子供はよく風邪をひきますが、特に保育園や幼稚園に通い始めると、その回数も増えます。発熱しても微熱であれば「ただの風邪かな?」と思えても、38度を超える高熱になってしまうと心配になりますよね。さらに、高熱が続いて下がらない、となればなおさらです。そこで今回は、子供の熱が下がらないときの原因や対処法についてご紹介します。
子供の熱が下がらない!高熱が続くときはどんな病気?
子供は大人に比べて体温が高いので、普通の風邪でも38度以上の熱を出すことはよくあります。高熱は体に侵入した病原菌やウイルスを倒すために出るので、それ自体は問題ありません。
ただし、普通の風邪の熱であれば2~3日で治まりますが、高熱が3~4日続いて下がらないときには、以下の原因も考えられるため、早めに小児科を受診しましょう。
突発性発疹
2歳未満の子供・赤ちゃんに比較的多く見られる疾患で、38度以上の熱が3~4日続きます(※1)。最初は高熱以外に症状はありませんが、高熱が下がった後は体中に発疹が出てくるのが特徴です。
発疹はかゆみが伴わないこともあるものの、発疹自体の不快感から不機嫌になり、一日中グズッてしまうことも。
また、高熱が3日以上続いていなくても、解熱したタイミングで発疹が出たときは突発性発疹、あるいは夏風邪などのウイルス感染と考えられます。
水疱瘡
主に乳幼児や小学校の時期に発症する感染症で、発疹・水ぶくれが出るとともに、発熱します。高熱が出たら、着替えのときなどに全身をチェックして水ぶくれがないかを確認してください。
水ぶくれは次第に全身に拡大していき、強いかゆみを伴います。水ぶくれをかきむしってしまうと、他の部位にうつったり、傷口が膿んで傷跡が残ったりする可能性があるため、子供がかきむしる前に水ぶくれを見つけて対処することが大切です。
発症から48時間以内であれば、ウイルス増殖を抑える内服薬と塗り薬を処方してもらえます(※2)。こまめに塗り薬を塗ってあげましょう。
ヘルパンギーナ
38~40度の発熱が突然おこり、1~3日ほど続きます(※3)。口の中に1~5mmの小さな水ぶくれができ、傷つくと潰瘍になって痛むのが特徴です。
夏に流行することが多く、患者の年齢は5歳以下が90%以上を占めます。
RSウイルス
鼻水のあとに38~39度の発熱と咳が続きます。ほぼ100%の子供が2歳までに一度はRSウイルスに感染し、特に初めてかかったときに肺炎や細気管支炎を起こしやすいという特徴があります(※4)。
生後6ヶ月以下の赤ちゃんは重症化することが多く、呼吸困難などのために入院が必要になることもあります。
子供の熱が5日以上、下がらないときはどうしたらいい?
子供の熱が5日以上下がらないのはまれですが、長引く場合は通常の風邪とは異なる病気の可能性もあります。発熱した時点で一度受診していても5日以上続いているときは、再度、小児科を受診しましょう。
下記は、子供の熱が5日以上下がらないときに疑われる病気の例です。
川崎病
川崎病は原因がわかっていない病気です。高熱が続き、全身の血管やリンパが炎症を起こして、ひどい場合には心臓に栄養を送る冠動脈に血管炎が起きて、心臓に負担がかかってしまうことがあります(※5)。
川崎病の場合、高熱のほかに、舌が真っ赤になってぶつぶつができる「イチゴ舌」や唇が腫れ、眼の充血、手足のむくみ、首元のリンパの腫れ、体の発疹、BCGの発赤といった特徴的な症状が合わせて現れるので、これらの症状が見受けられたときは、すぐに受診してください。
肺炎・気管支炎
ウイルスや細菌に感染して、肺炎や気管支炎が引き起こされることもあります。痰が混じったひどい咳が出るので、咳の音や呼吸音を注意して聞きましょう。
高熱とともに呼吸がしづらい状態になっているので、呼吸困難になる恐れがあります。呼吸困難になると全身を使った呼吸となります。苦しそうにしているときは早めに受診してください。
インフルエンザ
インフルエンザの場合、適切な治療をしないと1週間近く高熱が続くことがあります。高熱が続くため体力の消耗も激しく、熱性けいれんも起こしやすいので、看病中は変化がないか子供の様子に注意してください。
インフルエンザは早期に治療をすれば早く解熱することがほとんどですが、症状が長期化するケースもあります。
家族への感染を防ぐためにも、インフルエンザが流行しているシーズンは、急に40度の熱が出たり、高熱が続いたりしたら、発熱から12時間以降をめどに早めに病院を受診して、インフルエンザの検査をしてもらいましょう(※3)。
子供の熱が下がらないときの病院に行く目安は?
