【夏はとびひに注意!】赤ちゃんのとびひの原因や症状は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

水ぶくれになったり、皮膚が赤く腫れる、むける、じくじくするなど、皮膚炎症が起きる「とびひ」。とびひはその名の通り、掻くことにより、飛び火のように全身に症状が広がることがある、注意すべき病気です。そこで今回は赤ちゃんのとびひについて、原因や症状、治療法、自宅ケアの方法などをご紹介します。

とびひとは?

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とびひとは、虫さされやあせもを掻いたり、ケガをしたりしてできた傷に、黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌(溶連菌)などの細菌が、感染して起こる病気です。

正式には「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」ともいい、火事の飛び火のようにあっと言う間に全身に広がることから「とびひ」と呼ばれるようになりました。

鼻の入り口には様々な細菌が存在しているため、赤ちゃんが鼻を触ることが多いと、鼻の周りからとびひができてしまいます。また、鼻を触った手であせもや虫さされを触ることで、とびひが広がることがあります(※1)。

とびひは皮膚が細菌に感染して起こるので、皮膚を掻きむしって傷つけたり、汚れた手で傷を触ったりすることが多いと、何度でもとびひにかかってしまいます。

とびひの原因は?赤ちゃんに現れる症状は?

菌 ウイルス 細菌 病気 病原菌

とびひは、だいたい「水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)」と、「痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)」の2種類に分けられます。

この2つは、とびひの原因となる細菌と症状が異なるので、それぞれについて詳しくご説明します。

水疱性膿痂疹

水疱性膿痂疹の原因は、黄色ブドウ球菌の感染です(※1)。水ぶくれが膿んで皮が破け、皮膚表面がただれる症状が見られます。

赤ちゃんのとびひの多くは水疱性膿痂疹で、特に初夏から真夏にかけて発症します。

水疱性膿痂疹はかゆみが強く、赤ちゃんが自分で掻いてしまうために、細菌が手に付いて体のあちこちに感染が広がってしまう恐れがあります。

痂皮性膿痂疹

痂皮性膿痂疹は、溶連菌の感染が主な原因です(※1)。赤く腫れて炎症を起こし、厚いかさぶたができます。発熱やリンパ節の腫れなどの全身症状が現れることもあります。

痂皮性膿痂疹は、赤ちゃんよりも大人が発症することの方が多いとびひです。

赤ちゃんのとびひの診断方法は?

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赤ちゃんのとびひの診断は、基本的にまずは問診と視診で判断されます。

発熱があったり、全身に発疹が広がっていたりする場合は、体内で炎症が起きていないか調べるために血液検査が行われることがあります。

赤ちゃんのとびひの治療法は?

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とびひの治療では、軽度の場合であれば抗菌薬の軟膏を塗って対処します。

症状がひどい場合には、塗り薬と一緒に抗生物質の飲み薬やかゆみ止めの内服薬も併用します。とびひはかゆみが強いので、赤ちゃんがかきむしらないように、かゆみ止めの薬が処方されます。

とびひを治療するには、症状を抑えるだけでなく、原因となっている細菌を死滅させる必要があります。細菌を死滅させるための抗生物質の服用を途中でやめると、再発することがあるので、処方された薬は医師の指示通りに使い切るようにしましょう。

とびひの悪化でブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)に?

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とびひは、早めに適切な処置を行えば4〜5日ほどで治まっていきます(※2)。

しかし、乳児の場合はまれに、黄色ブドウ球菌の毒素が体中に回って、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)という病気を起こすことがあります。

ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群になると、全身の皮膚が真っ赤になったり、やけどになったかのように皮膚が剥けてしまいますが、早期に治療を始めることで、重症化を防ぐことができますよ(※1)。

他にも、確率としては低いですが、免疫機能が低下している場合、細菌が全身に回る菌血症や肺炎を引き起こすことがあります。

赤ちゃんのとびひを自宅でケアする方法は?

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とびひを発症したら、病院で薬を処方してもらうとともに、ホームケアをきちんと行うことが大切です。

皮膚を清潔にする

赤ちゃんがとびひを発症した場合、皮膚を清潔にすることが大切です。お風呂で体を洗うときは、まずは殺菌力のある石けんを泡立てて、優しく患部を洗い、ぬるめのシャワーでしっかり流します。

とびひは感染力が強いので、湯船に入るのは避けた方が良いでしょう。しかし、夏に汗をかいて入浴させたい場合には、とびひにかかっていない家族が先に入りましょう。また、タオルは家族と違うものを使うようにしてください。

患部に薬を塗る

先述のように、とびひになると病院で塗り薬を処方されるので、お風呂に入ったあと肌をよく拭いてから薬を塗りましょう。

薬が周りについてしまわないように、患部にガーゼや包帯を軽く巻くなどして対策をすると、感染の拡大を防げますよ。

爪を短くする

とびひはかゆみを伴うので、赤ちゃんが我慢できずに掻いてしまい、悪化することもあります。かきむしって肌を傷つけ、とびひを再発してしまうこともあるので、赤ちゃんの爪は短く切りましょう。

赤ちゃんのとびひは予防が肝心

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赤ちゃんがとびひにかかってしまうと、かゆみが出たり、炎症が起こったりと、赤ちゃんがつらい思いをすることになります。そのため、肌が弱い赤ちゃんはとびひになる前に予防することが重要です。

とびひは傷口から細菌が入ることで発症するので、こまめに手洗いをさせたり、鼻の穴に指を入れたりしないようにしましょう。また、虫除けスプレーで虫さされから守ったり、転んでも怪我をしないように、野外で遊ぶときは長袖長ズボンを着用させたりすることも、とびひ予防につながりますよ。

特に赤ちゃんの時期は気にすることが多くて大変ですが、赤ちゃんの笑顔のためにできることから始めていきましょう。

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