「小児ストロフルス」という病気をご存じですか?あまり聞き慣れない病名だと思いますが、虫刺されをきっかけに発症する皮膚の病気です。「ただの虫刺されに見えるから、自然に治るかな」と思って放置していると、小児ストロフルスが悪化して、子供がつらい思いをしてしまうことがあるので注意が必要です。今回は小児ストロフルスについて、原因や症状、治療法、予防法などをご説明します。
小児ストロフルスとは?原因は?
小児ストロフルスとは、かゆみを伴った赤い発疹が腕や足などにできる皮膚の病気です。小児ストロフルスは「痒疹(ようしん)」の一種です。
痒疹の中でも、1ヶ月以内に治まる「急性痒疹」と、何ヶ月にも渡って症状が現れる「慢性痒疹」の2つに分けられますが、小児ストロフルスは急性痒疹ですが、主に乳幼児特有の病気で、大人ではほとんど見られないため、「小児」という冠がつけられています。
虫の活動が活発になる春から夏にかけて起こりやすい傾向にあります(※1)。
ノミやダニ、蚊などによる虫刺されの後に発症することが多いため、虫の唾液成分に対する免疫機能が未発達で、過剰に反応してしまうことが原因と考えられています。
小児ストロフルスの症状は?
小児ストロフルスを発症すると、体の色々な箇所に発疹ができますが、その大きさは米粒大から親指大まで様々です。また、強いかゆみが生じるため、掻き壊して、とびひを引き起こすこともあります。
ひどい場合には水ぶくれができますが、褐色の小さなしこりに次第に変化していきます。軽い色素沈着は残りますが、一般的には成長とともに薄くなって目立たなくなります。
小児ストロフルスの診断・治療法は?
小児ストロフルスは、基本的に視診やその経過によって診断されます。ただし、症状がひどい場合には、血液検査を行って、アレルギー反応の強さや病気の進行具合を調べることがあります。
小児ストロフルスの治療では、強い抗炎症作用を持つステロイドの塗り薬を使うのが一般的です。かゆみがひどい場合には、抗アレルギー薬を服用します(※1)。
子供にステロイドを使うのに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、医師の指示に従って適切に使えば、大きな問題が起こることはほとんどありません。小児ストロフルスの治療について、疑問や不安に感じることがあれば、すぐに医師に尋ねるようにしましょう。
小児ストロフルスの予防法は?
小児ストロフルスを予防するには、虫に刺されないようにすることが大切です。室内はこまめに掃除して、ノミやダニを増やさないようにしましょう。
茂みの多い公園など、虫が出やすい場所に出かけるときは、できるだけ長袖・長ズボンを着せてあげてください。気温が高く長袖・長ズボンの着用が難しい夏場は、露出している部分に虫除けスプレーをかけて、虫刺されを防ぎましょう。
また、夜中の睡眠時に、蚊に刺されることも多いので、家の中に蚊が入ってきやすい場合は、子供用の蚊帳を使ったり、蚊除けの芳香剤を使ったりして予防するのも効果的です。
それでも虫に刺され、小児ストロフルスが発症したときは、子供が患部を掻き壊さないように、手の爪を短く切っておきます。
小児ストロフルスには早めの対処を
小児ストロフルスはその強いかゆみから、子供が患部を掻き壊してとびひになったり、寝つきが悪くなったりします。小児ストロフルスが疑われる症状が見られたら、すぐに皮膚科を受診しましょう。
虫刺されの予防策を行いながら、入浴のときなど定期的に子供の皮膚を観察して、子供をつらい皮膚の病気から守っていけるといいですね。