子供の高熱が下がらないときには、どのタイミングで病院に行けばいいか迷うこともありますよね。基本的に3日以上熱が続くようなら小児科を受診してください。
発熱したタイミングで、下記のような発熱以外の症状もしっかりチェックして受診する目安を把握しておきましょう。
熱が出ても、しばらく様子をみてもよい目安
● 機嫌がいい
● 食欲があって水分を取れる
熱はあっても、機嫌が良くて食欲があれば、しばらく様子を見てもよいでしょう。下痢や嘔吐を伴う場合は嘔吐下痢症の可能性があるので、脱水症状には注意してください。
子供は熱が上がりやすいので、40度の高熱が出ても、一瞬で熱が下がって機嫌がよく、食欲がある場合も、受診せず様子をみてもいいでしょう。
熱が下がらず病院へ行く目安
● 頭痛がある
● 意識がもうろうとしている
● 発疹が出ている
● 高熱が3日以上続いている
● 水分がとれず尿が少ない
● 呼吸困難がある
頭痛を訴えて手足が動かない、意識がもうろうとする、視線が合わない場合には、髄膜炎の可能性もあるので、すぐに病院を受診してください。また、発疹が見られるときは、何かしらの伝染する感染症の可能性があるので、病院へ行く前に電話して症状を伝えておきましょう。
子供が高熱後にけいれんしたときは?対処法は?
発熱後にけいれんが起きた場合は熱性けいれんの可能性があります。子供がけいれんしていると焦ってしまいますが、激しく揺さぶったり頬を叩いたりなどの刺激を与えてはいけません。
子供の息がつまらないようにするため、顔を横向きに寝かせ、頭を少し後ろへ反らせて気道を確保し、平らな安全なところに寝かせてください。服がきつそうなときは、ボタンやファスナーなどをゆるめてあげましょう。
熱性けいれんは5分以内で治まるので、その後は安静にしてあげましょう。けいれんが治まった後も、意識や反応、呼吸が乱れていないか、顔色が悪くないかなどを見守り、落ち着いたら一度小児科を受診してください。
熱性けいれんが起きたときは、「けいれんが続いた時間」と「けいれんが治まってから意識が戻るまでの時間」を計っておき、診断の際に医師に伝えましょう。重要な情報になります。
ただし、けいれんが5分以上続くときは、救急車を呼んでください。発熱が原因の熱性けいれんであれば一時的なものですぐに治まりますが、髄膜炎や脳炎など中枢神経の異常の場合は、長く続きます。
子供の熱が下がらないときのホームケアは?
子供の高熱が続いているときは、病院へ行ったあとの家庭でのケアも大切です。
基本的には体を温める
発熱中は、体を冷やすのではなく温めるようにしてウイルスと戦う体をサポートしてあげましょう。ただし、高熱が下がらず体力が奪われているときは、おでこや脇の下、首の後ろ、足首などを冷やしてあげてください。
こまめに水分補給をする
汗をたくさんかくので、脱水症状にならないよう、こまめな水分補給が重要です。赤ちゃんの場合は、普段の授乳に加えて、白湯や麦茶を与えるようにしましょう。
解熱剤を処方されたときは、よく確認を
病院で座薬などの解熱剤を処方されたときは、熱が何度以上になったときに使用したほうがいいのか、何時間あければ再度使用してよいのか、よく確認しておいてください。解熱剤を使うと熱は一時的に下がりますが、病気を根本的に治るわけではありません。
また、使い方や容量、保管方法もしっかりチェックしておきましょう。
安静にさせる
子供は熱があっても、普段のように活発に動き回ろうとすることがあります。しかし、元気であっても安静にさせましょう。
子供の高熱が続くときは冷静に判断しよう
今回ご紹介したように、子供の高熱が続くときは様々な原因があります。高熱が続くことで夜寝られず、体力を消耗して治りが遅くなってしまう可能性があるため、早めに小児科を受診しましょう。
また、受診しても熱が5日以上下がらないときは、血液検査やレントゲン検査などができる大きな病院をに行くことをおすすめします。
受診時には、熱以外のちょっとした症状も細かく伝えることがポイントです。病気の原因が特定しやすくなり、適切な対処が可能になりますよ。
子供の熱が続くと焦ってしまうものですが、冷静に対処してあげてくださいね。