・かゆみあり」の場合に疑われる病気は?
子供に赤い発疹が出て、熱はなく、かゆみがある場合は、以下の病気の可能性があります。
伝染性紅斑(りんご病)
小学校入学前後〜低学年くらいの子供に多く発症する病気です。
頬が赤くなり、手足にレース模様のような赤い発疹が出ます。発疹は少し盛り上がった鮮やかな赤色になることが多く、かゆみを伴います。
症状が現れたときには感染力がなくなっており、自然に治ることが多いため、特別な治療は行われません(※1)。
汗疹(あせも)
首、お腹、背中、わきの下など、汗が出て湿気がたまりやすい場所に赤く小さい発疹が出ます(※1)。
汗を出す汗腺の活動が活発な子供がなりやすく、発疹にはかゆみを伴います。
患部を清潔にし、必要に応じてステロイド薬で治療を行います。
小児ストロフルス
虫の活動が活発な春から夏にかけて起こりやすい病気で、虫刺されの跡に多く発症します。
強いかゆみを伴った赤い発疹が手や足などにでき、水ぶくれになることもあります(※1)。
蕁麻疹(じんましん)
形の一定しない、もっこりと盛り上がった赤い発疹が出ます。
発疹は徐々に広がったり、場所を変えて繰り返し出てきたりします。
虫刺されなどの跡がなく、かゆみを伴う発疹である場合は蕁麻疹の可能性があります。
蕁麻疹にはいくつか種類があり、運動などで汗をかいた後にできるもの、寒い時期にできるもの、光に当たることや、金属などに触れたアレルギー反応で起きるものもあります(※1)。
また、食べ物や薬のアレルギー反応としても起こります。
アトピー性皮膚炎
まず、顔や耳たぶの下、首、肘や膝の関節などの皮膚がやわらかい部分に、粉をふいたようなかさついた状態が見られます。
乾燥した頭皮に湿疹やかさぶたができたり、手足の皮膚が荒れたり、肩や背中に湿疹ができたりします。湿疹には強いかゆみがあります。
夏は細菌が感染してとびひとなり、じゅくじゅくしたり、冬は乾燥してガサガサしたりします。
幼少期に発症することが多く、生後2ヶ月頃から症状が現れることもあります(※1)。
成長とともに治まるケースもありますが、最近では、成人してもなかなか治らない人が増えています。
おむつかぶれ(おむつ皮膚炎)
おむつをしているとお尻が蒸れ、そこにおしっこやうんちとともに細菌やかびが発生することで、皮膚が炎症を起こします。
お尻が赤くなったり、小さな赤い発疹ができたりします(※1)。
おむつかぶれを治すには、おむつをこまめに取り替え、お尻を清潔に保つことが大切です。お尻の汚れがひどいときは、シャワーなどで汚れを流すと良いですね。
アレルギー性紫斑病
3~10歳の男の子に多く発症する病気で、わずかに盛り上がった発疹が両足の関節を中心に現れます(※2)。
発疹は蕁麻疹のような形で、わずかなかゆみを伴います。発疹は最初は深い赤色で、そのあと紫色に変化します。
アレルギー性紫斑病を発症すると2/3の人に膝・足首の関節痛が現れ、歩くのが困難なほど痛む場合もあります。
また、半数の人には嘔吐を伴う腹痛が現れ、入院や手術が必要になる場合もあります。
まれに腎炎を伴うこともあり、注意が必要な病気です。
子供に赤い発疹!「熱とほぼ同時・かゆみあり」の場合に疑われる病気は?
