血管拡張性肉芽腫とは?原因や症状、治療法は?手術費用は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

手足にできた小さな赤いしこりは「血管拡張性肉芽腫」かもしれません。名前だけ聞くと怖い病気のようですが、比較的若い人に起こりやすいありふれた病気です。重い病気ではありませんが、自然に治ることはないのできちんと治療する必要があります。今回は血管拡張性肉芽腫とはどういう病気か、原因や症状、治療法などをご説明します。

血管拡張性肉芽腫とは?どんな症状が出る?

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血管拡張性肉芽腫は、皮膚や粘膜の表面に近い毛細血管異常が増殖してできる良性の腫瘍です。毛細血管が絡み合って盛り上がり、ポコッとした血豆のようなしこりができます。顔や唇、指先や足先などにできやすく、しこりの大きさは5~15mmほどで触ると少し痛みを感じることがあります。

腫瘍の膜は薄く、しこりも柔らかいので簡単につぶれます。毛細血管が増殖してできているので、つぶれると大量に出血するのが特徴です。つぶれた後もかさぶたになったりジュクジュクしたりして再発することが多いため、きちんとした治療が必要です。また、血管拡張性肉芽腫ではなく悪性の腫瘍の可能性もゼロではないので、しこりが大きくなったり増えたりするときは早めに皮膚科を受診しましょう。

血管拡張性肉芽腫の原因は?妊娠中にできやすい?

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はっきりした原因はわかっていませんが、血管拡張性肉芽腫は、外傷や細菌感染などをきっかけに毛細血管が異常増殖することによるものであると考えられています。

また、妊娠中に発症しやすく、女性ホルモンの一つ「エストロゲン(卵胞ホルモン)」が作用しているともいわれます。本来、血管拡張性肉芽腫は自然治癒しにくいのですが、妊娠中にできたものは出産後に自然消滅することも稀にあります。

血管拡張性肉芽腫の治療法は?手術費用は?

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血管拡張性肉芽腫は基本的には自然治癒することはないので、手術で切除するのが一番確実な治療法です。切除する方法には、液体窒素でしこりの部分を凍らせて取る凍結療法、電気メスで焼き切る方法の2種類があります。凍結療法は少しずつ細胞を壊死させていくので、何度かに分けて施術を受ける必要があります。電気メスで焼き切る場合には1回の手術で終わります。ただし、どちらの場合も確実に除去できていないと再発する可能性があるので注意が必要です。

腫瘍の大きさや数、治療内容によっても治療費は違いますが、切除手術でも凍結療法でも除去するまでに1万円前後はかかると考えてください。

血管拡張性肉芽腫は予防できるの?

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血管拡張性肉芽腫は予防できる病気ではなく、できてしまったときに適切に治療することが大切です。特に妊娠中は発症しやすくなっているので、普段から自分の肌の状態を確認しておきましょう。

血管拡張性肉芽腫自体は怖い病気ではありませんが、引っかいてつぶしてしまうとそこから感染症を起こす可能性も考えられます。放っておいても治ることはないので、できるだけ早く病院を受診して治療を始めてくださいね。

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