「溶連菌感染症」は、幼児や就学児のあいだで感染・発症しやすい病気です。発熱や喉の腫れなどの症状に加え、体に発疹が出ることもあるので注意が必要です。今回は、溶連菌への感染が原因で起こる発疹について、体の部位によって異なる症状や治療法についてご説明します。
溶連菌感染症は子供や赤ちゃんがかかりやすい?
A群β(ベータ)溶血性連鎖球菌(溶連菌)という細菌の感染によって起こる病気の総称を、「溶連菌感染症」といいます。「猩紅熱」もその一つです。
2~5日の潜伏期間の後、くしゃみや唾液から感染することが多いです(※1)。
0~2歳の赤ちゃんが溶連菌に感染した場合、風邪のような症状のみが現れ、熱や発疹が現れず、他のウイルスによる咽頭炎や扁桃炎との区別がつきづらいのが特徴です。
3歳以上の子供の場合も、最初は咽頭炎や扁桃炎といった風邪症状を示しますが、そのあと、38~40度前後の急な発熱や強いのどの痛み、発疹、イチゴのように舌の表面にぶつぶつができる「イチゴ舌」になることがあります(※2)。
まれではありますが、無治療の場合だと症状は治まっても、2~3週間経過して、リウマチ熱や急性糸球体腎炎といった合併症を起こすことがあります。
溶連菌感染症はウイルス性の風邪とは違い、細菌性の病気なので、症状が長引く可能性もあります。高熱が出て、喉が腫れて痛むときや、発疹が出たときには、必ず小児科を受診してくださいね。
溶連菌に感染すると発疹が出るの?症状は?
先述のとおり、赤ちゃんが溶連菌に感染しても発疹が現れず、単なる風邪症状だけが現れることも少なくありません。しかし、3歳以上の子供の場合、発熱後1~2日すると、かゆみを伴う鮮紅色の発疹が全身に現れ、おさまった後その皮膚がポロポロとむけることがあります。
「手指・手」の発疹の症状
手の指先の皮がむけてつるつるになったように変化したり、皮膚が赤く変色したりすることがあります。指の間に小さな赤い斑点(紅斑)が認められることも。多くの場合、指の皮が白いくず状にむけてきます。
また、手の皮膚がかさかさ、ごわごわしてきたり、手のひらのしわに沿って白く皮がむけてきたりすることがあります。
「前腕部」の発疹の症状
前腕部は、小さな赤い斑点状の湿疹が見られるのが特徴です。よく見るとざらざらした少し盛り上がった感じのする小さな湿疹のこともあり、にきびに似た丘疹がみられることもあります。
「足指・足」の発疹の症状
足指の変化として、小さな斑点ではなく指の間に紅斑の広がりが認められることがあります。足の甲にも、よく紅斑が現れます。この斑点は、下腿部や大腿部にも広がる傾向があります。
「顔」「体」の発疹の症状
鼻や頬に紅斑が広がり、にきびに似た丘疹(盛り上がった発疹)がみられることがあります。また、かさかさとした皮膚の荒れのような変化が見られます。
溶連菌の発疹に対する治療法は?
溶連菌に感染した場合、ペニシリン系など抗菌薬の服薬が基本となります。適切な抗菌薬を内服すれば、多くは24時間以内に解熱します(※1)。高熱や発疹など溶連菌感染症が疑われる症状が続く場合は、小児科ですぐに検査を受け、治療薬を処方してもらいましょう。
前述のとおり、溶連菌感染症を無治療で経過した場合には、頻度は低いですが急性糸球体腎炎やリウマチ熱を合併する危険性があります。溶連菌を体内から完全に取り除く前に服薬をやめないよう、診断から10日間は医師の指示通りに最後まで治療を続けてくださいね(※2)。
溶連菌感染症の発疹は、抗菌薬を正しく服用して直しましょう
溶連菌感染症は細菌性の病気なので、治療方法ははっきりとしています。症状を放置せず、早めに小児科にかかることが大切です。
子供にとっては、発熱に伴って体のあちこちにできる発疹によるかゆみを我慢するのが大変かもしれませんが、医師の指示に従って正しく抗菌薬を服薬すれば溶連菌を退治することができます。
途中で薬を飲むのをやめてしまわないよう、パパやママがしっかりフォローしてあげたいですね。どうしてもかゆみがひどいときには、抗生物質に加え、かゆみ止めの塗り薬も処方してもらえないか医師に相談してみてください。
また、溶連菌感染症は大人に感染することもあります。子供がかかったら、パパやママも手洗いやうがいを徹底する、タオルを共有しないといった対処をして、家族内で感染しないよう予防しましょう。