子供に赤い発疹が出るのとほぼ同時に熱も出て、かゆみがある場合は、以下の病気の可能性があります。
手足口病
主に夏に流行し、5歳以下の子供に多い感染症です(※3)。
口のなかや手のひら、足の裏、足の甲などに、2~3mmの水ぶくれのような発疹が現れます。口のなかにできると、痛みなどの不快感を伴います。
1/3の人には発熱が見られるものの、高熱になることはほとんどありません。
多くの場合、数日のうちに治りますが、まれに髄膜炎や脳炎などを合併することもあります。
とびひ(伝染性膿痂疹)
破れやすい水ぶくれ状の発疹が体中にでき、それらが破けたりすることで菌が広がっていく病気です(※1)。
「飛び火」のように水ぶくれがあっという間に広がっていく様子から、「とびひ」と呼ばれています。
水ぶくれには強いかゆみがあり、症状が悪化すると発熱や喉の痛みを伴うこともあります(※4)。
ヘルペス湿疹
アトピー性皮膚炎や皮膚が弱い子供に単純ヘルペスウイルスが感染することで発症します。
発熱や、たくさんの水ぶくれ状の発疹が現れます(※2)。口の中やその周辺にできることもあります。
川崎病
川崎病は、4歳以下の子供が発症しやすく、特に1歳前後にかかることが多い病気です(※1)。
発熱、咳、鼻水など、一般的な風邪のような症状から始まり、以下のような特徴的な症状が現れます。発疹はかゆみを伴うこともあります。
● 高熱が5日以上続く
● 目が充血する
● 唇が腫れ、舌がいちごのようにブツブツになる
● 初期にリンパ腺が腫れる
● 発熱後2〜3日で全身に発疹が出る
● 手足が赤く腫れ、やがて指先の皮がむけてくる
原因ははっきりとわからないものの、ごくまれに死に至る可能性もある病気なので注意が必要です。
子供に赤い発疹!「熱の後・かゆみあり」の場合に疑われる病気は?
子供に赤い発疹が熱の後に出てかゆみがある場合は、以下の病気の可能性があります。
麻疹(はしか)
発熱や咳、くしゃみといった風邪のような症状が出た数日後に、白い斑点が口内の粘膜に現れます。
その後、熱は一度下がるものの再び上がり、高熱とともに全身に大きな発疹が出ます。
発疹同士がくっついて大きくなることもあり、まれにかゆみを伴うこともあります。発疹は色素沈着をしますが、次第に薄くなっていきます。
多くの場合7~10日ほどで回復しますが、肺炎などを起こし重症化することもあり、注意が必要です(※1)。
風疹
軽い発熱や咳など、風邪のような症状とともに、小さな赤い発疹が全身に出ます。
発疹にかゆみがあってもごくわずかで、発疹が大きくなることもありません(※1)。
多くの場合、症状は3~4日で治まります。
水疱瘡(水痘)
軽い発熱や頭痛の後に、赤い発疹が顔や体に出始め、全身に広がっていきます。ときには頭や口のなかにも発疹ができます。
発疹はやがて水ぶくれのような状態になり、2~3日でかさぶたになります(※1)。発疹は次々にできるため、発疹・水ぶくれ・かさぶたが混在する場合もあります。
発疹や水ぶくれはかゆみを伴い、かきむしると化膿して跡が残ることもあります。
9歳以下の子供がかかることが多く、大人がかかると重症化する傾向があります(※5)。
溶連菌感染症(猩紅熱)
38~40度の発熱や喉の痛み、食欲不振など風邪のような症状から始まります。喉が赤くなり、舌にイチゴのようなブツブツの赤みが現れます。
発熱から1~2日後に、かゆみのある小さな赤い発疹が全身に現れることもあります(※1)。
1週間ほどで症状が治まりますが、数週間後にわきや手の指などの皮膚がむけることもあります。
突発性発疹
突然高熱が出て、喉が赤くなったり下痢をしたりします。
熱は3~4日後に下がり、その前後に、小さな赤い発疹が体や首に現れます(※6)。かゆみがあってもごくわずかです。
生後6ヶ月から1歳半までに起こることが多く、5歳以上で発症することはほとんどありません。
子供に赤い発疹!対処法は?
子供に赤い発疹が出た原因があせもやおむつかぶれの場合は、患部を清潔に保つことで、自然に治ることがほとんどです。
しかし、発疹とひと口に言っても、原因となる病気は実に様々です。「あせもかな?」と思っていても、実は違う病気が隠れている可能性もあります。
病気を自己判断しているうちに症状が悪化してしまうこともあるので、子供の発疹が続くときは、医師に相談するようにしましょう。
薬を使用したい場合も、自己判断では危険なこともあります。病院を受診し、症状にあった薬を処方してもらうようにしてください。
子供の赤い発疹が気になったら早めに病院へ
今回は、子供に赤い発疹が出た場合に疑われる病気を、症状別にご紹介しました。
「発熱が見られる」とした病気でも、場合によっては発熱せず、発疹だけ出ることもあります。かゆみも同様です。
そのため、症状と照らし合わせて「この病気に違いない」と決めつけるのではなく、病気を疑う参考程度に留めてください。最終的には医師に判断してもらう事が大切です。
発疹以外にも気になる症状が見られたり、発疹によるかゆみがつらかったりする場合には、早めに病院を受診しましょう。